ルーツ(前編)
往々にして慣用表現というのは誇張法が用いられる。
目に入れても痛くない程に可愛いとかへそで茶が沸くなどといった表現はその例と言っていい。
だが足の踏み場もないという慣用表現がこれほどまでに文字通り体現されている空間も珍しい。
誇張表現でもなんでもなくいたるところに書棚に収まりきらない書類だの資料だの私物などが足の踏み場もないほどに散らかっているこの部屋こそが町一番の名探偵を名乗る人物の居城である。
そして窓側に設置された書斎机には白いカッターシャツに黒いベストを着たやせ型の人物がこの空間の王として鎮座していた――といっても具体的には大口を開け、騒音を立てながら眠りについていたのだが。
しかしその彼にとっての安楽の時間は残念ながらあまり残されてはいない。
その原因はその玄関をはじめとして探偵の部屋へと通じる渡り廊下を速足で向かってくる小さい影である。
「先生!ショルメ先生!」
叫びながら彼女は探偵の仕事部屋の結界を破る木製の扉を開こうとするが、その扉は外からは押さなければならないタイプの扉のためそれは部屋に所狭しと敷き詰められた資料だの書類だのに阻まれ彼女はその場で足踏みをすることになる。
「開かない……。ちょっと!先生!」
彼女はまるで暴風雨の向かい風の中傘を前方に向けて少しずつ進むかのような態勢でどうにか扉を開放し、堕落した探偵の姿を認めると、散らかった部屋の書類の山を踏み越え進んでいく。
「起きてください先生!っていうか起きろ!」
探偵がようやく意識を取り戻したのは少女がけたたましく叫びながら探偵の頬髯目掛け平手打ちを食らわせること10発目のことだった。
「……一体どこの国からの攻撃警報かと思ったよ。カリン」
先ほどからサイレンのような声を上げていた自らの助手である少女を薄めで確認してその名前を呼んだ探偵は安楽椅子が倒れるほどに大きくのけぞって体を伸ばしてから背筋を伸ばした。
少女とはいっても彼の助手であるカリンは今年で27歳。おそらく多くの文化圏に置いて妙齢といって差し支えない年齢の女性である。
しかしその小柄な体格、そして短く切りそろえた前髪などはその年齢に見合ってるとは言えずその姿は10代前半……、どんなに逆サバを読んで見積もって未成年といったところか。
お店で酒が買えなかったり、夜に出歩いていればポリスに声をかけられ補導されかけるなどその手の話には枚挙がない。
さて、探偵はそんな頼れる助手と自らの居室を10秒ほど見据え、はぁと短いため息をつく。
「なぁ、私の部屋を散らかすなといつも言っているだろう。カリン」
少々不機嫌そうな切れ長の目を助手に向けるがカリンは対して悪びれる様子もなくむしろ逆にため息で答える。
「お言葉ながら先生、先生と違い私のような凡庸な人間にはこれ以上この部屋を散らかすなんて到底できませんよ?」
「いや、違うカリン。そうじゃなくてだな……」
少々言葉を選ぼうと頭を抱え、考え込む探偵。
だがカリンにはその様子がまるで大人が子供を諭すときにどの言葉なら理解できるか頭をひねっているようにも見えて余計にそれが彼女をイライラさせる。
「例えば君が今踏んでいるその10年前にB国で飛来が目撃された未確認飛行物体の書類。私が眠りにつく前と比べて10㎝机側にずれている。それと君がおそらくドアを開けるときにずらした資料――それらはそれぞれL国で発見された古代文明についての資料やS湖で目撃された巨大生物についての資料だがそれも……」
「あぁーもうわかりましたよ!とにかく先生が所有するゴミを勝手に動かした件についてはまた後にしましょう」
「ゴミ……」
「今はとにかく会っていただきたいお方がいらっしゃるんです」
カリンがその言葉を言うか言わないか、そのタイミングで探偵は目線をカリンから居室の入り口へと移した。
