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第四十三話 クリスマスプレゼント計画

 街も店も赤と緑と金に染まり、カラフルな電飾があちこちできらめいていた。

「女子! 女子集まって!」

 休日のリビングに響く美友の声に、各部屋の扉が開いて人が出てきた。

「女子のみって言ったでしょ、何であんたが来てんのよ」

 美友が冷たく言うと、工が苦笑いしながら立ち上がった。

「あちゃー、バレたか……」

「女子だけでやる予定なの、男子禁制」

「じゃあ優はどうなるんだよ」

「優は女の子! アンタ失礼ね!」

「え!? でも風呂もトイレも……」

「うっさい! あっち行け!」

 美友がスリッパを投げつけると、工は急いで上の階に逃げて行った。

「ちぇ、ひでぇの」

 工は廊下に座り込んで、柵の隙間から女子たちを見下ろしていた。

「そんなだろうと思って、俺も考えといたぜ」

 頭上から声がして見上げると、レオが横に立って見下ろしていた。

 男子がレオの部屋に集まる。

「お前の部屋、ぬいぐるみだらけだな~」

 尊が部屋を見回す。

「うるせぇ、見るな!」

 レオは怒ってぬいぐるみを投げつけた。

「ほ、本題に入るぞ。女子たちがクリスマスに向けて何か計画しているようだから、腹いせに俺らも何かしてやろうと思うんだ」

「何も女子たちは悪さをしているわけじゃない」

 禊がそう言うと、

「うるせぇ、ああいうの気に入らないんだよ! だから、全員で女子全員へのプレゼントを選んでやろうと思うんだ!」

 忍は微笑ましそうな目をして、「あっ平和なんだ~」と心の中で言った。

「みんなで男子へのプレゼントを買おうと思うの!」

 美友がそう言うと、マーサが嬉しそうに微笑んだ。

「ま~、素敵ね。私も友達とよくやったわ。いつも一緒にいる男女のグループの中で、男女でプレゼント交換みたいなことをしたわ」

「素敵ですね」

 ニヴェが言った。

「今日は折角みんな休日だし、みんなでショッピングモールに行って、男子たちに贈るプレゼントを買いましょ! お金は大丈夫よ、言葉さんが用意してくれた」

 言葉はにっこり微笑んだ。

「それじゃ、今から行きましょ!」

 全員が掛け声を上げて支度を始める。そこに丁度会議を終えた男子たちが部屋から出てきた。

「あれー、どっか行くの?」

 工が声をかけると、

「女子会! ついてこないでね」

「あっそ! 俺らも男子会だから、女子は来るなよ~」

 工がそう言って手を振ると、美友は顔を反らしてさっさと玄関に向かった。

 人数が多く車がつかえないため、電車とバスで向かった。

 ショッピングモールの噴水広場で、美友と工がいがみ合っていた。

「ついてくんなって言ったでしょ……!」

「お前こそなんで来てんだよ……!」

「落ち着けって、工。ごめんな、なるべく近寄らないようにするから、ね?」

 忍がそう言って工の首を掴み、引きずって男子たちと共にその場を離れた。美友も李冴に引きずられて行く。

「クリスマス前に喧嘩とかやめてよー」

 李冴が商品を見ながら不貞腐れる美友に言った。

「別に、喧嘩じゃないわよ」

「喧嘩だよ、それ。ねえ、これとか禊さんにどうかな?」

「知らないわよ。第一、私あの人の事よく知らないし」

「機嫌直して。あ、これアーサーさんにどうかな?」

「いいわね!」

 李冴は苦笑いをする。

 そこに悠香がやって来て、

「おばあちゃんも来ればよかったね」

「ホントねー。でもおばあちゃん、人ごみ苦手だから。でもお金渡されたよ、これでみんなで美味しいもの食べてらっしゃいって」

 李冴が封筒の中を見せる。

「こんなに一体どうしたの!?」

