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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第311話 デッカイぜ!

 ソレは今までの常識を越えた。

 まるで、波が引くように盛り上がった土は家屋を見下ろす程の“巨土人”となると夜の中に更に影を作る。


『最早、我に肉は要らぬ』


 プリヤ、チトラ、ヴィクラムの三人はソレを見上げた。


「ちょっと……アンタ剣でしょ……」

「これは予想外」

「デッカイぜ!」


 すると、“巨土人”の胴体が爆発するように動くと三人を飲み込む様に雪崩れて来る。


「やばっ!」

「退避」

「ふんっ! はっ!」


 プリヤとチトラは近くの家屋へ跳び上がって避けるが、ヴィクラムは『極光の手甲(ガントレット)』の出力を上げて正面から吹き飛ばした。


「中々に筋肉を追い込めそうだ! プリヤ、チトラ、コイツは俺と筋肉が引き受ける!」


 ムキッ、と上腕二頭筋に力を入れるヴィクラムは『戦面(クシャトリア)』の奥から頭の位置にあるソーディアスを見据えた。


『小さいな』


 すると、“巨土人(ソーディアス)”の手の平でヴィクラムはドォン……と潰された。


「無意味!」


 ボッ! と手の平に穴が空くと、光が吹き抜ける。天に向かって腕を掲げるヴィクラムの『極光の手甲(ガントレット)』と『陽気』に包まれる筋骨隆々の身体が煌々と輝く。


『潰すのに時間がかかりそうだ』

「潰せるかな? この筋肉を!」


 ヴィクラムは開けた穴から腕を駆け上がると、『極光の手甲(ガントレット)』を溜めつつ、顔面にいるソーディアスへ向かって跳び上がる。


「食らえぃ! 『極光の手甲(ガントレット)』!!」


 “巨土人(ソーディアス)”はそのヴィクラムに対して虫でも叩く様に両手を、バチンッ、と閉じた。


「あっ」

「……死んだ?」


 プリヤとチトラはそんな言葉を口にする。

 しかし、叩き潰した土手が急速に乾燥していくと、次の瞬間には吹き飛んだ。


「『極光の外套(ファラング)』!」


 ヴィクラムは地面に着地すると、ぬぅ、とその体躯を起き上がらせ“巨土人(ソーディアス)”を見上げる。


「デカイだけでは俺には勝てない! もっと追い込みをかけて密度を上げるんだ!」

「アレは大丈夫そうね」

「うん」


 すると、プリヤとチトラは自分達を狙って飛来する瓦礫を、その場から跳び離れて回避すると下へ着地した。


「俺を無視してんじゃねぇよ……クソ女どもぉぉぉぉ」

「チトラ、どっちかと言うとアイツの方が厄介よ」

「…………」


 コーリスの周囲には瓦礫が浮き、次々に二人へ向かって飛翔してくる。






 コーリスの力はあまりにも便利過ぎる(・・・・・)のだ。

 物を浮かせ、方向も自在に飛翔させる。しかも、それだけではなく浮かせたモノを力加減によって圧死させる事も出来る様だ。


「それに……」

「オラァ!!」


 バキバキバキ、と土台から切り離された家屋が丸々、プリヤとチトラへ降ってくる。


 浮かせられるモノに重さの制限は無い?


 プリヤは回避に徹しつつ、現状で起こってる事を分析しつつ少しづつコーリスの能力を紐解いて行く。


 複数人を浮かせて捕まえていた事からもヤツは能力を小分けに出来る。掴まれた時の感覚からヤツがイメージしてる形は――


「プリヤ」

「……わかった」


 プリヤのアイコンタクトにチトラは動く。

 ソーディアスによって、柔らかくなった地面に手刀を差し入れると、『極光の手甲(ガントレット)』にて吹き飛ばした。

 その衝撃で生まれる破片をコーリスへ飛来させる。


「浅知恵が!」


 ボフンッ、とコーリスに届く前に見えないナニかに弾かれる様に阻止される。

 その間にチトラは『極光の手甲(ガントレット)』を溜めつつ弾ける様に接近――


「馬鹿が! 正面からビカビカしやがって! 見えてるんだよ!」


 コーリスの意がチトラへ向くと、動きが強制的に止められた。そして、


「……」

「だーかーらーよー!!!」


 死角と意識の隙間を作って側面から奇襲するプリヤも同じ様に止められた。


「小賢しい事を考えるんじゃねぇ! とっと死ねや!!」


 ミシ……と二人を拘束する圧力が増す。しかし、プリヤは足元に落としていた『太陽石』をコーリスへ蹴った。


 アンタの能力は恐らく、“見えない手”を作り出すモノ。故に全身を満遍なく停止させられるワケじゃない。掴まえるなら胴体を握るように。だから、足は動かせる。そして――


「物理的な壁じゃないから、光は防げない」


 『太陽石』が炸裂。閃光がコーリスを襲う。


「何度も何度も……何度も何度も何度も何度もよぉぉぉ!! 同じ手に引っ掛かるわけねぇだろうが!!」


 その為の鉄仮面だった。視線を僅かに反らすだけで閃光を無力化する。


「そんなの、わかってるっつの」


 すると、コーリスは首筋に斬痛みを感じた。咄嗟に意識を痛みの方向――プリヤを見る。


「惜っしい」


 『光刃』。プリヤの伸ばせる最大射程はコーリスへギリギリ届いただけで、その首を落とす出力は出ていない。だが、ソレが目的ではなかった。


「お前――」

「まぁ、大当たりか」


 コーリスの意識が一瞬だけチトラから離れた。コーリスに押さえ込まれていた分、強く速い弾ける様に踏み込む。


「『極光の手甲(ガントレット)』」

「!」


 そのチトラへ意を向けた瞬間、プリヤの拘束も解け、


「『光刃』」


 今度は首を両断出来る間合いまで踏み込み、チトラと同時にコーリスを仕留める――

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