無人島には満天の星空が
無人島には満点の星空がある。
無人島に明かりは少ない。
あるといえば、チームに支給された懐中電灯二個と、主催側のキャンプテントの明かりだけだ。
さすがに夜は真っ暗で、トイレに行くときに斜面や石で転ぶと危ないからと手持ちの懐中電灯はある。
しかし、田舎暮らしの私か驚くほどに月が明るく、夜道を歩くには苦でもないほどだったのだが。
ただ、トイレに入っている証拠として電灯の明かりを置いておくことが、何となく暗黙のルールとなってはいたことは面白かった。
人とは集団生活において、快適に過ごすために決まりを作る生き物らしい。
さて本題だが、無人島に明かりは少ない。
ということは、夜空には満天の星が輝いているということだ。
私は宇宙とかの壮大な話は好きだが、星空を見慣れているわけではない。
せいぜい天の川や2等星まで、夏冬の大三角、流星群がある日にふと見上げるだけで、詳しいわけではない。
しかし無人島で見上げた夜空には、心を奪われた。
大小さまざまな光の粒が瞬き、夜空を夜景のように彩っていたのだ。
メンバーのなかに星にそこそこ詳しい奴がいて、火星だか金星だか忘れたが天体があれだよ、とか、星座が見えるとか、あの星が1等だとか2等だとか。
そんなうんちくを言っていたが、私はほぼ聞き流していた。
その光景は説明不要! 宇宙とは美しく! 壮大!
手を伸ばせば掴めそうな程の、なんて陳腐な表現になってしまうが、とにかく綺麗な星空だった。
星の海は天のどこまでも続いていたのだ。
この無人島生活の話をしようというのも、ふと見上げた星空が綺麗だった時に思いついたのだ。
あの出来事からもう、数年経ったのか、と。
そろそろ話しても時効かな、も思うし、改めて考えても得難い経験をしたと思う。
端的に言うと、価値観が変わった人生経験だ。
『当たり前』だという事は、今までの世界で誰かが苦労して苦労して作り上げた実績であり、尊いものだ。
『知っている』ことと『できる』ことは全く違う。0か1か。『できる』か『できないか』が重要だ。
なんて大層なことを書いているが、押し付けようとは思わない。
人に何かを伝えたいという気持ちはほんの少しだけ。ほとんどは、懐古録というか、思い出して書き留めているだけだ。
ただ赴くままに書くので、読んだ方は何かしら感じ取ったり考えてみたり、役に立たせてほしい。
文字を読んで何かを得られることは少ない!
読んだ上でどう考え、どう活用するのかが大事なのだ!
なんて。
長くなるのでここまで。