「おばあちゃん、お仕事してたっけ……」

 悠香は苦笑いをした。

 あぐりが商品棚を眺めながらバックすると、誰かと背中がぶつかった。

「あっ、ごめんなさい!」

 急いで振り返り、アキラと目が合う。

「あ……おじさんも来てたんだ」

「うん。レオくんの案で、クリスマ――」

 言いかけて急いで口を押えた。

「え、クリスマスが何?」

「ごめん、言えない」

「えー、どうして」

「そ、その、作戦……。そっちこそ、何してるの?」

「ひみつ」

「じゃあ僕も秘密」

 二人はクスリと笑うと、

「男子って、どういうの好むのかわからないんだよね。やっぱりドラゴンのキーホルダーとか?」

「それは修学旅行で買うやつだね……。うん、僕は実用性のある物を贈られたら嬉しいな」

「実用性……なるほど」

「女の子はどんなのがいい?」

「んー、女子ってセンスにうるさいからねぇ。入浴剤? 紅茶とか、そういう感じのもの? あ、マカロンとかいいね! 私マカロン食べたい! あとねー、ヌガーもいいでしょ、あっガトーショコラ!」

「それは君の食べたいもの」

 アキラは苦笑いをして横を通り過ぎていく。あぐりも何事も無かったようにその場を離れた。

 アキラが別の店に移動しようとした時、

「あー! タンブラーここに売ってたの!? えー、お金用意してないよ。足りるかなぁ……」

 あぐりは財布の中を確認する。

「ダメだ、足りない……。しかたない、我慢しよ。来月まで残ってるかな」

 あぐりはため息をつきながらトボトボ歩き出した。隣の店の前まで来たとき、

「あぐりちゃん!」

 急に飛んできた声に振り返った。アキラが息を切らして買い物袋を渡した。さっきの店のロゴが印刷されていた。

「え、どうしたの?」

「その、作戦とか、計画とは別に……僕個人から、プレゼント」

 袋を受け取って中の物を取り出すと、先ほど見ていたタンブラーが入っていた。

「え、でもこれ結構……」

「それくらいどうってことない、稼いでるから……。咄嗟だったから、ラッピングできなかったけど、その、メリークリス……マス……」

 アキラはうつむいてズボンのポケットに手を入れた。髪の隙間から覗く耳は赤く染まっていた。

「それじゃ」

 その場を離れようと一歩踏み出した時、

「おじさんありがと!」

 あぐりが首に抱き着いた。

「うわっ」

 アキラはよろけそうになり、あぐりを抱えて踏ん張る。

「おじさんも、メリークリスマス!」

「はは……ありがとう。でもまだだけどね」

「そうだね。おじさん早いよ」

 二人は楽しそうに笑い顔を合わせた。

 ニヴェはスーツ用品の店を眺めていた。

「何かお探しですか、ご婦人?」

 優しい声で呼びかけられ、振り返ると、黒のコートに身を包んだ宵彦が佇んでいた。ニヴェはそっと微笑み、

「旦那へのクリスマスプレゼントで悩んでいるんです。彼は何をあげても喜ぶし、何をあげればいいか思いつかなくて……」

「スーツ用品……ですか。ビジネスマンですか?」

「まあ、そうなんですけど。でも、彼は家族からいつもこういうのを贈られているから、私はもう少し別のものがいいんじゃないかなって思うんです」

「もしかしたら、彼はビジネスマンが故に、スーツしか持ってないかもしれませんよ。もし私が彼でしたら、貴女から送られた私服を着てデートがしたいですね」

「いいですね! ご親切にありがとう、ラピスラズリの紳士様。そうだ、あなたも何かお探しですか?」

「奇遇ながら、私も妻への贈り物を探しているんです。彼女は何をあげても喜びますし、何でもに合うんです。毎度アクセサリーや靴、バッグを贈るんですけど、それじゃ飽きてしまうんじゃないかと思ってまして。女性はどういったものを贈られたら喜びますか?」

