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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第547話 【禁忌】を掬い上げた

 『炎魔法』における温度上昇は『氷遁』(氷魔法)が主体となるラナヤにとっては大きく能力を阻害する天敵――


『…………』


 プロトラワンは腕部のみに『ヒートテック』を発動。強く熱する拳を中心に攻勢を行う事がラナヤに対する“最善”だと分析。優位を取れる立ち回りを的確に判断しつつ『加速』で一気に距離を詰め、一撃を叩き込む。


「ナメられたモノだな」


 だが、驚く事にラナヤはその一撃を片手で受け止めていた。


「妾が相反する『炎魔法』に対し、対策を何も取っていないと思われているとはな!!」


 急速に熱が奪われ行く。奪った熱はラナヤを通して、もう片方の手の平に“球状”となって集まっていた。


 状況分析――

 熱を奪取され滞留――

 『ヒートテック』機能停止――

 機体の可動熱低下――

 『絶凍』発動確率45%――

 『音界波動』起動――


 プロトワンは受け止められて1秒足らずで『音界波動』を起動し、ドッ! と発生させた衝撃で無理やり距離を引き離す。至近距離による接触は危険だと判断。組み立てを『加速』を中心にヒット&アウェイに切り替える。


「逃がすか!」


 ラナヤは背後に『氷柱』を出現させ、プロトワンよりも先に足場を得ると飛ぶように接近。片手に滞留させた“熱球”をねじ込む様に打ち込んだ。


『…………』


 着地の寸前に更に吹き飛ぶプロトワンは装甲の隙間を可能な限り開くことで“熱球”による加熱を受けつつ放出。着地と同時に、ボシュゥゥと排熱を行う。


 熱量過多――

 放熱……『加速』可能低温まで3秒――


 ラナヤが間を空かずに接近。だが、攻勢の組み立ては『氷遁』によるモノではなく、『風遁』(風魔法)だった。


「熱が嫌いか? 周りには存分にあるぞ!」


 ラナヤはプロトワンが熱を排出した事から、過剰に熱を抱えることは良しとしない事を看破。

 周囲の熱をプロトワンに纏わらせ、更に自分も攻めることでオーバーヒートを狙う。


『…………』

「ハァァァ!!」


 『氷の忍者刀』による切り込みを中心にプロトワンの周囲を移動しつつ脇腹や背中を狙い動く。

 そのラナヤの動きに対して、プロトワンは対応出来るが、出来てしまう事が問題だった。


 『風魔法』による集熱――

 排熱より加熱値が上昇――

 『加速』可能低温まで7秒――


 ラナヤによる熱の寄せも相まって加熱が加速して行く。

 無論、至近距離のラナヤも高体温症を引き起こす程の加熱を受けている。しかし、彼女は身体に『氷遁』による低温処理を付与。プロトワンが熱暴走するまで攻勢は十分に続けられる状態を作り上げていた。


 弱点に対してどう対処するか? 古今東西、戦う者に課せられたその問題をラナヤは利用するという形を取ることで克服する。

 環境を利用したラナヤによる搦め手がプロトワンの本懐を出さずに追い詰め――


「――――」


 その時、ラナヤはその優位を手放す様に、咄嗟にプロトワンから大きく飛び離れた。

 プロトワンとしてもラナヤのその動きは不可解。しかし、次に検知した“存在”に対し、全ての索敵センサーを向けざる得なかった。


「………………」


 ラナヤも視線を向けるソレは項垂れる様に佇む真っ黒な“人影”。その身体は水面の表面張力を思わせる様に揺れている。


「――ローハン殿?」

『…………』


 ラナヤが現れた“ソレ”に問う。ローハンが持つ【オールデッドワン】の姿、そのモノだった。






 『絶凍氷獄』にて閉じ込められたテスラは己の中で自問自答を繰り返していた。


 バカな! ラナヤの術、構成、『旧世界の力』による比率は全て……全てシュミレートしていた! なのに、何故私は身動きが出来ずに凍りついている?!

 計算が間違っていたのか? どこだ?! どこを間違えた?! 私は“テスラ”だ! 二度の計算外に成す術も無いなど……絶対に認められない!

 この結果を覆すのだ! 『旧世界の力』による繋がりを! 必ず……必ず覆す知識を持っている者が居るはずだ!

 どこだ? 誰だ? どこの誰が……この間違いを正す知識を持って――――


 テスラは魔力の深層を見た時と同様に『旧世界の力』で繋がる存在達の知識を片っ端から己に取り込んでいく。

 その為に必要な容量は己の“存在意識”を削る事で確保し、削り……削り……更に削り……“テスラ”という個の存在が曖昧になり、更に削り、もはや自分が何者なのか分からなくなったその瞬間――


 あ……あっあっあっあったっったぞそおおお!!


 『旧世界の力』の“深淵”――【禁忌】とされる領域に辿り着き、膝をついた。しかし、ソレを理解するだけの意識はもう残っていない。

 故に持ち帰るには……手で掬い、呑み込むという判断しか残されていなかった――






「ん?」

「どうしました? オズウェル殿」

「今、誰かが【禁忌】を掬い上げた」

「貴女と同じ様に?」

「ああ。だが雑だ。もっと丁寧に掬わねば【禁忌】そのモノになってしまうからね」

「それは恐ろしいですな」

「しかも、よりにもよって未調整の【オールデッドワン】を選ぶとは」

「危険で?」

「【禁忌】の中では特にな。まだ、【イクリプス】か【マクシス】の方が救いはあっただろう」

「大差は無いと思いますがねぇ」

「何にせよ、『創世の神秘』以外には対応は出来ん。既に拾われた【禁忌】故に我々が収集する必要もない」


 『創世の神秘』が駆けつけるまで現地の生命は皆殺しにされるだろう。

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