その入口からは山高帽をかぶり、丈の長いコートを着た中年の男性が入っていいのか悪いのか怪訝そうにこちらを見ていたのだ。
探偵はまくしたてるカリンをよそに安楽椅子から立ち上がり男性に対して微笑みかける。
「そちらの部屋に行きませんか。この部屋はゆっくりと話し合うのにあまり適していない」
「私はこういうものだ」
学生時代のカリンが以前自分探しの旅行中に突如複数人の男性に連れ込まれた部屋で本物のトルシア絨毯だと強く勧められて購入した絨毯と、探偵の友人が引っ越す際のヤードセールでたった1000デールで購入した穴だらけのソファが5つ。そして今は亡き探偵の祖母が"親切な人"から勧められて購入したという幸運を呼ぶツボ。
それら愉快なアンティークたちが探偵の応接間に彩りを添える装飾品たちである。
そのヤードセールのソファのひとつに腰を掛けた中年の男性は名刺を部屋の中心に鎮座している卓上に差し出した。
探偵はその名刺を一瞬眺めるがその表情は決して上機嫌とは言えず渋い表情をしている。
中年の男性がその雰囲気にいたたまれなくなり何かを言おうとした瞬間に探偵がそれを遮るかのように口を開いた。
「思うのですがあなたのような現代偉人のような方が差し出すこの名刺に果たして価値などあるのでしょうかね」
その探偵の言葉にその中年男性は、安心したように張っていた肩を少し落とした。探偵の憮然とした表情を見て何か怒っているのかと懸念していたらしい。
「私のことをご存じとは光栄だ」
「そりゃまぁ……」
探偵はなぜか渋い顔を崩さないままベストの中のカッターシャツの胸ポケットへ名刺をしまう。そして
「電信機に蓄音機、アンテナに白熱電球と新発明を次々と繰り出す発明王ベルラ=ライトといえばこの国はおろか、世界で知らない人の方が少ないといっても過言ではないほどの名声でしょう」
と雄弁に目の前のにこやかな中年男性こと、ベルラ所長の功績を称える。
ベルラはそれを謙遜するでもなく自信ありげに胸をそらした。
そして今度はそのジャッカルのような狡猾そうな目で探偵を見る。
それはまるで刑事が被疑者が犯人なのかを見定めるときのように相手を試すかのような鋭い目つきであった。
「私は自分の仕事においてもそうなのだが一流の人物にしか何かを任せないことにしている。今回私が依頼する内容は極めて重大な依頼だ。なのでぜひ心して聞いてほしいのだが」
随分と大仰な語りで依頼について話し始めながらベルラはかぶってきた山高帽をどこかにかけようとするがこの応接間には帽子掛けの類がない。
そのため彼はかぶっていた帽子を机に置き、年齢の割に薄くなった頭を顕す。
そして持ってきていた革製のバッグの中をまさぐりつつ依頼について話し始める。
「人を探している」
「人探し……」
探偵の相槌。
そのタイミングで紅茶とお茶菓子を携えて部屋に入ってきたカリンも会話に加わってきた。
「どなたをお探しか伺っても?」
「この人物だ」
ベルラはそう答え、鞄の中からようやく探り当てた目当てのものを机に引っ張り出す。
見たところそれは古びた図鑑で、彼はその図鑑の付箋の張られた一ページを開き、ページの中心部分に添付された一枚の挿絵を指し示した。
その挿絵は昔のフレスコ画を図鑑に適した形で刷られたもので、挿絵の真ん中には柱に縛りつけられ、また足元に集められた大量のわらや薪、そして何より燃え盛る炎に苦悶した表情を浮かべる女性。その周囲を見守る群衆という構図のものである。
フレスコ画の色使いの妙な生々しさが、余計にその中心の女性の恐怖や群衆の熱気などを感じさせるものとなっていた。
「『ストートの魔女裁判事件』か……」
探偵が小声でつぶやいた独り言にベルラは鋭く反応した。
「さすがはショルメ先生だ。いかにもこれは今からおよそ400年ほど前にストートという村で起きた魔女裁判を描いた挿絵だ」
