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女勇者の禁書覚書13


馬車が近づいてきたためにわたしは道の端までよっていき門を目指していた。道幅は馬車が通り、人が歩くことができるほどに広い。


 馬車がどんどん距離を縮めてくるのを眺めていた。


 中に何があるんだろう?さっき疑問に思っていたことが再び頭の中を駆け巡り始める。


 私の性格のせいか、年頃のせいか、ただ単にこの世界の情報量が少ないのかやたらと少しでも変わったことがあると何があったんだろうと近づいたり様子をうかがったりしてしまうのであった。


 今ももう馬車が通り過ぎようとしているために私は馬車の中の様子を少し体と頭を馬車のほうへ傾けて見続けている。


 馬車はカポカポと音を少し引き換え目に出しながら過ぎてゆく、はたから見れば大した光景ではないだろうし、それゆえに誰も気にもかけないに違いないが私にはそれだけで十分であった。


 馬車は屋根付きであり白い布のようなものが荷馬車に張り巡らされていて、中は通り過ぎるときに少しだけで入れ口から見えたが、まだあたりは明るいといっても少し暗いために何があるのか、それとも乗っているのかわからない状態であった。


 馬車が通り過ぎて距離が離れていくときでさえも足を止め、後ろに向き直してずっと馬車がかなり小さくなるまでそれを見続けていたのだった。


 やっと正面に向き直した時にはあたりはさらに明るくなってきていて早く帰らなければまずいと気持ちがやたら焦ったのだった。


 まだ大丈夫、間に合うと自分に言い聞かせるように心の中でつぶやいた。


 ようやく興味本位や焦る心から解放されて正面の遠くのほうを見ると門らしいのが見えている。


 遠く見える門のほうへと出だしはゆっくりと次第に少し早歩きで歩き始めたのだった。


 少し焦っていたかもしれない・・・。


 道なりに歩いていくと最初はあんなに小さかった門が少しづつ近づいていたことにより、実物サイズへと近づいていくのだった。


 門まであと数歩のところで柵を見て、改めてこれでいいのかとしみじみと思う。


 だってあまりにもお粗末すぎる。ここは中央都市だと聞いているが違うんじゃないかって思うほどにお粗末な城壁と門。城壁というにはおかしいこの木材を十字に並べただけの即席で作ったような防護柵、いくら外側に空堀があるからといっても、これはちょっと。門というには違和感を覚える柵門。関所といったほうがいいようなで入れ口。


 確かにまっすぐには入ってこれないように柵はジグザグになってはいるがそれは塊の策を置いただけであり、見れば見るほどに尽きない疑問がわいてくる。


 それとも私が兵法を知らないだけで、これがここでは最良なのだろうか?どこも同じだろうか。

 考えてもしょうがない。そのまま門を通り過ぎて顔を少し関所のほうへ向けながらドキドキしながらもし今、呼び止められたらどうしようかと思いながら通り過ぎようとしている。


 私は呼び止められても別にやましいことはしていないし、もし呼び止められてもきちんと言い返せるだけの自信はあったが、心の中では呼び止められませんようにと祈り願っていたのだった。


 あんまりめんどくさいことはしたくないし、呼び止められて色々聞かれるのも面倒に思えて、そう願わずにはいられなかった。


 門を通り過ぎても何も言われないし、明かりも消えていて人がいるかどうかすらわからなかった。


 門を完全に通り過ぎた私はほっと胸をなでおろした。ドキドキ感はまだ残っている。


 私は門からだいぶ距離が離れてから、さらに今度は心底気が緩んだのだった。


「はーっ」


 何かためていたようなものを一気に吐いたようだった。


 足取りは門を通り過ぎるときと変わらずに急ぎ足で通り過ぎていく。


 空き倉庫、公園、畑、穀物畑、穀物畑は今は短く刈った穂だけが残っている状態であった。少し広い空き地、畑と景色は変わりながら帰りを急ぐ。、


 周りの景色からそろそろ住宅街になってきているようだった。道は馬車がすれ違えて通れるぐらいにまでに石が敷き詰められているようになり、そのために歩く速度も踏み固められているとはいえ土の道よりわずかにはやくなった。


 そのままどんどん進んでいく。道は多少なりとも曲がりくねってはいるものの歩きやすく馬車もあの公園から以外は一台も見当たらず朝の散歩は心地よかった。足取りも少し軽くなったようだが気のせいで、疲れがどっと出てきているようだ。それでもどんどん進んでいく。


 自宅が見えてきたが、そのままわざと通り過ぎて自宅を通り過ぎて最初によった木造二階建ての家までで来ていた。下から見る限りは屋根は瓦ではなく材木のようだった。今は瓦も出できてはいるがこの家はそうではなかった。


