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7月25日


何かを守るために、僕らは大事なものをどんどん失っていって、

誰かを抱きしめるために腕を広げた時に抱えていた花瓶が落ちてしまうように、

何かするたび、何か壊れる。

どっちも守ることはできなくて、すべてを救うことはできないから、

僕は最後の秘密を守るために家を燃やした。

僕の隠したたくさんのこと、この世のゆがみの証拠たちが燃えていくのを見ていれば、

僕はもうこれを守る必要はないんだ、と思って、

あとは炎に任せて僕は逃げ出すことにした。

赤くて熱い。眠たい。

焼ける音がする。

真っ黒く視界は閉ざされている。

守るものがなくなった僕は、

死んでしまっても別にいい。


白い炎かと思いました。

ただの、蛍光灯ですが。

炎を見すぎて目がおかしくなってしまっている。

どれだけ美しくても、ずっとずっと炎を見ていれば目がやられる。

うつくしい炎に見とれて焼死体になった彼女はかわいそう。

でも、それだけのために、

うつくしくて、だいすきな炎に囲まれて死ぬために、

そのためだけに彼女は生まれてきたのかもしれないのだから。

知らない人の悪口を言うのはよそうよ。


愛情なんてものこの世にない、まやかしだという君に、

僕から良いことを教えてあげる。

愛情と言うのは、

温かい食事、きれいな洋服、おもちゃや文房具をいちどきに要求できる便利な言葉だから、

君もたくさん使うと良いよ。

使い方は簡単で、「愛情が欲しい」と悲しげに言えば、

大抵の人が食事ぐらいはくれるはずだから。

君の言う愛情というものが、無いというのならそうなんでしょう。

もし、君がひとりぼっちで「愛情」を持っていないなら、

今ここで意味と使い方を知ったんだから、

明日から愛情を要求したっていいんだよ。


友達が本を音読している。

小公女セーラの、きれいで重そうな本を。

きれいな声で音読している。

だけど君はバカにする。

「わざわざ高いものを買わなくても、文庫で買えばいいのにね」

分かってないな、と思いながら、

「そうだね」と言ってしまうのは、

裏切られる味を知っているからでしょうか。


本当だったらみんなで行く予定だったんです。その遊園地に。

でも僕は車を持っていないからいけなかったんです。

僕が何年間か、ずっとそこですごした椅子に、

立派な車を持った他の女の子が座っているんです。

僕が何かわるいことをしたのか、分からなくて、

だけど裏切られたんだ、それだけは分かりました。

ささいなことで、世界中の不幸ランキングで見れば底辺もいいとこなのに、

それが僕には重たくとがったものになって今もずっと刺さっているんです。

助けてください、と叫んだってもう遅いけれど、

どうして僕は許されなかったんですか。

いい加減なことを言って、また僕を仲間はずれにしたことを、

いつまで見て見ぬふりをすればいいですか。

関係無いことを検索しましょうか。

バカみたいに検索、検索、また検索を繰り返して、

そして忘れちゃえば幸せですか。


目を覚まして、泣きはらしたように熱い瞼に触れる。

焼け死にそうなほど熱くて苦しい夢だった。

7月25日の夢。仲間に裏切られて、家を燃やす夢を見た。重たそうな小公女セーラの本と、見当違いのことが書いてある某夢の国のガイドブックが印象に残っている。

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