「ストートの魔女裁判というと確か……村のはずれで呪術や魔術の研究を行っていたガリンチという魔女が村の医者の密告から始まる魔女裁判によって火あぶりにしたという事件ですよね。確かガリンチは魔術を用いて霊界と交信で来たり宙を舞ったりできたとか」
カリンが話に置いてかれまいと必死に記憶の答え合わせをするようにベルラの説明に応じる。
だがカリンはそこではたと誕生した新たな疑問をベルラに問いかける。
「……400年前に火あぶりになった女性を探してほしいという依頼、ということですか?」
「探してほしいのは魔女ではない、この子だ」
ベルラはそう言って再びフレスコ画を指さす。
探偵とカリンがその指し示された部分をよく見るとそこに描かれているのはその魔女の足元の薪の傍らで膝をついて泣いている幼い少女の姿である。
「当時の記録によるとこのガリンチにはクルスという娘がいた。別の伝承ではガリンチは自分が魔術の研究によって知りえたすべての情報をまとめたノートをこの娘に託し刑執行に臨んだとある。私が探しているのはそのノート、そしてそれを持っているであろうクルスの子孫だ」
「なるほど、依頼内容はわかりました。しかし……」
探偵がベルラの依頼内容を受け止めるが、また新たに生まれた疑問を投げかけることにした。
「……興味心でお聞きするのですが、発明王とうたわれるあなたがなんだってまた400年前の魔女裁判の子孫などを?史跡保護の活動をされてるという話を聞いたことはありませんが」
「一億デールだ」
探偵の疑問にベルラは全く質問の答えになっていない返答で応じる。
「……なんですって?」
「この依頼を見事解決した暁には一億デールをお支払いする。それがこちらの条件だ。他に何かご質問は?」
突如自分の年収の百年分近くの金額を提示され探偵も、そして助手のカリンでさえ驚きを隠せなかった。
「驚きましたな……」
思わずそのように探偵はつぶやき今一度卓上で苦しむ女性の表情を見つめるのであった。
翌朝。
探偵はカリンを連れ立ってサウスパークという街の片隅にある原っぱへとやってきた。
このサウスパークという街こそが先日の珍客であるベルラが研究所を構える街であるいわば発明王の根城とも呼べる街である。
先日は予想外の大口依頼に探偵もカリンも茫然自失となってしまいひとまず依頼を受けたことは記憶をしているのだがその他、ベルラの知る魔女に関する詳しい情報など依頼内容にかかわらうことを含めて聞きそびれたためにこのように足を延ばして探偵自らがやってきたというわけだ。
しかしサウスパークの街中にある研究所に先ほど向かったところ受付の女性から、現在所長は不在だといわれ、どこにいるのかと尋ねればこの山側の原っぱにいるということだったのでやってきたのだが、探偵は正直もっと詳しい場所を聞いておくのだったと後悔していた。
というのもその受付の女性が山側の原っぱと呼んだ場所はまさしく見渡す限りのだだっ広い原っぱでありベルラ所長の姿はもちろん、そもそも人の姿が見当たらない。
「……これは研究所に戻ってベルラ所長の戻りを待つほうがかえって早いかもしれないな」
「それもそうです……ん?」
探偵の提案に相槌を打ちかけたカリンが口をつぐみ、耳をそばだてるように顔を少し傾けた。
「何か聞こえるのか?」
「……はい、何かエンジンをかけるような音があの尾根の向こうから」
こうなると研究所に戻るという案も忘れ二人は音が聞こえたという方向に歩を進めていくことに何のためらいもなくずんずんと歩いていく。
そしてカリンの言及した丘を越えた二人が目にしたのは実に驚くべき光景だった。
そこにいたのはベルラ所長をはじめとした大勢の人だかりである。
それら一群の群れは逐一ベルラと何かを話したり打ち合わせをしたりしているところを見るとおそらくサウスパークの研究所職員であろうということは想像に難くはない。
