女勇者の禁書覚書12
しばらく道なりに階段を上がっていく。途中に鳥の鳴き声を何度も聞くがけたたましいというわけではなかった。
道なりに進んでいくと分かれ道があり、そこには先ほどと同じような看板が立っていてそのまま上っていくほうは第一展望台と書かれていて平道に続く道は第二展望台と書かれていた。
私は看板を眺めながらしばらく考えていたのだった。どっちにすべきか・・。
立ちすくんだようにその場に考え込む。
一気にあがって第一展望台まで行きそれから第二展望台に行くべきか、それとも第二展望台から行きそれから階段を上がっていき第一展望台まで行くべきか迷っていた・・たいしたことではないのにしかし、このように迷うことがなんだか楽しくてうれしくなってきて、やはりここにきて正解だったと思うようになってきている。来るたびにそう思う。
それでどちらかにしたかというと先に第二展望台に行くことにした。
そこに詳しいわけなどなかったがただそうしたかったのだった。あえて言うなら楽しみは後からのほうがいいということになるだろうか?
第二展望台への道は階段はほとんどなく、ここから急斜面の木々の間から下を見るとかなり高く、どれくらい高さがあるか見当もつかなかった。
落ちたらやばいかも・・・。
そう、一瞬、頭に浮かんだのがその言葉だった。
道にはたくさんの落ち葉があるのではないかと思っていたがそうでもなく、土がむき出しになっていてそれは奥まで続いていて、手入れをされているとはっきりとわかった。
第二展望台は上るわけではないために、すぐにつくと思っていたがなかなかつかずないために、いったん戻り、あとからにしようと何度か考えたが思いとどまり、やっとのことで展望台の入り口まで来たが、そこはあまり入り口のようにおもえなかった。どこか洞窟の穴のように見えてしまい、入り口とは認識しにくかった。薄暗い青空がトンネルの出口のように見えてきてしょうがなかった。
「うわーここ、いいなー」
思わずつぶやき声が漏れ出る。空はもう白みを超えて青みが出てきていた。今日もいい天気になりそうだ。
まあ、何はともあれ、その入り口に立つと展望台というだけあって、周りを一望できた。そこから見える景色は周辺が穀倉地帯だということを教えていた。刈り取られた穂を残していて、あたり一面黄土色であったが、ところどころ地面の茶色の色をしていたところも多数あって、しかしとても眺めがよく私は気分が爽快になっていくのだった。
ここでもいいかもしれないと思い始めていたが頂上はもっと高く視界が限定されていないために周りを一周してみたらとてもよい景色だろうと想像して、そこでの眺めを早くしたかったが、ここはここで名残惜しくて、近くにある腰掛岩のような岩に腰を下ろして、しばらくそこの眺めを堪能したのだった。
頃合いを見て第一展望台へと向かった。途中にさっきあった塗装が少し剥げた看板があり、そこを登っていく。
第一展望台は第二展望台と違い、さらに階段を上がっていかなければならず、その階段は急斜面だったので一段一段がきつく運動をあまりしてこなかった私にはきつく感じられて苦労した。息が上がってきていて途中、止まっては歩いて止まっては再び道を目指して歩くを繰り返した。
階段自体はきつかったが頂上へと続く道はそれ以上に期待するものがあり、多少右往左往している程度の道で一本道であり、迷わないのがせめてのすくいだった。
我慢して上り続けていると上のほうを見ると道がだんだんと開けてくるのがわかり、入り口付近では洞窟のように空いた穴からは空が見えていて青空が広がっていた。第二展望台と入り口の見え方は同じだった。
あともう少し・・・。
息を切らせながら一段一段を上がっていく。
もう少し鍛えないとだめだな・・・。
今まで何もしてこなかったことへの後悔とこれからやればまだまだという期待感とともに頂上へとたどり着く。
第一展望台へ着くと心が躍った。まず先に風が全身を吹き抜けるように流れていき、その冷たい風は私の頬をなでながら過ぎていくために、頬の熱を奪っていく。
第二展望台があれだけの景色だったのだから、もっと高いこの展望台はさぞかしすごい景色だろうと予測できて、鍛錬にはもってこいである。
