表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神ゲームにいるUMA~私の師匠は唯一無二の猫なのに知名度が低すぎです~  作者: ma-no
一章 猫に弟子入り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

002 カノの気持ち


 私、田村佳奈は兄の勧めでパンゲアヒストリーオンラインを始めました。

 お兄ちゃんは私のことを大事にしてくれるけど、ちょっと大袈裟な時が度々ある。でも、パンゲアヒストリーオンラインを調べ始めてから少し様子が変わった。


 あの顔は、早く冒険に出たくて仕方ないんだろうね。


 私の予想は的中。ゲームの世界に足を踏み入れてからのお兄ちゃんはずっとソワソワして、私のことも何度も置いて行こうとするし。


 それはそれで助かるんだけど……


 ただ、リハビリギルドに入れなかったのは誤算だ。体の不自由な人でも懇切丁寧に教えてくれるし、パーティメンバーも同じ境遇の人と組めたのに断られてしまったのだ。

 お兄ちゃんもここに私を預けてゲームを楽しもうとしていたのか、ちょっと残念そうにため息を吐いた。


「私、1人でも大丈夫だよ?」

「そんなワケないだろ。歩くのもままならないじゃないか」


 お兄ちゃんは私の意見は聞いてくれない。町の外に出ることを様々な理由を付けて私を納得させた。正直、言い返せないってだけだけど……



 始まりの町の外に出るとお兄ちゃんの歩きが速くなり、私を気遣う回数が激減した。それは森に入っても一緒。モンスターが足止めしてくれるから追い付けるけど、私にも戦わせてくれてもいいのに。

 そんなこんなで森の奥に進んでいたら、コーンコーンと木を叩く音と、歌声が聞こえてきた。


 コサクさんが木を切ってるって言ってるだけ? 「へいへいにゃ~ん」ってなんだろ? 語呂、悪くない??


 とか思っていたら、立派なログハウスの近くで斧を使って木を切っている黒い毛皮の小さな獣を発見。お兄ちゃんが言うにはプレイヤーらしいけど、獣人のアバターはないらしい。


 アレがコサクさん? ……へ? 猫??


 獣が振り返ったら、黒地に顔やお腹、手が白い、どこにでもいるようなありふれた野良猫。モフモフしていてめっちゃかわいい。ただ、猫さんも私たちもビックリして声が出なかった。


「にゃ~~~ん♪」

「「いやいやいやいや。ムリムリムリムリ……」」


 今さら丸まって猫っぽくしても遅すぎる。歌いながら木を切ってるところ見てたもん。

 私たちが小刻みに素早く手を振って否定したら、猫さんも恥ずかしそうに立ち上がり、はだけていた水玉の着物をキチンと着た。その服もかわいいね。


「ついにこの場所に入ってくるヤツが現れたにゃ~……」


 にゃって言ってる~! かわいい~!!


「つきましては、お命頂戴いたしにゃす」


 いや、かわいくないこと言ってる~~~!!


 猫さんは斧を振り回すモノだから、私は後退(あとずさ)る。お兄ちゃんも驚いてはいたが、私を守るように前に立ってくれた。


「ま、待った! 俺たち初心者! 今日からなんで、PKはやめてください!!」


 PKって、確かプレイヤーがプレイヤーを殺すこととか言ってたっけ。お兄ちゃんの必死の訴えのおかげで、猫さんも斧を下ろした。


「初心者にゃ? 確かに初心者装備にゃけど……ここはバグってるから、初心者が入れるワケないんにゃよ??」

「本当です! てか、バグってなんですか? PHOはバグなんて1%以下しかないって聞いてるんですけど??」

「1%でも立派なバグにゃ。たぶん発表してないだけで、もっとあると思うけどにゃ~……」


 お兄ちゃんと喋ることで猫さんは矛を収めてくれた。こういうところ、お兄ちゃんは凄い。まったく空気を読まず質問してるから、私たちのことは初心者プレイヤーだと信じてくれたみたいだ。


「そういえば、新しいストーリーが追加される頃にゃっけ?」

「はい。妹もやれる年齢になったので、ストーリーに合わせて登録しました」

「にゃるほどにゃ~……あ~あ。とうとうここも修正入っちゃったにゃ~。始まりの町近くだから、もう運営も調べないと思ってたのににゃ~」


 猫さんが言うにはこの場所は、空間が二重に重なっていて普通は素通りしてしまう場所で、特定の位置である行動をしないと入れない場所らしい。

 そして新しいストーリーが配信される時に大規模な修正が入ってバグを直されるケースが多いそうだ。


「ところでネコさん? そのアバターって、どうなってるんですか? PHOにはそんなアバターありませんよね??」


 お兄ちゃん、グッジョブ。てか、猫さん、名前もネコだったよ! いま気付いた!!


「これはにゃ~……よんどころにゃい事情があって、話すと5時間はかかるにゃ~」

「ご、5時間も?」

「99%愚痴にゃ。聞くにゃ? 聞いてくれるにゃ? お茶も出すにゃよ? 美味しい茶菓子も奮発してやるにゃ~」

「いや、その……」


 猫さん、圧が凄い。お兄ちゃんもタジタジだ。私は聞いてみたいけど。あまりゲームやる気ないから、お喋りメインで楽しむつもりだし。


「まぁ聞けにゃ~」


 結局、お兄ちゃんが猫さんに押し切られたその時、大きな黒い狼が駆けてきた。


「本当にいた!?」


 狼かと思ったら、その上にはロン毛オールバックのオジサン。いや、強そうなプレイヤー。私たちに近付いたら、狼から飛び降りた。


「ついに見付けたぞ! 猫!!」


 どうやら猫さんに会いにきたみたい。その点はホッとした。


「猫で合ってはいるんにゃけど……どちらさんにゃ?」


 ただ、猫さんは怒鳴られても意味不明って顔。知り合いってワケではないのかな?


「俺の顔を忘れたのか!? お前にPKされたリョウガだよ!!」

「……リョウガ……リョウガにゃ……大剣使いのリョウガにゃ……ダメにゃ。記憶にないにゃ。たぶん瞬殺した人かにゃ?」


 殺しておいて記憶にないなんて、猫さんは酷い…人? 酷い猫だね。


「なんで忘れてるんだ!? 5年前のあの日だよ!!」

「そりゃ無理にゃ~~~」


 前言撤回。5年前に瞬殺したなら、私も覚えてる自信はないです……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