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世界を×××、小悪党ども  作者: つちのえーたつ
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黄色い砂の国の話(1)

 強烈な太陽光が丸窓から入ってきた。同時に団長からの放送が流れる。

「よーしお前ら着いたぜ。今回は『黄色い砂の国』だ。出るときは水と日焼けしっかりしろぉ!」

 相変わらずの説明だ。私はマユさんの肩を叩き、外を見るように促す。彼は急に景色が一面黄色になり、気温が上がったことに驚いていた。

「本当に異世界に行っちゃったっぽいなあ。うわああ、まじか、まじかあ!」

 異世界の住民も新規だとなかなか信じてもらえないから、当然の反応だ。

 この異世界は他と比べ比較的繋がりやすい。他の類がいても気にせず商船を楽しみにしている層が多く、異世界初心者には動きやすく安全だ。ここを見た後、終着点に戻ったら類や族の多様さに驚くだろう。念のため付け耳はしてもらうが。金色ならばなんの耳が合うだろう。

 私も窓から景色を見る。見事に砂ばかりで現在地がわからない。

「どこに向かっているの?」

「お得意様か町のどちらかです。たぶんお得意様でしょう」

「お客さんは町にいるもんじゃないの?」

 最もな質問だ。

「ここのお得意様はーーシェンカー様と言うサソリ族の方なんですが、変わり者でして。いつ枯れるともわからないオアシスにいるもんだから、団長はここにくるといつも水を売りに行くんです。偏屈魔導士同士、ウマが合うというのもあるんでしょう」

「そんなとこに一人で住んでて、危なくないかな?」

「住み込みの弟子がいるから大丈夫かと。男の二人暮らしは気も楽ですからね」

「え、ホモなの?」

 何を言い出すんだ。

 口から落としたタバコを慌ててつかむ。なんて直球な質問をしてくるんだ。

 オアシスで暮らしている2人を思い浮かべる。いい年して独身のおっさんが、魔導の研究の為といいひっそり暮らす。そんな要素は、たぶん、たぶん。その道のプロでないから自信ないけども。

「……そんな気はしなかったです」

 へー、ともう興味が移ったのか窓を見ている。なぜ聞いた。やはり結婚していないと女に興味がないと思われるのか。私自身いい年で婚期は地平の彼方に消えていると自覚しており、周りからそう見られている節もある。勘弁してくれ。

「サンさん、どうしたの?」

「……あそこ、サンドワームがいます」

 黄土色の虫がうねって砂中から顔を出している。

「あいつの肉、毒抜きが面倒だけど美味いんです。狩りにいったら新鮮なものが食べれますよ」

 若干引き気味の顔をされた。モンスターというだけで嫌な顔をするやつは多い。いきなりステーキは難しいだろうから、ササミと偽りサラダに混ぜて食べさせよう。

 くいくい袖を引っ張られる。変なことを考えたのばれたか。

「団長さんに挨拶、今できる?」

 すっかり忘れていた。

 団長室をノックし、「い」で入る。私が最後まで聞かないことをわかっているので団長も何も言わない。そもそもノックするやつが少ない。

「起きました」

 彼は行儀悪く机に足を乗せて本を読んでいた。ぐりんと頭を180度回転させる。

「あ? ……後ろのかぁ。服着てると女みてぇだ」

 げっげっげっ。

 ドクロを模した仮面から漏れるくぐもった声に得体のしれなさを感じたか、マユは一歩下がる。助けを求める視線。大丈夫だと頷いた。

「警戒しなくてもいいです」

 この船の乗組員皆、自称記憶の無いあなたも含め、得体のしれないもの同士なのだから。

 マユの状況を説明する。

「記憶喪失……ドゥルジがお前を拾ってきたとき、すげぇと思ったけどよぉ。すげぇのはすげぇ奴拾うんだな」

「記憶喪失ってすごくないと思うけど。サンさん何したの?」

 どう言おうか団長は言葉を濁す。彼も私もジャンルは違えど悪趣味の極みだから、子どもには刺激が強いと口にするのをはばかってしまうのだろう。

「私が誰よりも悪食なだけです。血一滴すら残さず食べようとしましたので」

「その見た目でアジア人なの?」

 また聞いたことない単語が出てきた。

「アジアとはどこですか」

「…ご飯が主食の地域かな? 食に命かける人が多そう」

 終着点だと、白米が主食の国は極東や獅子帝国だ。確かにあそこは食に対する情熱がすごい。毒があろうが腐ってようが食えるようにするほどだ。

「私は極東に行ったことはありますが、出身ではないです。白米は大好きですけどね。ちなみに、どこ出身に見えたんです」

 これで出身地を特定されたら、見た目の変更を検討しなくてはいけない。

「北……んん、寒いところ。サンさん、色白くて肌すごくきれいでしょ」

 はずれで安心する。しかし、肌がきれいだと。私が肌を露出しているのは顔だけである。顔を見て言われたのか。顔面偏差値は極めて低いとわかっているのに、きれいなヒトからきれいって褒められるの悪い気がしない。

「……ありがとうございます。照れますね」

「褒めすぎじゃねぇかぁ? 話戻すけど、今の段階で異世界出身と決めるのは早い。終着点だって誰も行ったことのない地域はあるし、姿を隠しながら生きる部族もいるらしい。オレは言葉に詳しくないから……」

 カチャリ。

「お兄ちゃん」

 団長を迎えにリタがやってきた。

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