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7/7

一番好きな百合漫画について書くよー

<授業中こっそりキミを振り返る

 あたしの視線に気付かなくたって平気だよ

 伏せたまつげを見るだけで

 小さなあくびを見るだけで幸せ 

 なんていいながら目が合う瞬間が一番幸せ>



<5番目に好きなのは夏の青空

 4番目に好きなのは甘いケーキ

 3番目に好きなのはおしゃれなもの

 2番目に好きなのはかわいいもの


 1番好きなのは ここじゃ言えない>



<「友達」じゃ軽すぎるし

 「親友」なんてありふれてる

 『ねぇ…なにがいい?』

  笑いながら

  繋いだ手をぎゅってしてくる

  キミのこと

  世界で一番かわいいって思った>



(それぞれ6巻・14巻・16巻の単行本裏表紙から引用)



岸虎次郎著『オトメの帝国』(2024年12月現在、19巻まで刊行)


 女子校を舞台にした、多種多様な百合カップルのいちゃいちゃを描くGL群像劇。それが『オトメの帝国』である。

 百合好きの人にこれをお勧めすると、みんな微妙な反応をする。

 理由はよくわかる。

 連載初期の頃(つまりWEBで無料公開されている部分)は、百合というより、少しエッチな日常系コメディなのだ。リアル寄りな絵柄で、エロは描くけど恋愛感情はほぼ描かれず、みんな「昨日カレシがさー」とか言いだしかねない雰囲気がある。百合好きのメイン層には訴求力が低い作風なのだ。

 だけど、それでこの作品を見限ってしまうのは、あまりにもったいない。

 というのも、裏表紙に珠玉の百合ポエムが載るようになった3巻から、胸キュン恋愛百合路線にぐぐっとシフトチェンジするのだ。

 登場人物にカレシいそうな雰囲気は霧散し、「あたしはあの娘が好き」という気持ちが描かれるようになる。女の子同士の恋模様が、全面的に描かれるようになる。ちなみに絵柄も、オリジナリティを残しつつ、かわいく美しいものに進化していく。

 3巻以降の『オトメの帝国』。それが味岡にとってのベスト百合である。

 前述したように、この作品は群像劇だ。複数の女×女の物語が、単話読み切り形式で、同時進行していく(キャラは使い捨てでなく固定)。

 そのどれもが、ちょっと笑っちゃうくらいレベル高いのだ。群像劇なのをいいことに、いろんなシチュエーションでの最高GL展開を、次から次へとぶっこんでくる。さながらGLの奥義書だ。

「GLの奥義書?いやー、WEBの無料部分だけ読んだことあるけど、ちょっと信じられないなー」

という人はどうか、Amazonで、本作のサンプルページを読んでほしい。11巻以降から、冒頭一話を丸々公開しているので、ここで言っていることが嘘か本当か確認できる(そしてこの11巻辺りから、筆の乗りっぷりが凄い)。


 所で『オトメの帝国』は基本サザエさん時空なのだけど、なんとなーく、そろそろ終わりに近づいている気配がある。悲しい。もっと売れてほしい。至高の本格GLだと知られれば、たぶんもっとパイが広がるはずなのに。集英社、傑作回をSNSに投稿するとかして……。

 そんなわけで、以下の百合シチュのどれかが好きな人は、ぜひ本書を手に取って下さい。


・幼なじみ百合(本当に素晴らしいので特におすすめ)

・陰×陽百合

・先輩後輩百合(先輩がタチ)

・先輩後輩百合(後輩がタチ)

・イチャラブ恋愛百合

・ほっこり友情百合

・三角関係百合

・共依存百合

・ツンデレ百合

・ヤンデレ百合

・小悪魔百合

・SM百合


 一つでも引っかかったなら、今すぐ帝国に行こう。きっと幸せになれるから。

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