2話 殺戮 前半
少年少女達が椅子に座って同じ方向を向いている。その先には黒板にチョークで字を書いている男がいる。高校の教室だ。生徒たちは授業を受けている。普段と変わらない教室だが突如、黒いフードを着た男が現れた。ドアや窓を開けて入ってきたのではなく空間にいきなり現れた。男は教室にいる生徒と同じ年齢に見える。
「なんだ?」
「死ね」
男が手に持っている剣で一人の生徒の首を斬り落とした。
「え……」
隣にいた生徒はすぐに状況が理解できなかった。
男は間髪を入れず二人目の生徒と教師の首を斬り落とす。
「きゃああああ」
起こった事態を理解した生徒が悲鳴をあげた。
生徒達が男から一斉に逃げる。
「デブキノコ?」
「嘘……なんで生きてるの?」
男を見た生徒たちがざわめいた。
「誰がデブキノコだ。まぁ、いいや」
男のことをデブキノコと呼んだ生徒は体を真っ二つに斬られた。
「いやぁぁぁ」
生徒たちがドアを開けて逃げようとする。
「開かない。なんで!?」
「はぁ? 何言ってんだ……あれっ、開かねぇ」
生徒がドアを開けて逃げようとするが、ドアは叩いても蹴ってもビクともしない。
「もう、逃げられないよ」
デブキノコと呼ばれた男は笑いながら言った。そして、生徒の首を斬り落とした。
「あああああ」
女子生徒が悲鳴をあげた。
「誰か取り押さえてよ!」
「無理だろ」
「俺がやる!」
「俺も」
体格がいい生徒が二人がかりで取り押さえようとしたが、一人が蹴られて吹き飛んだ。
「君に用はない。だが、お前は死ね」
蹴り飛ばされなかった生徒は口に剣を入れられて殺された。
デブキノコと呼ばれた男は次の生徒に近寄る。
「お前は俺を盗撮して笑いものにしたよな」
「殺さないで、殺さないで、殺さないで」
デブキノコと呼ばれた男に睨まれている生徒が泣きながら命乞いをしているが何度も顔をなぐられた後、足下から噴き上がった炎で焼き殺された。
容赦無い殺戮の様子をスマートフォンで撮影している生徒がいる。
「なに……撮ってる……の? ころ、さ、れる、よ」
「……構わない。お前は殺さないから、そのまま撮影しろ」
デブキノコと呼ばれた男は撮影を許可した。
血で染まった教室は、罵倒をする生徒、命乞いをする生徒、ドアや窓を壊して逃げようとする生徒で阿鼻叫喚となっている。
その光景に目もくれずデブキノコと呼ばれた男は殺戮を続ける。
「サンドバックにしてくれたお礼だ」
と言ってデブキノコと呼ばれた男は生徒の体を何度も殴ったり蹴ったりした後、稲妻のようなものを落として殺した。
前触れもなく噴き上がる炎や落ちる稲妻は不思議な現象だが、命の危機に晒されている生徒達は気にしている余裕がない。
「ははははは。楽しい!」
炎で焼く、大量の氷柱で体中を貫く、黒く光るレーザーを撃つなどデブキノコと呼ばれた男は様々な方法で笑いながら生徒を殺した。
「さてと……最後はお前だ。小井島無敵」
無敵と呼ばれた生徒は、いかにもDQNという風貌をしている。
「あ? な……んだ……よ」
無敵の声は震えている。
「なんで生きてるんだよ、死んだはずだろ」
「俺は死んでない」
「あああ」
無敵は手足の骨を折られた。
「楽しみたいから気絶しないでね」
「この野郎……」
「お前は俺の裸をネットにアップしたよな」
「だから何だよ」
デブキノコと呼ばれた男は骨折して動けない無敵を裸にした後、スマートフォンで撮影した。
その後、全ての爪の間に細い棒を入れた。
「がぁぁぁ」
「ははははは。僕をいじめてくれて、ありがとう。おかげで楽しみながら殺せるよ」
そう言いながら何度も何度も蹴った後、体中を氷柱で刺したり炎で焼いたりした。
「ふぅ……ふぅ……。てめぇ、覚えてろ。なんで化けて出てやる。呪い殺してやる」
「んふ。楽しみにしてるよ。死ね」
デブキノコと呼ばれた男は無敵の体を細かく刻んで殺した後、スマートフォンで撮影している生徒の前に立った。
「俺は大森翔輝だ。小学校・中学校の時に俺をいじめた奴は覚悟しろ。殺しに行く。逃げても無駄だ。……お前、この動画をネットにアップしろ」
そう言い残して大森翔輝と名乗った男はドアを開けて教室を出た。