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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第439話 Ready go

“メイドさん……僕の生まれた意味って……なんだったのかな?”






 【スペクターキャノン】による身体の蒸発まで9.45秒。“スコーピオン”の装甲で防ぎ切れない隙間を通過するエネルギーが触れた箇所を抉るように溶滅させる。


 『機人』はヒトではない。設定された限界は超える事はなく、全て1と0で全ての結論が導き出される。

 だからリーダーは【スペクターキャノン】を選択したのだろう。

 あらゆるシミュレーションの結果から、私を排除するにはコレが最適だと判断したのだ。しかし、


「セスタァァァ!!」


 ヒトが起こす“変数”は――


「“ホーク”だぁ! 受け取れぇぇぇ!!」


 (えにし)が繋がっているのなら外からも作用すると私は知っていた。


 




 セスタさんへ射出された『追加装甲(アドバンスフレーム)』は【スペクターキャノン】をしのぐ事で、弾けるエネルギーの壁によって、装着するのは不可能だった。


 すると、一緒に射出されたジェイガンさんに装備された武装がドレッドさんへ向けて火を吹いた。

 背中からミサイルを放ち、両腕部に装着されたガトリングが弾丸を発射する。(武装と名称に関しては僕も一通り説明されてる)


 対するドレッドさんは四門ある【スペクターキャン】の一門の向きを変え、散りばめるようにエネルギーを拡散させ弾幕を全て迎撃すると、再び収束しジェイガンさんを呑み込んだ。


「ジ、ジェイガンさーん!!」

『オメーらふざけやがって!』


 と、『自動動力車』から叫び声が聞こえた。


「え? ジェイガンさん?」

『俺が死ぬわけねーだろ! 飛んだアレは(ガラ)だ!』

「ジェイガンの中身(AI)はこっちのPCに移した。身体の武装は旧式のオフラインでも使えるからな。この勝負の為にこしらえたのだから、せめて役に立ってもらう」


 サラフさんの淡々とした説明と同時にジェイガンさんの身体は【スペクターキャノン】の照射によって塵も残らずに溶滅。しかし、その僅かな間のおかげでセスタさんへ攻撃に隙間が出来、『追加装甲(アドバンスフレーム)』が彼女の元へ届いた。


『俺のイケメンボディがぁぁ!!』


 ジェイガンさんの叫びと共に。






 空中でバラけたパーツが背中へ装着され、新たに『変換リング』を確保。【スペクターキャノン】のエネルギーを“翼”へと変換する(・・・・)


「――――」


 “スコーピオン”のパーツで角度をつけて【スペクターキャノン】のエネルギーを逸らすと同時に射線から離脱。エネルギーを推進力に変え、対空すると“光の翼”を展開する。

 しかし、四門の【スペクターキャノン】が私を取り囲んだ。


 Ready go――


 エネルギーを推進力に変えて飛翔。【スペクターキャノン】の包囲を置き去りにする。


 『追加装甲(アドバンスフレーム)』“ホーク”は、空での作業を考えられた装備だ。

 ヒトには必要不可欠な高所作業による保護機構は『機人』に必要としない為に、装備の本質はエネルギーを安定化した作業環境を得る事に重視されている。その案として採用されたのが【スペクターキャノン】に搭載されている『変換リング』である。


 特殊な魔法陣を刻まれたナノマシンが集まる事で、あらゆるエネルギーを変換し、それを“ホーク”を起動するエネルギーに変える。

 翼を形成し、推進力を生み、弊害の無い空を舞う。


『逃げるつもりですか?』


 リーダーからの通信。四門の【スペクターキャノン】が追ってくる。時間差で連続したレーザーを放ち、私は射線を見切って上昇しつつ回避――


“僕も……一度で良いから……空に身を預けてみたい”


 そして、唐突に減速しフワッと空中に身を投げる様に背面から逆さになると、こちらを見上げて動かないリーダーを視界(モニター)に捉える。そして、


「逃げません。私は貴女から逃げない」






 即座に推進力を最大出力まで起動し、リーダーへ向けて直下。【スペクターキャノン】による射撃が行われるも、“スコーピオン”の装甲でその射線を逸らし振り切ると直下のリーダーへ迫る。


「ぐっ……」


 空気の膜を突き破り、更に加速。機体(からだ)の破損が大きく推測されるその行動は自壊に等しい行為だった。

 しかし……合理的に考えても生半可でもリーダーには届かない。私の全てを賭さなければ……いや……全てを超える力を出さなければリーダーには届かない。


『粉々になりますよ?』

「合理的なら……ですよね?!」


 合理的に見るならリーダーは回避出来ない。何故なら――


「…………」


 背後で椅子に座って停止するマザーが、この落下衝撃波(ソニックブーム)の範囲にいるからだ。

 他の『オフィサーナンバー』が手を出す事は命令に無い。リーダーが私を受けなければ……生身のマザーに被害が及ぶ。


「避けたらマザーに――」


 その時、リーダーが跳躍した。私に向かって拳を溜める様に引き、距離が縮まる。


「私の落ち度です、『T-108』」


 リーダーが衝撃波の壁へ拳を――


「貴女の姿を見た瞬間に破壊しておくべきでした」


 突き出した瞬間、纏っていた衝撃波(ソニックブーム)が消え、速度が急速に落ちた。見るとリーダーの背中にもまた、『変換リング』が回転している。


 衝撃波(エネルギー)と落下エネルギーが消え……た?


 高速でとある疑問が走る。


 そのエネルギーはどこへ行っ――


 爆発した様な衝撃が真横から叩きつけられた。見ると、リーダーのメイド服の袖が肘まで吹き飛んでいる。


 胴体部右側面破損。右脚部機能停止――


「マザーへ1%でも害の及ぶ攻撃を選択する貴女は『アステス』の敵です」


 音声が吹き飛んだ先から聞こえる。私が吹き飛ぶ速度を追い抜き、回り込むと次の攻撃に移っていた。


 リーダーは対空装備をつけていない。どうやって空中を移動して……


 踏ん張るリーダーの足下には環境ナノマシンが集まり、一歩だけ踏みしめる足場を形成していた。

 ガァン! と次に蹴打で斜め上に吹き飛ばされ、背部ユニットを破損。位置を追うよりも速くリーダーは真上に回り込んでいた。


 情報処理は追いついても身体(ボディ)が追いつかない……


 踵落としが見える。腕は破損してガード出来ない。私は咄嗟に“ホーク”を解除し――


「“タートル”!!」


 最後の『追加装甲(アドバンスフレーム)』を起動した。

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