出口付近まで来ると冷たい風がほうを伝い、後方に流れていくのがわかり、その風は髪をわずかにたなびかせていた。そのことによりさらに心が躍り、出口を抜けるとそこは想像した以上の景色が眼下に広がっていたのだった。
見える景色はさらに高くなり、そこから見渡すその光景は穀倉地帯はあたり一面、黄土色になっていて、遠くの山には頂上から山の中腹あたりまで雪が積もっている。そのために白く光を反射していた。この周辺には小山も結構あるようだった。
その光景はまさに絶景だった。少なくても、ちいさいころよりももっと鮮やかに感じられていた。
「うわーきれい」
自然と独り言が漏れる。
ここでも第二展望台と同じように感嘆の声を漏らしたのだった。ただ先ほどより少し大きかったような気がした。
改めて周りをよく見てみると第二展望台と違い、あたりは開けていて周りを遮るものは何もないといったところであった。
もしこれが夏であったならあたり一面緑一色だろうと予測することができ、よい眺めで涼しいだろうと思い心地よい気分になった。
今吹いている風はそよ風程度なので冷たいといっても階段を上ってきて熱くなった体にはちょうど良かったのだった。
厚手の格好をしてきたので上着を脱いで岩場にかけておいた。それでも寒くはなく熱いぐらいだった。
風は相変わらず、間断なく吹き続けていて、髪を乱れさしていたがあまり気にはならなかった。
こうして小山の頂上から見てみると山の森林地帯は思った以上にひろいようで、森林地帯に小山が突然できたような感じであった。
どうしてこのような形になったんだろう?
ふと疑問に思った。
目を近場に移して座れる床を探すと、ちょうど近くには岩場で椅子になりそうな場所と椅子になりそうな丸太があったので岩のほうにして隣に上着をかけおいていた。
平らになっている岩に腰を掛ける。ちょうどいい高さであり、この岩も誰かが作ったのではないかと思うほどだった。
落ち着くとカバンから水筒を取り出して、蓋をコップ代わりにそこに水を注いでいく。
このふたの半分ぐらいまでに注いで一気に飲み干した。
「ぷはー」
冬の冷たい水の感触が口に次にのどにおなかに伝っていくのがわかった。
水がおいしく、甘く感じられて気分は何とも言えなかった。冬場の水はなぜかおいしく感じられる
なぜだろう・・?
そこでしばらく座ったまま景色を眺めていたのだった。そこにうつる景色は何回見ても見飽きることはなかった。
そよ風とはいえ、冷たい風のはずなのになぜかとても気持ちよく、また空気も澄んでいて心を落ち着かせた。吐く息は白い。
「はあー」
溜息に似た吐き息をした。
いいなあ、ここはここの第二展望台よりずっと良いところだ。素直にそう思ったのだった。
しばらくしていると歩き疲れが取れてきて、腰にさしてある短剣を抜き身にして、そのきらりと銀色に光る刀身をしばらくの間眺めていた。銀色に輝いているその刃を見ていると吸い込まれそうで時間を忘れてしまう。
体が冷えてくることを感じたため、短剣を右手に持ったまま立ち上がり、座っていたところから少し移動して短剣の素振りを始めたのだった。
素振りをしているときに考えたことはこれが本当に剣の上達につながるのかと考えていたが少なくても、これを続ければ短剣の軌道が正確になるんではないかと考えて、そう思うことにして後から詳しいことは調べてみようと素振りに集中したのだった。
その行為をなぜし始めたのかわからないが体がなんとなくそうすることが自然に思えてきたこととまたそれはいざっていうときの護身術にもなるし、なにより私自身がそうしたかったからだった。
何度も素振りを繰り返していた。
これは護身用でそのうち器用に短剣を扱えるようになると思うと素振りに力が入る。
本来は素振りなどは刀や剣でするものだろ思っていたために、今までしてみようかと思ったことは一度や二度ではなかったがやらないでいたのだった。
素振りを何度も繰り返していると少し音が研ぎ澄まされていくことが分かった。
まれに音が変わっていることに気づいた。
ひゅおという音から時折、ひゅっという短い音に代わっているときがあった。
おそらく平行にきちっと振れているときだろうと考えている。
その時は幾分素振りがよりスムーズになっているような感じであった。スーと刃先から進んでいくようなそんな感じだった。
