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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第350話 セスタVSボルック

「――――」


 ヒュッ、とセスタが駆ける。

 狙いはネストーレであり、その動きは羽根のように軽快で体重を感じさせない挙動で接近する。


『ネストーレ殿。彼女はワタシが引き受けよう。君と『フォース・メン・ナイト』はファルクライを』

「わかった」

「ボルック殿」

「ネストーレ様は」

「我々に」

「お任せあれ!」


 ボルックは行動予測にてセスタの次の挙動を分析。先を捉え『雷魔法』で無力化する。


「――――」


 セスタは一度、ボルックの前で止まる。と、次の瞬間に動き出した際に容易く横を抜けた。


『――――今のは』


 彼女の挙動はボルックの行動予測内だった。しかし、その緩急があまりにも人間離れしていた故に捕えきれなかったのだ。


 クロエが行う緩急が2から8までの差を生むのに対し、セスタの緩急は0から10と言う、人体に出す事が不可能な挙動だった。


『反応は出来ないな』


 こちらに背を向けて抜けたと確信したセスタの腕をボルックは、パシッ、と掴まえる。


『人、では』

「――――」


 セスタが後ろ眼でボルックを見ると、キュッ、とステップを踏み、掴まれた腕を引く。

 細腕からは想像もつかない力にボルックは引き寄せるられるとセスタの靴の裏側が眼前(モニター)に迫っていた。

 セスタの後ろ蹴り。ボッ! と空気を穿つ音と共にボルックの頭部を蹴り砕く。


『――――』


 行動予測内。その後ろ蹴りをボルックは完璧に対象。身を沈めて空振りにさせると、振り抜いたセスタの足首も掴む。

 片手片足を取り、動きを封じた。チチ……と『雷魔法』で無力化に入る――


『――――』


 その時、セスタから異常な魔力反応を検知。ボルックは瞬時に掴んだ手をパッと離すと、バチッ!! と空間が弾ける音が響いた。


「行動予測範囲外のつもりだったのだけどね」

『逆にこちらを無力化に来たか』


 セスタも同じ方法でボルックを無力化しに来ていたようだ。

 彼女は、とんとん、と爪先で床を叩きながらズレた靴を履き合わせ、乱れたメイド服も整える。

 ボルックは擬態されていた彼女の正体を『アステス』のデータベースから照合した。


『信号から外れた【T-10】だな?』

「正確には捨てられたと言った方が……正しいわね!」


 カッカッカッ、とセスタはステップを踏むと、その姿がコマ送りのように見えるような緩急に次の挙動が確定しない。


「貴方を先に仕留めた方が良さそうね」

『それは無理だ』


 しかし、ボルックは自身の分析で行動を補正。セスタの挙動を捉えて先読みすると眼前に躍り出る。そして再び腕を掴んだ。


「本気を出すと服が持たないんだけどね」


 セスタが至近距離で拳を振るう。ボルックは冷静に半身の体捌きで回避するが、避けきれなかったコートの一部が消失する。あまりの威力にセスタの肘部の服も弾けとんでいた。


『『千年華』ブランドをお勧めする』


 ボルックの裏太股部の装甲が開放されると、ブースト。即座に威力を生む膝蹴りがセスタへと突き刺さる。


「『アステス』じゃ――」


 その膝蹴りをセスタ片手で受け止めていた。ビリビリと空気が震える程の勢いを、片手で抑え込む。


「コピー品しか作れないからね!」


 返すようにセスタの膝蹴りがボルックへ飛ぶ。ボルックはその攻撃の危険性を理解し、瞬時に最適な選択肢を選ぶ。


 回避行動――


 手を離し、裏太股部のブーストを停止すると前面小型ブーストを起動。瞬時に後ろに下がり膝蹴りの間合いから脱する。


「それは――」


 だが、セスタはその後退速度に追い付く様に助走し、歩数を一つ増やしていた。


「行動予測済み」


 再度、セスタの飛び膝蹴り迫る。回避不可能。防御力――


「『衝撃槍(パイルバンカー)』」


 膝蹴りがボルックに直撃。可能な限りの防御体制を取ったボルックであったが、その威力に踏ん張りきれず『王の間』の壁を破壊。

 勢いは止まらず、次々と壁を破壊し、最後の内壁も砕いて城内から外へ放り出された。


『――やはり借り物の身体(ボディ)では動きに差違が生まれるか……』


 落下していくボルックは月の光に浮かぶソレを通して『アステス』へ信号を送る。


“『ヴェロニカ』の戦闘許可を要請”

“承認。『ヴェロニカ』の戦闘を許可します”


 『ナイトパレス』へ来る際に使用した上空ユニットは、バラけるとボルックへと迫る。

 そして、その身体へと装着されて行く――

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