8月1日
さあ、行こう
家出しちゃおう
馬鹿みたいに喧嘩して当ても無く家を出ていっちゃおうよ。
浅はかな知恵絞って、できるだけ遠くへ行こう
大人なんかに捕まるもんか、無知で人を殺す大人なんかには。
冷たく黒いアスファルトの上を行こう、
どこまでも走れ、僕らはどこまでも行ける。
笑いながらみんなで家出しちゃおう、
勝手に産んで勝手に期待している大人なんかに捕まるもんか。
僕らを追いかけているうちに寿命で死ぬがいいさ。
僕らには未来がある、時間がある、夢がある
お前らの退屈な見栄に付き合っている暇はないのさ。
小さなおまもりを手に握りしめて、
なまぬるい夜風をかきわけて走る。
僕らは透明な色鉛筆で夢を描いている、
僕ら以外誰にも見えない僕らの夢の世界。
失った記憶もたくさんあるけれど、
それよかもっと素敵な記憶で埋められるから。
坂道をのぼっていく
星が僕らを照らしている
遠くでサイレンが聞こえても、
どこまでも走れるからどこまでも走れ。
駄菓子を買って、みんなで食べた夜があって
甘ったるい30円の味を飲み込んだその頭上には
理科で習った星が光っていた
子どもだけが死んでしまったような真夜中に、
コンビニの前で光にあつまる虫のように
僕らは笑って、大人をばかにして笑う
楽しいことがいっぱいあって
嬉しいこともいっぱいあって
秘密にしたいこともいっぱいあって
知ってほしい僕がいっぱいいて
だから僕らあの時たしかに生きていた
たとえそれがみんな通る道だとしても
そのさなかにいた僕らを
誰も馬鹿にできやしないし
誰も同情できないのだ
あの時僕らはたしかに生きていたのだから
高い高い本棚に届くようになった手は
かつて握ったてつぼうの硬さを忘れてしまった。
長いこと走れるようになった足は
転ぶ痛みを忘れてしまった。
ビルを見上げられるようになった目は
花がそよぐ様子を忘れてしまった。
アメリカの人とだって話せるようになった口は
空想の友達の名前を忘れてしまった。
だのに、心は、
心はすべて覚えているのだ
もう見つからなくなったものを
感じることができなくなったものを
僕らは大人になっていく
嫌いな大人になっていく
それでもいいんです
生まれ、老いて、死ぬのはあたりまえ
誕生日が来なければプレゼントももらえないから
それでも、いいのだけれど
さあ、家出しちゃおう
悲しい僕らの逃避行さ。
小賢しい細工を覚えた頭と
どこまでも走れる体を使って
子どもの心をどこかへ逃がしてあげよう
明日から
僕らは
大人になろう
8月1日の夢。お祭りと、友達がたくさん出てくる夢を見た。「ムカついたらすぐ家出!」という広告と、アスファルトの坂道が印象に残っている。




