表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

606/610

第551話 そう簡単に行くかしらね

「【オールデッドワン】は【イクリプス】や【マクシス】よりも多様に富んでいてね。その検証には個人的な資産では到底不可能だったのだよ」

「個体事に性能が違う事は我々にも理解できますけどね。しかし、オズウェル。貴女の資産では不可能だったとは思えませんな」

「問題は人材の確保。特に必要なのは強靭な心身を持つ者。軍はソレを利用するには都合が良かった。けれど、国が大きければ大きいほど内部の地位を手に入れるには面倒事が多くてね。特に【千年公】の手がかかった者たちが多い国では大々的に実行する際に彼女に察知されてしまう可能性が高かった」

「それで、ベルファストを選んだと?」

「小国であり、何故か彼女がノータッチだったからね。起点と頭の良さで20年ほどキャリアを積めばあっという間に必要な地位だ」

「そこで【オールデッドワン】の研究が進んだと?」

「進んだ……というよりも確認作業だった。戦争が起き、合法的に人材が集まり、“処置”を施した後に経過の整合性を確認する。まぁ、結果は想定通りだったから何もイレギュラーは無い。何人か面白い人材は居たが」

「では、他が【オールデッドワン】を作ったとしても対処は可能だと?」

「“処置”された素体による。【オールデッドワン】は身体能力を大幅に引き上げるが、それよりも危惧すべきは素体本来が持つ特性だ」

「魔法が得意な者はより強力になると?」

「ああ、その解釈で間違いはない。常人と軍人では【オールデッドワン】を“処置”したステータスに10倍近い差が出た。これは、素体にどれだけ効率よく敵を殲滅する“経験”があるかどうかに起因する」

「では、腕の立つ者が【オールデッドワン】になった場合は特に注意が必要ですね」

「高い知恵を持つ者もだ。彼らは常に頭の中で独特の『公式』を持っている。フェーズ2の【オールデッドワン】はその全てを再現し、制限なく“創造物”を行使するだろう」

「直接的に来る、『戦士』タイプよりは厄介と言う事でしょうか?」

「心身の鍛錬が薄い分、命の強度は高くないと思うが、搦め手が多い分、被害は広範囲に及ぶだろうね」






「ノーティム、無事だったか」


 ラナヤは『ゴルド王国』へ侵攻する際に、彼女とは連絡が取れなくなった事を懸念していた。


「ええ。スメラギさんに助けてもらったの。本当は隙を見つけて『石板(モノリス)』を破壊する予定だったのだけれどね」


 ノーティムは『石板(モノリス)』を困ったように見上げる。【オールデッドワン】による損傷は巻き戻るよう修復していた。


「ふふ。そう簡単に行くかしらね」

『…………』


 ラナヤとノーティムへ改めてストリングドールは向き直り、プロトワンも側に佇む。

 リースは、どうにかして皆で手を取り合えないかを模索していた。


「……ストリングドール。妾は貴様が話の分からない奴とは思えない」

「ふふ。ラナヤさん、その考えは少し自分の都合に寄せ過ぎだと思うわ。私達は決定的に交わらない事があるでしょ?」


 ストリングドールは王城の屋上広場方面を見上げる。ここからでは他の建物が邪魔をしてあちらがどうなっているのか見えないが、彼女が何を想っているのかが伝わった。


「【覇王】に対して何を成すか。その一点だけは私と貴女達は絶対に交わる事がないのよ♪」

『……』


 プロトワンが動く。ソレは二人に対しての攻勢ではなくストリングドールを抱えての離脱だった。


「ふふ。ノーティムさん、土に埋める程度じゃ彼に対する拘束は甘かったみたいよ?」


 いつの間にか、地面に半身を埋めていたハズの【オールデッドワン】が離れた所で再生していた。側の『キューブ』は既に“砲塔”に変わり、チャージを80%完了している。


「ノーティムさんが来たのなら良い感じに相打ってくれそうね♪」


 プロトワンに運ばれる形でストリングドールは『石板(モノリス)』の上に退避。


「チッ!」

「リースさん、アレは殺し続ければ死ぬのですよね?」

『え、は、はい!』


 “砲塔”のチャージが完了すると同時にヴァ! と【スペクターキャノン】が直線上を全て破壊する。

 彼方まで貫くソレをラナヤはリースを肩に寄せ、横へ避けつつ回避。ノーティムはそのまま光に呑まれた。


『! ノーティムさん!』

「アイツは大丈夫だ! ソレよりも――」


 【オールデッドワン】の周囲にどこからともなく『機人』達が現れた。


「アレは何だ?」

『テスラの作った戦闘機兵よ。アステスの『機人』をモデルに開発したの。私もちょっと関わったわ♪』


 『石板(モノリス)』からストリングドールの声が聞こえる。

 すると、【オールデッドワン】の隣に降り立った『機人』達は伸びる影に染められる様に黒く塗り潰され、次々に赤い光が灯る。


「なんだ?」

『制限が解除されたの。あの状態は素のプロトワンでも苦戦するわ。ちなみに最後には自爆するから気をつけてね♪』


 フェーズ2――

 ローハンの様な直接的な効果を及ぼす“影腕”ではなく、テスラの場合は己の理解している創造物に対して限界性能(オーバースペック)を引き出し、更にその上から擬似的に【オールデッドワン】のステータスを付与する能力だった。


「高みから助言するくらいなら降りてこい」

『ふふ。程よく貴女達が相打ちになる程度には手を貸すわ。頑張って♪』


 【スペクターキャノン】の照射はラナヤを追いかける様に横薙ぎへ。

 『石板(モノリス)』はストリングドールにより強化。【スペクターキャノン】程度では破壊できない様にコーティングされる。


「チッ。ノーティム! 補佐を頼む! 私が【オールデッドワン】を殺し続ける!」


 ラナヤは地面を凍らせ、その上を滑る事で加速。【スペクターキャノン】の“砲塔”へ『絶凍クナイ』を投げて一門を停止させた。


『ギギゴ――』


 『影機人』達が【オールデッドワン】と同じ様にコマ送りの動きでラナヤへ迫る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