「そうですね……私もよく旦那からそう言ったものを贈られるんですよ。もし私が彼女なら、一緒に特別な時間を過ごしたいですね。旅行とか、エステに行きたいです」

「なるほど……良いアイデアですね。アドバイスをありがとう、シルバーリーフのご婦人。どうか良いクリスマスを過ごして」

「えぇ、ありがとう。あなたも、幸せな時間を過ごしてください」

 ニヴェはそう言って手を振り、別の店に向かった。宵彦も旅行会社の方に向かう。

「何今の茶番!? はっ!?」

 ニヴェは真っ赤に火照る頬を両手で包む。

「ニヴェさん……っ! 私の悪戯にまさかあんな返し方するなど……! 不意打ちすぎます! あぁ可愛い! 今すぐ抱きしめたい……!」

 宵彦は廊下のソファーに座って巨大なため息を溢した。そして自分を抱きしめてのけ反りかえる。通りがかる人が何事かと振り返っていた。

 百足は花屋を覗いていた。

「ほう、とても良い花が置かれているな。これは何て植物なんじゃ?」

 真尋が肩口に覗き込み、

「ポインセチアだね」

「ぽいん……? ぽいん! 可愛らしい音じゃな! タンポポのように温かい名前じゃ」

「クリスマス……えっと、12月の植物だよ。外国の植物なんだけどね」

「ほう! これをいただこうか」

「大きくない? 贈り物には向いて無さそう」

「そうか……」

「これとかどうかな?」

 真尋がドライフラワーのブーケを指さした。

「枯れているのに、綺麗じゃ」

「その味わいを楽しむ加工したお花だよ」

 百足は閉じた扇子を口元に当てて考え込む。ふと、花を持ち上げる真尋の袖から覗いた腕に目が留まる。

「これはお主に向いている。押し付けはしないが、妾が買うべきでは無いだろう」

「え、でも……」

「お主に似ていて、とても美しい。儚さと哀愁を漂わせた佇まい、お主そのものじゃ」

 百足はドライフラワーを一つ手に取ると、真尋の髪を耳にかけ、その上に花を挿した。

「妾は何を見ていたのだろうか。妾が追い求めていた美しさは、ここにあったのだな。終わりのない、終わりの美しさとはまさに、お主そのものじゃ。これほどまでに美しいおなごは初めてじゃ。のう、お主が良ければ、妾ともっと仲良くなってはくれんか? 妾はもっとお主を知りたい……お主の美しさを見ていきたいんじゃ」

 真尋の髪を撫でてそっと微笑んだ。真尋は目を見張ると、頬を染めて目を逸らし、

「ずるいよ……私、心に決めた人がいたってのに」

「別に良いではないか。好きな人は1人しか持ってはいけないわけではない」

「それじゃ、百足は私以外に好きな人がいるの?」

「そうじゃ。でも、そう表を曇らせないでおくれ。他にも美しい者はおるが、私の中のお主のいる場所の中では、お主だけが一番じゃ。お主意外考えられん。あぁ、どうしたものか。いつもならもっと流れるように詩が出るというのに、今ばかりはお主に夢中で言葉が出てこない。みっともないところを見せて申し訳ない」

 真尋は頬を撫でる百足の手を握り、

「ううん、その言葉だけで十分だよ。十分百足の言葉は伝わった。飾らなくても、そのままの言葉の百足が好き」

 そっと微笑むと、百足は扇子で顔を隠して細めた目を覗かせた。

(っあ~、クリスマス仕事だから絶望してたけど、イブ前にいいもん見れて幸せだァ~。サンタさんありがとう!!!!)

 全てを見ていた店員は心の中でサンタに向かって叫んだ。

 禊、嫌好、忍、工、尊、要、が並んでショーケースを見下ろしていた。

「え、本当にアクセサリーにするの?」

 忍が全員の顔を見回す。

「だって、調べたら女子受けするのはアクセサリーって。今はアークィヴンシャラから輸出した宝石が人気なんだってよ、ご利益あるとかパワーストーン効果が通常よりうん倍だとかなんとか」

 尊がスマホの画面を見せる。忍が怪訝そうな顔で見た。

「でもよ、アークィヴンシャラから輸出した宝石はわずかしかないし、人気ってなら猶更希少価値上がって高いだろ。これとかこんな値段だけど、絶対アークィヴンシャラから輸出した宝石じゃないって」

