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7月26日

いい夢でした、夢でした。

僕の書いた一つの詩が、大好きなあなたに読まれること。

あなたの知らない僕を、段々君が知っていくこと。

僕の知らないあなたを、知ることができること。

僕らは獣じゃないから、

言葉や絵や音楽で、

あなたの知らない自分を教えてあげることができます。

すきなたべもの、すきなどうぶつ、

にがてなむし、きらいなひと、

とくいなこと、いまかんがえていること、

僕のおもうあなたのこと。

僕らは獣じゃないから、

それらを見えないように大事に覆い隠して、

しまいこむこともできます。

大事な自分のことだから、

誰にもばれないように、内緒にくるんで、

心の奥底にしまうことも。

そして忘れ去って、大事な一瞬をなかったことにして、

永遠に好きだったあなたを消すことも。

だれもが、そうしているんです。

ずっと昔好きだった〇〇ちゃんのことも忘れて、

のほほんと誰かと結婚しているんですから、

初恋の人の名前を思い出せないことを、

悲しむことはないんだよ。

教室の掲示も、さしこむ日差しも、

夏休み前の荷物の重さも、お楽しみ会の音楽も、

担任の先生の声も、その日日直だった子も、

きっといつかことばと写真でしか覚えられなくなる。

だけど、それを悲しむ必要はない。

あなたの脳の覚えられることには限りがあって、

家族の誕生日、大事な計算の方法、仕事のコツで埋められている。

だから、そんなある一つの夏の一つの日のことなんて、

忘れてしまっても仕方ないのかもしれませんね。

その代わりにたくさんの文字と写真があなたのことを覚えていてくれるから、

ただその写真と文字の場所だけ忘れないであげて。

あなたにしてみれば、死ぬ最後の瞬間にも思い出せないことだけど、

私からすれば、一生忘れたくないことですから。


僕は、詩を書く。

詩を書く時には、内緒でくるんだ僕の記憶や思考を、真っ二つに切ってその血を使っています。

だから、僕の詩は、3分の2ほんとです。

だけどその言葉がうそかもしれません。


ざらざらしたうろこをなでるのはねこをなでるのとはわけがちがう。

どこかにひとつ、触ってはいけないうろこがあるとは、

竜は難儀ないきものだ。

きっとだれかと触れ合ってねこのように仲良くしたいはずなのに、

どうして世界はそう簡単にはいかない。

だから、誰かをつかんで空を飛んで、

空のかなたに消えていけ。消えていけ。

遠い遠い朝焼けの向こうで空にとけてしまえば、

詩人が君をうたってくれるでしょう。


僕らは獣じゃないから、

うつくしい物語を作ることができる。

僕らは獣じゃないから、

よごれすぎた現実を作ることもできる。

僕らは獣じゃないから、

深く深くの夢の中で、

独りぼっちの竜と何も気にせず遊べる。

僕らは獣じゃないから、

好きなだけ眠っているわけにはいかない。

張り手のような朝日が僕のほほを叩いて、

竜にさよならを言う暇もなく、

僕は夢から覚めた。


7月26日の夢。自分の詩が本になっている夢を見た。夏休み前の様にたくさん荷物の乗った机が印象に残っている。

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