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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第403話 きっとレイモンドが何とかしてくれるぜ!

「どこだ! ここは!?」


 カイルはいつの間にか煌びやかに七色の光が混ざり合う空間に立っていた。

 彼女の記憶は、セルリアンによって意識を飛ばされた所から途切れており、次の瞬間を認識した時にはこの『虹色の空間』にいたのだ。


「立ってるのに地面がねぇ!? ははは。何か変だー」


 それにしても……なんだこの場所。光はキラキラして綺麗だけど、なんか飽きて来たなぁ。


「よし、困った時は!」


 来い! 俺の『霊剣ガラット』! ぶった斬って脱出だ! どうなるか分からないけど……とにかくぶった斬るぞ!


「……あれ?」


 ガラット来ないな。それならもう一回! 今度は腹から声を出して――


「来い! 『霊剣ガラット』ォ!」

『ここに『霊剣ガラット』は喚べない。そもそも、意識が外と切り離されている』

「なにぃ!? 誰だ!? ボルックじゃん!」


 驚きの三段活用で、声がした背後を意気揚々と振り向くと、そこには本来の姿のボルックが立っていた。

 カイルは咄嗟に駆け寄る。


「ボルック! 大丈夫か!? 怪我とかない!?」

『ワタシにとっては“怪我”ではなく“損傷”だ。その定義で言うのであればボディも無傷で保管されているだろう』

「よくわかんねぇけど……無事ならよかったぜ!」


 本来の目的だった、ボルックとの合流。それを達成できた事でカイルは一定の満足度を得ていた。


「セスタに変な伝言を残して消えるなよなー。皆心配してるぞ!」

『彼女は伝えてくれたか。ワタシからすれば君達を遠ざける意味があったのだが逆効果だった様だな』

「俺たちはボルックを見捨てねぇって! 皆が無理って言っても俺は絶対に来たからな!」


 迷いなくそう告げるカイルにボルックは己の“変数”が動いた様を記録する。


『だが、効率的ではない。今の『アステス』は滅びの瀬戸際にある。内からではなく、外からアプローチをするべきだった』

「あぷ……あぷち? よくわかんねぇけど『アステス』ってかなりヤバいのか?」

『事態が水面下で侵攻している。『マザー』は策を講じたが解決に要する時間は109年。ワタシは関わった以上、見届けるつもりだ』


 109年。流石のカイルでもそれが途方もない時間である事は理解できた。


「そんなに待てねぇよ。あ、別にボルックが居なくても何とかなるんじゃね? 『アステス』の奴らって頭が良いんだろ?」

『世界情勢を掌握している時点で他国とは比べ物にならない組織力を持つだろう。加えて『マザー』の能力はマスターに比肩する可能性がある』

「え? 『マザー』って、ゼウスさんと同じくらいすげーの!?」


 カイルが知る中でのゼウスは、例える事が出来ない程に何でも知ってる“凄い人”なのである。


『『マザー』は常に『アステス』全土と『機人』の様子をオンラインで監視している。更に『オフィサーナンバー』の『I(ワン)』『II(セカンダリー)』『III(サード)』『IV(フォース)』の四機体は『機人』の中でも最上位だ。彼らは『機人』全ての制御権利を持つ司令官でもある』

「『おふさーなんばー』! 俺もフォースってヤツにやられたんだ! 気がついたらここに居てさー」

『フォースは生物に対して無類の対抗策を持つ。国内で放牧されている生物の管理を一任し、同時に来国者への治療も彼が陣頭指揮を執っている』

「へー。よくわかんねぇけど強いのか?」

『『オフィサーナンバー』全員が『創世の神秘』の“眷属”に匹敵すると言っても過言ではない。ワタシの分析では『II(セカンダリー)』はクロエに匹敵するだろう。クロエが50年前より成長していなければ、だが』

「マジ!? やべー! 『おふさーなんばー』やべー!」


 クロエの実力は誰よりも近くで見て知っている。

 故にカイルはまだ見ぬ強敵が近くにいると知り、ワクワクが止まらない。


「ボルック! さっさとここを出るぞ! 出口はどこだ!?」

『出口は無い』

「なにー!?」

『ここは『ツリー』内部にある電子空間だ。解放の許可は『マザー』か『オフィサーナンバー』以外には不可能となっている』

「くっそー! あ! でもボルックは出れるんだろ? ジェイガンが言ってたけど、ワンってヤツをぶっ壊して偉くなったって!」

『ジェイガンとも会えたか。だが現在ではその権限は失われている』

「そうなのか……『マザー』は悪い奴だな!」

『ワタシが規定違反を犯したのだ。少なくとも『マザー』の行動に悪意はない』

「じゃあ! 出たら閉じ込めた理由を聞くか! きっとレイモンドが何とかしてくれるぜ!」


 カイルは笑う。仲間(レイモンド)に全てを委ねる事に全く抵抗はなかった。


『カイル、『アステス』へは君とレイモンドの他に誰が派遣されて来ている?』

「俺とレイモンドだけだぜ! おっさんはリースと一緒にスメラギのトコに行くって! あ、リースってのは新しい友達だぜ! クロエさんは『かいほーぐん』ってトコにサリアさんを迎えに行った」

『悪くない人選だが、マスターは来ていないのか?』

「なんか、おっさんの話だとゼウスさんは来れないらしいんだ。あ、そうだ! ボルックにも『カイザークラウン』までの話を伝えるようにおっさんから言われたんだ! 後、“願いを叶える珠”の事も!」

『情報の共有を頼む』

「おう! そんじゃまず、『さーぶれーど』のトコから――」


 カイルは身振り手振りでここまで至る道中を語る。時折ボルックが内容を分析しつつ捕捉する様に指摘しながらカイル達の大まかな旅路を記録していく。

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