 禊がエメラルドのネックレスを指さした。

「本物はこの値段らしいですよ。この前オークションでガーネット原石が落とされたみたいで」

 工がスマホの画面を見せた。

「あっ、出したやつで一番大きいやつじゃん! ひえ、五億……」

 禊が青い顔で0の数を数える。

「女子って何喜ぶんだろうなー」

「とりあえず優しく微笑んで適当に褒めてそれっぽい甘いこと言って食事に誘って欲しいものいくつか買ってあげて最後にキスして別れれば簡単だよ」

 要は笑って親指を立てた。尊は冷たい視線を送り、

「それ、お前だからできるわけであってよぉ……」

「物をあげても、人それぞれ趣味がありますしね」

 一同が腕を組んで考え込む。

 ふと、嫌好の腹の虫が鳴る。

「禊、お腹空いた。甘いもの食べたい」

「あー、昼まだだったな。……そうか、お菓子」

 禊は手を叩き、

「お菓子にしよう! よし、今から材料揃えて作るぞ!」

「え、今から!?」

 禊は急いで一回のスーパーに向かって早歩きで向かう。嫌好たちも後を追う。

 レオは輸入品店を見ていた。

「進捗どうや?」

 アーサーが声をかけると、レオは飛び上がって急いで振り返った。

「なんだ、トマト野郎かよ」

「なんや、懐かしい呼ばれ方やなぁ」

 アーサーは笑いながら目の前に陳列されたぬいぐるみの一つを手に取った。

「おっ、フィンランドのキャラクターやて。へー、アイツ喜びそうやな」

「アイツって? 誰か女子に渡すのか?」

 アーサーは急に笑顔を消すと、ぬいぐるみを棚に戻した。

「お、おい。何か聞いちゃやばかったか?」

「いんや、別に。お前は悪くないよ。ただ、いつもの悪い癖が出ただけ……」

「なんだよ、いつも笑う事しかできないくせに」

「笑う事しかってなんやねん。釣りもできるで」

 レオはどうでもよさそうに答え、ぬいぐるみに目を向けた。

「お前が何を抱えてるかなんてわからないけど、お前が喜びそうなもの見つけたからって買った動機を言えば、別に相手は嫌がりはしないだろ。自分の事を思って買ってくれたんだってわかるから」

