君への一行
「とりあえず君は一回学校行きなさいよ。」
君は海を向いたまま呟いた。
「え!? 今すごいやる気満々なんだけど!?」
さっきまで壮大な話をしていたので、
よく分からないテンションになっていた僕は驚いた。
「いやもう今日のノルマは達成って事で。」
と携帯で連絡先を交換すると、
君はふわふわと帰っていった。
気分屋な所があるのは、なんとなく分かっていたけど
何となく腑に落ちないけれど、
今からなら午後の授業には間に合うので、
僕は学校へ向かう事にした。
電車の中は、とても静かだった。
いつもの電車と何も変わらない、
なのにその静けさが今日は嫌に耳についた。
この世界の人間は皆無意識で生きている。
そこに感情は一切挟まれない...
静かな車内で、僕の思考はぐるぐると
僕の友達も、親も
それは役割を演じる人形の様なもので..
悪い方向へばかり進んでいく。
それは、今までの全てに意味があったのかと、
お前は誰なのか、機械ではないのか。
そして君の笑顔を思い出す。
僕は一人になって、君の孤独を知った気がした。
君には心がある。
僕に心がある事を教えてくれたのだから。
きっと君だって僕と同じ様に考えていた筈なんだ。
携帯を取り出すと聞いたばかりの君の連絡先を探す。
そして文字を打ち込みながら僕はまた思う。
初めて僕は誰かの為に心を使っていると、
そうして僕は心を自覚した。
瞬間 視界が、僕の世界が確かに変わった。
同時に打ち終わった一行を君へ送る。
別れたばかりなのに、
今日初めて会った筈なのに、
君は僕を見つけてくれたんだ。
君は僕に心をくれたんだ。
君に出会わなければ確かに僕は機械のままだった。
「君は機械の僕を壊してくれた世界も壊せるよ。」
数分して返信
「当たり前なんですけど!」
君の顔を想像して僕は笑った。
初めて心から笑った。