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神ゲームの最古参 ~私の師匠は猫さんです~  作者: ma-no
一章 猫に弟子入り

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9/11

009 猫の呪い1


 猫さんは「にゃ~にゃ~」鼻歌まじりに進み、森に少し入ったところで足を止めた。


「んじゃ、今日からの拠点はここにゃ。割と近いところに修正されてにゃいバグエリアが残ってたにゃ~」


 始まりの町からおよそ1キロ地点で猫さんはそんなことを言ってるけど、このゲーム、バグ多すぎない??


「あの~? バグは1%未満ってお兄ちゃんが言ってたのに、こんなにいっぱいあっていいモノなんですか?」

「1%未満ってのは、運営の発表だから眉唾モノにゃ。まぁPHOの土地は広大だし、それに伴うシステムやコードは途方もない数になるはずにゃから、吾輩(わがはい)が知ってるバグにゃんて、宇宙に浮かぶ地球みたいにゃモノかもしれないけどにゃ」


 言われてみたら、確かに。木が一本、葉っぱの数までシステムやコードがあるんだから、私が見たバグなんて百億分の一、百兆分の一のバグかもしれない。

 初心者が2日でバグを見すぎたから多く見えただけだ。てか、知っちゃいけないことを教えられているのでは??


「この場所と入り方はしっかり覚えておいてくれにゃ~」


 猫さんは念入りに場所と動きを教えてくれるけど、できるかな~? だって猫さん、両手を合わせて頭の上にしたら、ギュルンと左回転しながら頭から景色に飛び込んだんだよ? それで本当に消えたし!


「わかったかにゃ?」

「わかったと言えばわかったのですけど……」


 猫さんがバグエリアから出てきて声をかけるが、私は自信ナシだ。


「これって、向こうに行った時、着地はどうなってるんですか?」

「地面に体を打ち付けて転がってめっちゃ痛いにゃ」

「えぇ~……痛いのは嫌だな~」

「そうは言っても、第1フィールドはここしか隠れる場所がないしにゃ~。吾輩のホームも第11フィールドにあるから辿り着くの、1年ぐらいかかるにゃ」


 ホームとは、個人で所有できる土地らしい。それを猫さんは持っているのに、何故にバグエリアを探して拠点としているのかは謎だ。


「とりあえずやってみます……痛い!?」

「ありゃりゃ。回復薬あげるにゃ~」


 1回目は失敗。着地と同時に痛みが走るわ、転がって石とかで体を削るわで散々だ。7回目でやっと成功したけど、向こう側で同じ痛みが走るから、成功した気分にはなれませんでした。



「さてと……愚痴の前に、走る練習しちゃおうにゃ。スタミナの回復待ちに愚痴を聞かせてやるにゃ~」

「は、はい……」


 猫さん、もう愚痴と言っちゃってる。これから48時間耐久愚痴を聞かされるのを考えるとやる気が失せるが、私はクラウチングスタートから一気に力を込める。

 猫さんは……横目で見たら、鼻歌まじりに木を切ってる。あれ、何が楽しいんだろ? てか、コサクさん以外の歌はないの!?


 ツッコミたい気持ちを我慢して30分。スタミナは切れたけど、いい疲れだ。やっぱり走るのは楽しい。

 私が息を切らして横になっていると猫さんが顔を覗き込んできたから、不意に顔を両手で挟んでしまった。


「モフモフ~」

「離せにゃ~。お茶と和菓子を用意してやったのに、お預けにするにゃよ?」

「……ハッ!?」


 これは不可抗力。疲れから思考能力が低下していただけだ。お茶が美味し~い。和菓子もうまっ。水菓子ってヤツかな? なんで透明の中にサビた自転車が入ってるんだろ? ドブ川の中を表現してるの? 斬新すぎるよ~。


 私が和菓子の皿を持って色んな角度から見ていると猫さんと目が合った。


「んで、吾輩がどうして猫のアバターを使ってるかだったにゃ?」

「あ、はい! ネットで調べたら、猫さんはUMA扱いになってましたよ? 神出鬼没の上に、追ったらフッと消えるとか……あっ、バグエリアに逃げ込んでるのか」

「まぁ人の目に付かないようにしてるから、ネットの記事は(おおむ)ね間違いではないにゃ」


 猫さんはズズズーっとお茶を飲んで遠い目をする。


「今から18年……いや、8年前にゃ。猫の国ってのがあるフィールドが解放されたにゃ」


 猫さんは大胆に年数詐欺をしてから話し始めるのであった。



 猫の国とはその名の通り、猫さんみたいな立って歩く猫のNPCノンプレイヤーキャラクターが暮らす町らしい。

 そこのクエストは行ってからのお楽しみだからと(はぶ)かれたが、クエスト中の戦闘で呪いを浴びるとプレイヤーは猫になってしまう仕様があったと教えてくれた。


「わ~。楽しそうな場所ですね~。私も行ってみたいです~」

「女子に人気だからにゃ。本来は第15フィールドにあったけど、第6フィールドに移転したから、ストーリーを無視したら2、3ヶ月で行けるにゃ」

「へ~。猫にもなってみたいです。アメリカンショートヘアーがいいな~」

「残念にゃがら、その仕様はなくなったにゃ」

「え? こんなに面白そうなのに??」


 なくなるにはそれ相応の理由がある。猫さんは立ち上がると自分の姿をよく見ろと言われたけど、どこに答えがあるかわからない。


「かわいいじゃないですか?」

「見た目は満点にゃろう。見た目じゃにゃくて、実用性を考えろにゃ。自分がこの姿になったらどうなるにゃ??」

「全身鏡で見る……スクショ撮りまくる……」

「まだ見た目から離れてないにゃ~」


 そう言われても、かわいいとしか言いようがない。


「おっきな頭もかわいいし、短い手足もかわいいな~」

「そこ! そこにゃ!!」

「頭と手足……あっ!?」


 私、気付きました!!


「そんな短足で走れるんですか!?」

「吾輩はにゃんとかにゃ。他の人は猫の呪いを喰らうと歩けもしないんにゃから、全滅にゃ~」


 そりゃそうだ。いきなり幼児ぐらいの大きさになって手足も短くなるんだから、戦闘なんかできっこない。もちろんクリアーできないから、猫の呪いは封印するしかないね。


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