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短編大作選

真っ暗闇のシンデレラ

外の世界って、どんなんだろう。


出てみたいな。


ふと、思った。


ずっと考えることを、して来なかった。



テレビというものを、知った。


それが、きっかけだ。



部屋の散策中に、見つけた。


その黒い四角形の、薄い板。


その中には、見たこともない景色があった。



過保護というヤツ、らしい。


テレビは、何でも教えてくれる。



一度も、家を出たことがない。


暗闇で、生活をしていた。


それが、普通だった。


普通だと思っていた。



そして、パソコンというものも見つけた。


そこから、一気に世界が広がった。


パソコンは、この世の縮図というべきものだ。



マルチクリエーターさん。


色んな分野で、幅広く活躍する人。


その人の、ファンになった。


才能に、深く惚れてしまった。



マルチクリエーターさんに、会いたくなった。


ファンの集いに、行きたくなった。


集いに行くために、初めて家を出る覚悟をした。


もちろん、親の目を盗んでだ。





電車のことは、ネットで勉強した。


学校というところを、親は隠していた。


よく隠していたな、と思う。


だって、義務だから。



学力という面では、大丈夫だ。


家で、勉強していたから。


だから、頭はいい方だと思う。



でも、何も知らなすぎていた。


触れていない常識は、知る由もないから。



今は、人並みに知っている。


一般常識は、自力で身に付けたんだ。





「あっ、ちょっといい?」

「はい?」

「かわいいね。これから、どっか行かない?」

「行かないです」



これが、ナンパだ。


恋に繋げようとする。


そんな行為だ。



知ってはいた。


だけど、私にも来るんだな。


そう思うほど、意外だった。





「すみません。ちょっと、よろしいですか?」

「はい」

「芸能界って、興味ありますか?」

「少しは、ありますが」



これが、スカウトというやつか。


ということは、美女。


私は、それほどの外見らしい。



美女に部類されるのなら、嬉しい。


だけど、度が過ぎている。


何度も、話し掛けられすぎだろう。



戸惑いすぎていたから、なのか。


初めて、しっかり太陽を浴びたからなのか。


どこかで、靴を無くしたからなのか。


よく分からないが。



なんか、ぐわんぐわんしていた。

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