 ここは不思議だと思う家だ。


 その空き家の玄関前まで来ているが物音ひとつしない。


 玄関までといっても敷地内に入っての玄関前までいるのではなく、あくまで敷地の外から中の様子を眺めているだけである。


 しばらくそのままそこではじめは突っ立って様子を見てみるが、そのうちに片耳を玄関のほうへ向けてやや腰をかがめて様子をうかがっていたが生活しているような気配はしてこない。


 まだ朝早くて起きてこないだけだろうかと考えていたがその家ではない住宅から物音が生活の音が聞こえてくる。窓を開ける音、何かのドアをしめる音、玄関を開けて新聞を取りに行くポストの音そしてまたドアを開け閉めする音などが聞こえてくる。これが生活音だ。


 シーンと静まり返っているこの家だが不気味なようには見えない。

 

 帰ろうとする気持ちともう少し様子を見てみようとする気持ちがせめぎあっていて、もう少しだけ様子を見ようとする気持ちが勝ってもうしばらく見てみるがやはりかすかな物音すら聞こえない。


 やはりここには人がいないんだと一応の結論を下した。


 本当にいるかいないかを確かめる方法は玄関の戸を叩いてみればわかることだったが、今は朝なのでやめて、次の機会にしてみることにしてもうあたりも明るくなっていて通勤中のひとらしい人たちがちらほら見えてきたので、ここらへんで様子見はやめて家に帰ることにした。


 自宅に入る前に自宅敷地内の入ってすぐのところにある、郵便受けに手を突っ込み、中のものを確認する。


 中には何もなく、ただバタンとポストのあく音と閉まる音がわずかにあたりにこだまするように音が響いていた。


 玄関に向かいながら父がもう新聞を取ったんだと理解した。


 いや、まてよ、今日は新聞休みの日だったのかと思ったが、そんなわけないと思いなおして玄間の扉をそーっと音が出ないように開けてしめたのだった。


 ドアの鍵が開いているため、家族がおそらく父が玄関を開けたのだろうと検討がついた。


 父が起きているなら慎重に行動しなければならないと思い、靴を脱ぐときも足を使いそーっと脱いだので聞こえるような音は出なかったと思われ、靴はそのまま脱ぎ捨てておいた。靴を脱ぐとそのまま綿の靴下のまま廊下に上がるが靴下をはいているせいか床がつるつると少し滑り、足に気を取られた。


 ようやく階段をあがり二階の小ダンスがある場所までいき、そこから拝借していた短剣やベルトなどをしまい終える。


「はー」


 私は知らず知らずのうちに胸にためた息を吐きだしたのだった。そうしたら自宅へ入る前からどきどきわくわくしていたものが息を吐いたのと同時にこみあげてきてなぜかうれしさになっていて、そのうちこれは耐え難い秘匿感に代わっていた。


 なんかたのしいし、何か良いことが起きそうでたまらなかった。 


「ふうー」


 一息をいれた。


 これで気づかれてはいないはず。多少階段の音とかがぎしと音を出していたが、おそらく、まあ、許容範囲だろう。


 廊下に上がるときに玄関に置いてある時計を確認していたため朝食にはまだ早いとわかる。


 そうだ。


 短剣をしまうことに気を取られていて忘れていたが今日から毎日新聞を取ることにしたんだっけ?


 階段をおりていくといつもしているようなとんとんという音を少し出しながら一階ろうかまでおりていき、そのまま父がいるであろうと思われる居間までいくが、入り口でとまりちらりと今の中の様子をうかがった。最初はさっと上半身だけを一瞬だけ出して居間にいる父の様子を見た。間をおいて再び同じことを繰り返した後、上半身だけをさらしてじっと父の様子を眺めた。


 そこには椅子に腰かけて新聞を見ている父がいて、こちらには気づいていないようだった。


 少しドキドキ感を感じながら出ていくべきか行かないかで。新聞を読み終えるまでを待つか待たないかを考えこんでいた。


 客観的にはこんなことは考え込むことはないはずだが私は機械ではない。些細なことでも迷ったりとまどったりするものだった。早くいけばいい。大したことはしていないし、ばれていないはずだ。


