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私はジャガイモです。

作者: 礫 英

「はじめまして、私はジャガイモです。」

ここは面接会場。就活生のなかでもジャガイモは目立つはずなのに、目の前に座って初めてその存在に気付いた。それにしても最近のジャガイモは「申します」を使えないのか。


さて、ここは面接会場で私は面接官なので、質問をしなければならない。例え相手がジャガイモであっても、私は採用のプロとして向き合うべきなのだ。

「はじめまして。えっと、品種はどちらでしょうか。」

するとジャガイモは怪訝な表情になった。

「それは面接に関係ありますか?」

しまった。焦るあまりプライベートなことを聞いてしまった。まったく、最近のジャガイモはなんでもすぐハラスメントとうるさいからな。気をつけなければ。

「失礼しました。面接に関係はありませんので、答えられる範囲で結構です。」

「…メークインです。」

「ありがとうございます。では次の質問に移ります。学生時代に力を入れたことをお聞かせください。」

気を取り直して面接を進めていった。ジャガイモはボランティアサークルの会長で、留学経験もあった。何よりもハキハキと答える様は好感が持てる。第一印象が塗り替えられるのにそう時間はかからなかった。


「それでは最後の質問です。弊社に入社した場合、挑戦したいことはありますか?」

ジャガイモは大きく息を吸い込んだ。

「はい。わたしが御社の一員となった暁には、福祉事業に挑戦していきたいです。少子高齢化が進み、福祉のニーズは多様化しています。自分の強みであるリサーチ力を活かして、多様化するニーズを分析し、御社に貢献していきたいと考えています。」

ふむ。このジャガイモには内定を出そう。最初こそ態度の大きさが気になったが、それはつまり周りの意見に流されない芯のあるジャガイモといえる。きっと、わたしたちニンジンの中でもやっていけるはずだ。

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― 新着の感想 ―
種族の枠を越えて、じゃがいもさんを受け入れる面接官さんの器の大きさに非常に感動致しました。 私も是非とも面接を受けてみたい所存でございます。
ニンジンのなかだったのかよ! と思いました。 品種ハラスメントが面白かったです。シュールでよかったです。
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