 アーサーは少し不意を突かれたようにレオを見つめ、

「せやな。いやぁ、一枚取られたわ」

 そう言ってぬいぐるみを持ってレジに向かった。レオは周りの人目を気にし、ぬいぐるみを両手に持って考え始めた。

 小町と榊は工具店の陳列棚の側にしゃがみこんでいた。

「このスクリューとか機能多彩で便利っすよ」

「あんまり多彩だとややこしいだろ。シンプルな方が使いやすいぞ」

「じゃあこっちはどうっすか? この部分とか不便だったじゃないっすか」

「おぉ、良いな。これはどうだ?」

「それは個人的に欲しいっすね」

「あとコレに対応するものが欲しいんだが……」

 小町はポケットから紙を取り出す。

「あー、結構マイナーっすね。これとかギリ行けるんじゃないっすかね?」

「これしかないか……うん、これにしよう」

 美紗とココロは書店を見ていた。

「お!」

「それは図鑑。家にある」

「むい?」

「それはバイク雑誌。大人向け」

「う!」

「料理本。お腹すいたね」

 美紗は子供向けコーナーに走り込んでいく。そこに散乱したパズルを拾い上げ、じっと眺めていた。

「パズル。想像力を育むことを目的とした、3~5歳向け」

 だが美紗は遊ぶ事に夢中で、ココロの声など聞こえていなかった。ふと、しゃがみ込む二人の上に影が掛かる。

「君たち、お父さんやお母さんは?」

 ココロは首を傾げ、

「どちらさまですか」

「おじさん、君たちのお母さんの友達だよ! お母さんが探してたよ、一緒に行こう」

「私のお母さんは死んだ」

「え……」

「お父さんは知らない」

 不審な男は何も言えなかった。すると美紗が気づき、嬉しそうに男の手を取った。

「ぱ!」

「そ、そうだよ! 実はおじさんは、君のお父さんなんだ。ずっと探してたよ」

「両親が生きていたら、推測78歳とされる。あなたは50代と見られる」

 男は急に顔を険しくさせると、美紗を抱えてココロの手を掴んだ。

「来い!」

 ココロは必死に踏ん張って拒んだ。

「嫌だ。お前は誰だ。私に危害を加えるのなら警察を呼ぶ」

「いいから来いクソガキ……!」

 ココロの目に涙が浮かび始める。

「やだ……怖い」

 すると美紗の目が光り、ココロと男の間に強い光が放たれた。男は目がくらみ手を離した。ココロは急いで美紗を抱きしめる。光は白い靄となり、赤い目を開いた。そして男の口から体の中に吸い込まれていく。途端に男は汗をかき始め、悲鳴を上げて走って逃げて行った。

 ココロは何事かと思い男の消えた方を見ていた。すると先ほどの白い靄が側に現れた。

「……ありがとう」

 そっと言うと、白い靄は二人の頭を撫で、空気に溶けて行った。

「ま! まぁーま!」

 美紗は靄の消えた方を探るように手を伸ばした。

「……聖霊……」


 矛盾らが家に帰って来る。

「あー、疲れた」

「明日はイブなのに仕事だよ」

「私も収録~」

「俺はリハ」

 それぞれが不満を口にしながらリビングに入る。その真ん中にそびえたつクリスマスツリーに誰もが見上げて足を止めた。高さは二階を優に超えていた。

「……デカ」

 宵彦がそう呟き、アーサーの手から買い物袋が落ちる。

 するとツリーの後ろから千歳が顔を出して全員の顔を嬉しそうに見回した。

「少し早いですけど、俺からのプレゼントです。メリクリ」

 千歳が少し恥ずかしそうに鼻を擦って言うと、真っ先に宵彦が飛びついた。

「ありがとう千歳!!!! メリークリスマス!!!!」

 するとその後ろから今度はエンジェルが出てきた。

「メリークリスマス!」

 真っ白い煌びやかなドレスに、天使の羽を背負って両手を広げた。あぐりが顔を輝かせて近づこうとすると、アキラが急いで肩を掴み、

「ダメだよ、怪しい人にはついて行かない」

「怪しくないよー」

「あぐり、アレ誰?」

「エンジェル」

「いやそうだけど、名前」

「だからエンジェルだって」

 するとエンジェルからあぐりの前に歩み寄り跪くと、

「メリークリスマス、プリンセス。みんなお仕事で忙しいとマネージャーから聞いてね、急いで今日持ってきたよ」

「ありがとっ」

「本当は君をパーティーに誘いたかった……! けど君は受験生、海外で遊んでいられるはずがない。だからドレスだけ作ってきたよ」

 エンジェルは菫色のパーティードレスを両手に持って見せた。

「うそ!? やば!」

「プリンセス、もっと上品な言葉で」

「エンジェル大好きー!」

 あぐりは首に抱き着いた。エンジェルは少し驚いて戸惑っていたが、恐る恐る手を背中に伸ばした。

「あー、プリンセス。結婚前の娘が私にそう言う事は……ニホンではだめなんだろう?」

「別に、そんなの古い家だけ。私の家は築10年だよ」

「そうかい、それは安心だ」

 するとエンジェルはあぐりの柔らかい頬に真っ赤な唇を押し付けた。あぐりの頬に赤いキスマークがつく。

「えへ、キスマークだ」

 あぐりは写真に収める。

 千歳はいくつかプレゼントをツリーの足元に置き、

「みんな明日は仕事らしいから、俺らはこれで帰るね。良いクリスマスを!」

「HappyHoliday~!」

 千歳とエンジェルは颯爽と家を出て行った。

「ごめんなさい、千歳さんが大きな荷物を持って来てて、時間が無いというもんですから、禊さんらを待ってられないと考えて……」

 七穂が申し訳なさそうに禊の前にやって来た。禊は笑いながら、

「いや、いいよ。千歳やエンジェルらしくていいんじゃない? 二人ともこの時期は忙しいだろうし」

 そしてそれぞれが用意したプレゼントをツリーの下に置いていく。

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