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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第309話 『ソード・フィニッシュ』!

「『ジャスティスブロー』!!」

「オラ!!」

「『ジャスティスナックル』!!」

「死ねや!!」

「『ジャスティスフック』!!」

「クソ野郎!!」


 ダンテスは技名を叫びながら拳を突き出し、ガヌーシュは罵倒しながらぶん殴る。二人はノーガードで殴り合っては、その度に仰け反っていた。

 互いに重心を前に預けての拳撃。腕が交差し、顔面にめり込む度に互いによろけるも、次の間には踏み込んで再度交差する。


「ぬぐっ!」

「ぐはっ!」


 ガヌーシュの『戦面(クシャトリア)』の一部がダンテスの拳で砕ける。

 ダンテスの脇腹へはガヌーシュの『極光の手甲(ガントレット)』がめり込みで肋骨を砕く感覚が反ってきた。


「ごふっ! 中々の豪気! 『陽気』の吸収が追い付かぬ程の緩急はまさに見事! やるではないか!」

「ふざけた能力を持ちやがって……」


 ダンテスの異常なまでの耐久力は、『陽気』を自らの身体に取り込んでいる事にあるとガヌーシュは気づいていた。

 故にガヌーシュは脱力による出力の緩急にて、ダンテスの『陽気吸収』を上回る出力を瞬間的に叩きつける事でダメージを通しているのである。


「馬鹿が……削り合いはこっちに部があるぜ」


 先ほど、ヤツの骨を砕く感覚があった。そこを重点的に攻める。

 体内で折れた骨は凶器である。言うなればナイフを体内に抱えている様なモノ。追撃や動きの誘発で深くダメージを与える事が出来るのだ。

 甲皮の固い魔物への対抗策の一つである。


「ふー」


 ガヌーシュは脇腹に手を添えるダンテスへ脱力をしつつ踏み込む。


「『ジャスティスキック』!」


 咄嗟に放つダンテスの飛び蹴りをガヌーシュは避けずに肘で受け、抵抗無く身体を半身に回転させると、威力を完璧に流し無力化した。


「なんと!?」

「テメェのクソみたいな技は俺にはもう効かねぇよ!」


 ガヌーシュは戦いが長引けば長引く程に調子を上げていくスロースターターだった。最高潮まで調子を上げたガヌーシュへは斬撃でさえも受けてから流せる程のモノとなる。


「『極光の手甲(ガントレット)』!」


 着地し、振り向くダンテスへガヌーシュは『極光の手甲(ガントレット)』を発動し接近。脇腹へ追撃を狙う。

 対するダンテスはゆっくりと向き直ると、


「どうやら……間に合った様だ」


 斬痛。ガヌーシュは肩口から脇腹まで斜めに深く刻まれた一閃を感じ、接近の意が削がれる。


「な……これは――」

「我、正義の一刀をここに成す事になろうとはな!」


 ダンテスの右腕に『陽気』が集まり、高密度の刃となってガヌーシュを切り裂いていた。


 『御光の剣』!? コイツ……まさか――


「『ジャスティスブレード』!」

「っ!」


 胴体を凪ぐ『ジャスティスブレード』をガヌーシュは身体を反らして上空を通過させる。


 刃の延長も『三陽士』クラスまで伸びてやがる!


「私に『正義の刃』を握らせた君を不本意ながら讃えよう! 食らえ! 『ジャスティスブレード』乱舞!」


 ダンテスが腕を振るう度にその軌道上に斬撃が走る。ガヌーシュはかわしていくが、最初に貰った一閃がマズかった。

 動く度に出血を誘発し、ボタボタと止めどなく血が流れる。長くは持たない。


「くっ……」


 ダンテスが『御光の剣』を使える理由。考えられる可能性は――


「お前……『太陽の民』か」

「残念ハズレだ! 言うなれば私は、夜と太陽を繋ぐ者! どちらの環境でも生きる事が出来る身体を持つのだよ! メアリー様には感謝しかない!」

「御大層なモンだな!」


 ガヌーシュは踏み込む。避け続けても先に出血で動けなくなるのはこちらが先だ。まだ行ける内に決める――


「その潔や良し! 正義の前に散るが良い!」


 その時、ダンテスの死角からタイミングを図っていた『太陽の民』が奇襲する。


「ぬ!?」

「なに驚いてやがる。ここは俺たちの里だぞ!」


 唐突な二対一。割り込んだ者の実力はガヌーシュに届かずとも、意識と対応を分散させるだけでも、ここでは勝負を決める一手だった。


「『フラッシュ・オブ・シャイン』!」


 ダンテスは自身の内包する『陽気』を解放。衝撃波が放たれ、ガヌーシュともう一人はその場で耐える。


「同じ手を使いやがって!」

「ガヌーシュ! 衝撃波が終わったタイミングで()るぞ!」


 『戦士長』の『極光の外套(ファラング)』に比べれば――


「『ソード・フィニッシュ』!」


 『フラッシュ・オブ・シャイン』の最中、ダンテスは動いていた。振るう『ジャスティスブレード』がガヌーシュともう一人へ見舞われ――


「がっ……」

「ぐぁ……」


 衝撃波に耐えられなくなった二人は爆発に呑み込まれた。






 ザッ……ザッ……とダンテスは崩れた建物の瓦礫に押し付けられている様に激突しているガヌーシュへ近づく。


「わかったか、悪漢。これが正義の秩序!」

「…………クソ野郎……」


 二度の斬撃と激突の衝撃はガヌーシュの意識を朦朧とさせるには十分だった。


「ふっ……悪の最後はいつも汚らしいものだ!」


 ヴゥン、とダンテスは『ジャスティスブレード』を腕に宿すとガヌーシュの首を斬り落とした。

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