そしてそれら研究所の職員の周りに配置してある多くの機材、機械。
何より探偵とカリンの目を引いたのはそれら研究員たちが遠巻きに眺める一台のひときわ大きな機械であった。
まるで蒸気機関車のレールのような走路の上に乗せられたその機械は何とも名状のしがたい構造であるがまず上下に一枚ずつ設置された巨大な布製の翼に象徴されていた。
その二つの翼は間の何本もの木製の芯や複雑なワイヤーによって固定され前方にはさらに小さな翼が同じく二枚同様に設置されている。
下の翼にはヘルメットと作業着を着用し背中にはパラシュートを背負った男性がうつぶせに寝そべるように待機している。
彼の目の前にはレバーのようなものがあるが……それでその機体を操作するということだろうか。
「あれはグライダー……でしょうか?」
「いや……。グライダーなんかよりもっとでかい。それに動力がついてるグライダーなんて聞いたことが……」
昨日からこの発明家には驚かされることが多かったが、まさか受付の女性に居場所を聞いてやってきてこんな奇想天外な光景を見ることになると思っていなかった探偵もカリンもここまで来た目的も忘れてただたたずむしかない。
そうこうしているうちに下からエンジン音に負けない大音声で檄を飛ばすベルラの声が聞こえてくる。
「目標時間は前回と変わらず3時間!みんな用意はいいか!?」
「OK!」
所長の檄にその場にいた研究員、そして動力付きグライダーに寝そべっている人物がグーサインを出す。
独特の緊張感の中果たしてその機体は走路の上を走り始める。
目測でおよそ時速20km、30km程になったかと思いきやぐんぐん速度を上げていく機体。
そしてついに翼の下の車輪が走路から離れ、自立して浮遊したかと思えた。
もしやあの機体は空を飛ぶためのものなのではと予想はしていたがそれでも実際に目の前で浮かぶ機体に探偵もカリンも興奮を抑えきれず、
「す、すごい……。飛んでます!」
「すごいぞ!もっと!」
と思わず声が出た時である。
突如機体が大きくバランスを崩したように見えた。
そしてそこからの展開は一瞬だった。
巨大グライダーは初速で地面から10mほど浮き上がった状態で一定時間低空飛行をしていたものの、やがてそれすら維持できないほどに左右に大きく揺れはじめ、やがて大きく右巻きに地面に衝突。非常に短い命を閉じた。
「あ、あぁ……」
パイロットはバランスを崩し始めた時点で機体から脱出していて無事だったのはパラシュートが開いていたため目視できたが機体の方は目を覆いたくなるほどに無残に打ち捨てられてしまった。
これにはベルラやその近くの研究員たちからも落胆の声をあげる。
「くっそ……またダメか」
「やはり問題は動力の力不足ですね。これ以上の速度が望めなければこれ以上の揚力は厳しいですね」
「しかし今以上に強力な動力の開発となると……」
悲嘆にくれるベルラや研究員たち。
そこへ探偵とカリンが尾根を降りてやってくる。
ベルラもそれに気が付き、研究員たちの一団の中から出てきた。
「探偵に依頼をするのは初めてなのだが、探偵ってのは昨日の今日で調査の進捗報告をしに来るものなのかね?」
「いえいえ、進捗報告ではありません。ただちょっともう少し依頼内容について詳しい話をと思ってきたのですが今のは……」
「あぁ、あれか。……まぁあなたたちになら話しても差し支えないか。あれは新たな発明品だ。"飛行機"と言って動力を持ちパイロットによって断続的に操縦することを目的としたとても画期的な機械だ。グライダーや飛行船と違いこの機械は……」
っと、ベルラが発明品について説明をしようとしたときである。
「父さん!」