 それでも私はしばらくその様子を居間の入り口付近から身をひそめながら見ていたが、らちが明かないと結論付けて意を決して父の前に進み歩いて行った。


 数歩のところで止まったが父はこちらに気付いている様子はなかった。


 「お父さん」


 少しはにかみながらためらいながら少し微笑みながら声をかけたのだった。


 「・・・」


 父からは何の反応もなかった。私の表情は憂鬱なそれと変わる。


 私は父の髪をまじまじと眺めていたのだった。白髪があり元からなのか、都市の成果はわからない。


 父と同じ髪の色であり、それをきれいだと思ったこともなくはない。


 しかし妹のほうは違って髪は母似だった。


 母の髪もきれいだと思っている。


 父は濃い目の紺で母は黒であった。


「おとーさん」


「・・・」


 またもや返事がなかった。聞いてないのか聞こえていないふりをしているのかわからなかった。


 父はよく聞こえないふりをしていることがあるから区別がつかない。


 なぜ父が聞こえなうふりをしているのかわからなかったがそのような性癖なのだろうといつだったか知らないが、そう私の頭の中で結論付けていた。


 私は息を大きく吸いこんだ。


「おとーさん」


 前より大きな声で父を呼んでみた。


「なんだ」


 やっと返事をする気になったようだった。まさか、今までの呼びかけが新聞で夢中で気づかなかったなんてことはありえない。やはりとぼけている。どうしてだろうと尽きない疑問が頭の中を駆け巡る。父の言葉に耳を傾けて返事をするように口を開けた。


「おとーさん、返事ぐらいして、新聞読みたい」


「今、読んでいるから・・」


 父は何かいつもと違う静かな口調で返事を返してきた。


 父らしくない、そう思ったのだった。


「じゃ、終わったら」


「わかった」


 了承してきた父の声はいつもの低い威厳のある声だった。


 気づかないふりをしているのだろうか?そのようには見えなかった。


 何を考えているかは顔、態度からはうかがい知ることができなかった。


 ひょっとしたら気づいているかもしれないとふと頭に浮かび上がった考えを否定することはできなかった。


 ひとまず父のいる居間から離れていき一階の廊下で立ち止まり、また考え直してみた。


 父の考えていることをなぜか異常に知りたかったが、何とか悟られないように聞き出そうと言葉を選んでいたがどう見ても無理そうだった。例えば今日、何か変わったことあったとかだが見破られそうに思えてやめた。


 なんてきけばばれているとわかるのだろうと・・・。


 それでも考え直したがやはり無理そうだったため聞くこと自体、今は無理でもいつかスキができるかもしれないし、父が何かのはずみで聞いてくるかもしれないと期待して今は新聞を待つことにした。


 二階の自分の部屋に行こうとして、そこで待つのではいつ読み終えるかわからないために、一度居間に戻り、そこで椅子にしばらく腰かけて、たまにあちらこちらに目をやりながら待っていたがらちが明かないので二階に待つことにして父に声をかけた。


「おとーさん、早くしてね」


「・・・」


 父からは何の反応もなかった。相変わらずに新聞に悔いるように読みふけっている。


 新聞そんなにおもしろいのかなあ・・。確かに面白いことは面白いがそんなにかかるものだろうか?


 父の新聞読みはいつも長く、加えていつもバラバラになっていて読みづらかった。何度か母も私も妹もそのことについて言ってみたが一向になおる気配がなかった。


 居間の部屋を出ると二階にまで行き自分の部屋に戻った。


 扉を閉めた後、私はベッドに横になった。ベッドに横になったとたんに急に疲れが出てきて、眠くなってきていた。このままだと寝てしまう。朝食に間に合わなくなると考えながら、早く朝食か父の新聞が読みが終わらないかと思案しているうちに寝てしまった。


 ちちちちち、ちち、ちちちちち。 


小鳥の鳴き声で起きた。寝てしまったか?下から朝食を用意する料理のにおいと音がしてきて、かすかな記憶をたどりながらそれでまだ私は呼ばれていないのだとわかった。


 まだよばれてなかったはずだと・・・。


 おそらくはもう料理は終盤に差し掛かっていることは今までの経験から分かったが問題はまだ料理をやっているのかどうかである。


 まだ配膳をしていなければ手伝わせられるのはわかりきっていた。いや配膳するのが嫌なのではなく料理をやらされることに問題があった。ただ単に手伝うのがいやだというだけではあるが。


 料理は得意というほどではないがそれなりにできる自信はある。だけれども疲れていて、あまりやりたくなかった。ふだんもそうといえばそうであるが・・・。


 なので居間に行かずに二階の自分の部屋で呼ばれるのを待った。


 待っている間、書き取りの復讐でもしようかなと机に向かったが朝食が近いせいか疲れているせいか身が入らず、方なくベッド仰向けにない天井を眺めていた。


 また眠くなってきていたが我慢していた。もうそろそろ食事だ。


そうしているとだんだん眠気が強くなりうとうとし始めたときに階段下から呼び声がかかった。


「レナー、リナーご飯ー」











 


  




 


 


  

 





 






 








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