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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第451話 流星群迎撃

 『重力』と『重力』のぶつかり合いは、多くのモノを引き付け、引き離す。

 それは星の引力を一時的に混乱させる程であり、その影響は内よりも外に対して強く作用した。

 本来ならば落ちるはずの無い流星群が、混乱した星の引力によって地表へ引っ張られる。


 太陽の光を越える“(ひかり)”が上空より降り注ぎ、流星群となって『アステス』と『オベリスク』の一部地域にも落下してきていた。






「はぁ!? このタイミングでどう言うことよ! 全部隊、退却! 退却よ! 逃げなきゃ全滅するわ!」

「…………」

“フフ……後一歩でしたねぇ? どうやら世界は私の味方の様ですよ。クロエ・ヴォンガルフ”






「バカな! このタイミングで流星群だと!?」

『『オベリスク』の方角ですけど……これってマズイですか?』

「シャクラカンにエネルギーが渡ってしまう! リース、急ぐぞ!」

『わっ! ラナヤさん〜少し速度をセーブしてください〜』






“【スケアクロウ(エアレイド)】出撃。管轄範囲は『オベリスク』の南西。落下する隕石は全て直径5センチ未満にせよ”


 エアレイドが『ツリー』より射出されると、瞬時に空気の壁を破り、亜音速にて飛行。雨が如く降り注ぐ流星群へと激突する勢いで向かっていく。


『スクリーム』起動――


 すれ違う様に隕石を通過する。するとエアレイドより発生する音波振動と衝撃波(ソニックブーム)によって隕石は花火が如く霧散していく。

 デブリ群の中を進むよう隙間を縫いながら隕石を破壊していく。


“直径20mを検知――”


 すると、通過するだけでは破壊できない質量を発見した。


20m級隕石(ターゲット)インサイト――”


 パシュ、パシュ、と翼から2発のユニットが放たれると隕石へ命中する。


『リフレクトウィング・ターンオーバー』


 唐突に裏返るような衝撃が隕石の先端から発生し、粉々に霧散した。唯一残ったユニットは泳ぐ様に移動するとエアレイドの翼へ帰還する。

 『反射』の特性を乗せたリフレクトウィングにより、隕石は落下の負荷を反射されられ、自壊したのだ。

 その時、更なる質量を検知する。


“1km級を検知――”


 モニターを覆う程の隕石が他の隕石を破壊しながら迫っていた。落下速度は他よりも速く、距離もかなり近づいている。


 要請――――

 要請承認。地上より援護支援。


 『ツリー』の屋上が開くと、そこから地下からの直通エレベーターで運ばれたのは【スケアクロウ(ゼファー)】である。

 ゼファーは端まで歩くと、彼方へ落下する『1km級隕石』をモニターで捉え、ロックオンを行った。

 脚部を折り曲げ、両腕部を地面に着けて射線を固定すると、カシュ、と口部を開く。

 エアレイドより送られてくる『1km級隕石』の脆い箇所をロックすると、僅かなチャージを挟んだ後、ヴァ! と光線を吐き出した。


 照射。『ツリー』より伸びる極太の光線であるが、『1km級隕石』に比べれば爪楊枝の様に細く、貫きはするものの、破壊の気配は無い。


 ピリリ――


 エアレイドが飛ぶ。ゼファーより放たれる光線へ横から飛び込む(・・・・)と、膨大な光線エネルギーの中を通り『1km級隕石』の内部へ。

 その中心に到達した瞬間、『リフレクト・ウィング』にてエネルギーを拡散する。


 『1km級隕石』に亀裂が入り、その隙間から無数の光が漏れ出すように光り輝くと、内側から爆散する様に砕け散った。


 空を注目していた者たちは、昼を掻き消す様に閃光に思わず目を覆う。


 砕けた破片の内、まだ危険域にある大きさはエアレイドの飛行とゼファーの拡散光線により順次破壊されて行く――






 国境を護る【スペクターキャノン】は砲身を上空へ向け一斉射撃。『アステス』へ飛来する隕石の迎撃を行っていた。

 しかし、『アステス』は広い。国境防衛の【スペクターキャノン】の射程外へ飛来する隕石も当然存在する。


『――――』


 すると射程外の隕石群が降り注ぐ空を『ヴェロニカ』を装備したホワイトが飛行。ゼファーと同じ手法で破壊していくが、一機で賄うには数が多過ぎる。


『ドレッド、隕石群の性質データを送った』

「受け取りました」

『セルリアン、地表に無害な物質データを提示』

『“雪”にします。物理的な被害で最もリスクが少ないです』

「では、ドレッドよりマザーへ。上記の設定による『フォトン』の射出を要請します」

「マザーよりドレッドへ。『フォトン』の射出を許可します」


 『ツリー』の外装が虹色に光り出すと、その光から生まれる様に粒子が立ち昇って行く。


 虹色から紫と白に変色していくと『ツリー』を中心に『アステス』上空へ瞬く間に広がった。そして、隕石が『フォトン』の層に触れる。

 すると通過する際には“雪”になり、『アステス』全土へゆっくりと降り注いだ。


『『フォトン』の正常変換を確認している。私はフォトンの上空に回り、隕石の性質検知を続ける。ドレッドは『フォトン』の調整を誤るな。セルリアンは気温が下がる事による環境の変質を警戒せよ』

「かしこまりました、隊長」

『了解です、隊長』

『ブラックは目の前の戦闘行為のみを遂行せよ』

『任務了解』


 レイモンドと近接戦闘を行いながらブラックは返答する。

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