甲高い声とともに研究員の一群の中からひときわ若い……、いや若いというより幼いといったほうがいいほどの年齢の女性が勢いよく飛び出してきた。
「アメリ……。父さんは今この人と話を……」
「父さん!次の試験こそあれに私を乗せて!」
その若い女性は探偵たちをよそにそうまくしたてた。
彼女はカリンと並ぶほどに背が低い。
だが、髪を伸ばしているカリンに対して彼女はその茶がかった髪をスポーティに切りそろえ頭にはバイク用のゴーグル付きのヘルメット、そしてその小さい体には全くサイズの合っていないと言っていいほどにぶかぶかのつなぎを着用しておりそれが余計に幼い容姿に拍車をかけていた。
「私だったらあれを飛ばせる!3時間だって4時間だってあの機体を舞わせて見せる!」
「いや、ダメだ」
女性の剣幕にもひるまずベルラは毅然とそう一蹴した。
「今のを見ただろう。あの操縦士はうまく逃げ出したが一歩間違えば最悪死に至る危険な運転だ。お前を乗せるわけにはいかない。これは絶対だ!」
「でも私は飛ばせる……。ずっとお父さんのそばで研究してきて知識だって原理もわかってる。私なら期待を裏切らず飛ばせるのに……」
先ほどまでいきり立っていたかと思うと今度は涙目になり始める若い女性。
その様子に今度はベルラの方が慌て始めてその女性の肩を抱き寄せた。
「す、すまんアメリ。言い過ぎたよ。……だがアビーに続いてお前まで失いたくないんだ。分かってくれ……」
「……」
到底ベルラの言うことを理解したとは言えないほどに悲嘆にくれた様子でそのアメリと呼ばれた女性はその場を去っていく。
ベルラはその様子をやれやれと頭を掻きながら見送っていた。
「先ほどの実験失敗といい、お恥ずかしいところをこう立て続けに見られてしまったな」
「いえいえ、とんでもない。今のは……」
「あぁ、不肖ながら私の娘だ」
答えた後ベルラはなぜか少し困り果てたような、それでいて少し楽しそうに腕を組んだ。
「あの通りの聞かん子で女の子だってのに冒険心というか好奇心が人一倍強いと来たもんだ。一体誰に似たのやら……」
「失礼ながらアビーというのは奥様の名前ですか?」
「あぁ」
これまた好奇心の人一倍強い女性であるカリンの問いかけに答えたベルラは首に下げたネックレスの先端にあるロケットを開いて見せてくれた。
中には明るい髪色と笑顔をのぞかせる長髪の美しい女性が写っている。
「アビー=カルラ。何もかもが本当に美しい女性だったよ。五年前に病気で亡くなったが」
「そうだったのですか……」
「妻がなくなった今アメリが私のすべてだ。本人がどうしてもというので研究員として働くことまでは許しているがあの飛行機に乗せるというのは……あまりに危険すぎる」
バラバラになった"飛行機"の残骸とけがの確認を研究員たちと行っている操縦士の姿を眺めながらベルラはまるでつぶやくようにそう言った。
が、すぐに我に返ると探偵たちに向き直る。
「ところで捜査進捗の報告に来たのでないなら何をしにここに?」
「実は私たち例の魔女の捜査に関してベルラ所長に何点か確認したいことがあったのです」
探偵に代わりカリンが端的に要件について話す。
「えぇ、我が助手の言葉に付け加えるのであれば……所長の方が何か我々にお話しするべきことがあるんじゃないかと思いここまで足を運んだ次第です」
「は、話すべきことだと?藪から棒に何を言うのか……」
「……と思ったのですがもう用は済みました。今日のところはこれで退散いたします」
「……」
話を一方的に打ち切って探偵はくるりと所長に目を向けて先ほど超えてきた丘へと向かっていく。
カリンもこの予想外と思えるタイミングを完全に見計らってたかのように軽くベルラ所長に一礼した後同様のタイミングでその場を立ち去る。
「やはりあの所長……何か隠しているな。おそらく今回の依頼にも大きく関係する何かを……」




