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第二話 二人の異端児


安全保障を確立するため、日本は手始めに陸海空の幹部大学校を設立し、優秀な人材確保に努めたのである。


だが、いくら優秀な人材がいても、軍備が整っていなければ彼らは遊兵に過ぎないのである、もちろん逆もしかり。要はバランスが大切なのである。


平成28年5月2日

扶桑重工業株式会社

広島造船所第一船渠


扶桑重工業株式会社は、近年優秀な設計と工員を持って頭角を現した造船業と建築業を主体とする株式会社である。


この第一船渠では、三菱重工業株式会社と接戦のうえ勝ち取った、海上自衛隊の新型護衛艦を建造していた。


「順調だな」

工事の進捗状況をよく見下ろせるところに、作業服を着た中年男性が立っていた、彼は一条(いちじょう)(たか)(あき)。苗字からわかる通り尊征の父親である、彼は扶桑重工業株式会社の設計主任である、この10年で尊暁が手掛けた船舶は社外問わずに計算すると85隻に上り堅実で実用性を追求した彼の設計は船主から称賛されている。


「主任!防衛省の方が面会を求めています」

「防衛省?今更なんだ」

尊暁は多少不機嫌になりつつも、事務所で待たせていた防衛省役人と面会した


「初めまして、一条設計主任」

「だれだ、お前、わざわざ東京から何の用だ」

「名前は分け合って申し上げられませんが、技術研究本部の者です」

「技本?今更なんだ?主砲はすでに開発済みとの連絡を受けているが」

「いえ、今回はそのことではありません、26DDGに搭載予定のSeaRAMの事ですが」

「あぁ、そっちかどうした、まさか輸入できないとは言わないよな」

「まぁ、中らずとも遠からずです、昨日アメリカ国防省から打診がありまして近日実戦配備予定のLancerの提供の用意があると」

「なんだと・・・面白いじゃないか、検討する後日に正確な仕様書を頼む」

「早期の決断助かります」

「見ていくか、彼女を」

そう言いつつ、尊暁は防衛省の役人にヘルメットを手渡す

「ぜひ」



同日

東京都:港区

扶桑重工業株式会社「Mizuho Tower」

機密会議室


扶桑重工業株式会社の本社が入るビル「Mizuho Tower」は地上240m階数55階の複合ビルである、しかしメインとなるのは地下に存在する関係者以外立ち入り禁止の機密会議室を始めとした部屋である。


本日は建造中の護衛艦と次世代護衛艦の仕様が議題に上がっていた。


中央の席に座るのが、扶桑重工業株式会社の代表取締役、一条(いちじょう)(たか)(ひろ)である。苗字からわかる通り、尊暁の父親であり、尊征の祖父である、経済、交渉手腕は一流であるが尊暁のような設計等におけるセンスは皆無で腕は二流である。


「26DDGは順調との報告じゃが、26DDHの方はどうなんじゃ」

尊博が言っている26DDHは、いずも型護衛艦の大幅に拡大発展させたもので、退役予定のしらね型護衛艦の代艦となるために呉のIHI石川島播磨重工業が保有する船渠で建造が進められている。

「はい、艦体の進捗工程は40%、予定通りです」

IHIから派遣された技師がそう報告すると、尊博は満足そうにうなずく。

「あとはロッキードの返事を待つだけじゃな、まぁ連中もあの機体に未練があるようじゃから、大丈夫だと思うがな」

「そうでないと困りますよ、艦載機が前時代のファントムⅡになってしまいますよ」

「それは、無いでしょう三菱の連中も意気込んでましたから」

「なら問題ないじゃろう、問題は次世代型護衛艦じゃな」

26DDGの次級・・・老朽化するはたかぜ型の代艦として建造が予定されている次世代型護衛艦であるが、どのようなコンセプトで設計建造するか防衛省でも難航していた。


「防衛省では決めかねているようですが、26DDGの発展型で片が付きそうです」

「発展型か、電力の方で懸念がでるな、近いうちに三菱に連絡を取ってくれ」

「取締役それは・・・」

「発展型ともなると、ガスタービンじゃ不安じゃろ」

「了解しました」

「まぁ、防衛省から発注がないと造れないがな、取り敢えず保険じゃ」

尊博は笑みを浮かべ、これからの事を考えていた。



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