さまざまな角度からやってみた。普通に振り上げてから斜めに切る。
構えの状態から最初から抜かないで切る横切り、いわゆる抜刀術というものである。
これは刀身が短いほどやりやすく刀や剣といったものよりずっと取り回しがよいだろうと考えて、いち早く取り入れることにしたのだった。
外側から内側へと内側から外側へと練習して今度は反対の左側でも同じことを繰り返したのだった。
汗をかき始めていて、続けていた腕が疲れてきて短剣を振るのが辛くなってきたなと思ったらいったん素振りをやめたのだった。
あまり慣れていないために腕の筋が痛くなってきて、腕も重く感じられて、明日あたりには筋肉痛になるだろうと予測できたのだった。
振るのをやめると「はあはあ」と肩で少し息をするのが分かったが、それはすぐに収まり、丸太のベンチに腰をおろしたのだった。
丸太に腰を下ろした私は近くの岩に置いていたカバンの中から小さめの水筒を取り出して、ふたを開けてふたに水を注いで半分くらいまで注ぐとふたのふちに口をつけて水を一気に飲み干した。
ただ一息つくための飲み干しだった。水分補給でもあった。
汗とほおで冷たい風を感じながら運動をあまりしてこなかった私でも汗をかくのはいいものだと感じさせるものがあった。
特に簡単な散歩運動であっても長めに歩くと夜の寝つきがよく、運動していないとなかなか眠れずに体がむずむずしてくるために体を適度に動かすことは安眠や心身をよくすると気づき始めていた。
運動をしていない、よく眠れない最初のほうは夜中に起きてしまい、それでも寝ようとするが眠れずに髪をぐしゃぐしゃになるまでに頭を撫でまわしていたこともあった。
「あー、あー、眠れない」
そう、頭を抱えながら、よくつぶやいていたものだった。
しばらく待っていても眠れないときはベッドから起きて体をしばらく体を伸ばすように動かしていると眠れるようになるのだった。
それが運動しようとしたきっかけになっているのかもしれないと、いまさらになってかんがえていたのだった。
それでも眠れないときにはこれで眠れるといいのだがと色々と思いついたことを試していったものだった。家の中でスクワットをしてみたり、腕立て伏せをしてみたり、ベッドから起きてもも上げをしてみたりと・・安眠できるようにとやっみた。正直、そのころは安眠に相当悩まされていて、どうしたら気持ちよく寝れて、朝起きることができるのかと寝れないときはよく考え込んでいた。
眠れないときは何かで読んだのか、おじかおばに何か物語を読んでもらったのか、どこかで聞いたのかは定かではないが推理小説の博士か探偵のような気分で客観的に自分を見るように考え込んでいた。
今いる場所は、小山の山頂であるから風通しもよく、たまに強い風がふくが、冷たい風でも心地よく感じられたのだった。
冬季独特のこの冷たいかぜはなぜかよく澄んでいて空気に独特のにおいがして、なんか身がしまるような身が清らかになるような感じがして、高ぶった感情はもう少し高まりうれしくなってきて夏とは違った心地よさがあった。春も夏も秋も冬も全気候好きであった。
丸太の上にしばらく座っていると体がだんだん冷えていくのを感じて上着を着ようと上着があるほうへと目をやったが、また動くために着ようとするその精神を押しとどめて、丸太から腰を上げたのだった。
今日はここまででいいだろう・・・。
上着を肩にかけてバッグに水筒をしまいそれを肩から下げてわすれものがないか、今一度、周りを見渡して忘れ物がないことを確認したら頂上を出発した。
坂を下り来た道を戻り始める。道なりに進んでいくと途中に第二展望台の看板があり、ここの文字は薄れて消えかけていたが入り口の看板と同じように文字を掘っていてそこを塗ったものなので難なくよむことができる。
さらに下っていくとあの池と展望台の看板のある分岐点にさしかかり、そこを通り過ぎて少し進んだところでさっきのしかと思われる動物がひょっこりと来た時と同じように顔を出したのだった。
周囲の注意は怠ってはいなかったはずだが、気が緩んでいたことは確かで、どこに隠れているのかさえわからずにそのシカにびっくりさせられた。立ち止まり事の様子をうかがう。その時にはもう手が腰に向かったいた。
腰の剣を確かめていたがなかなか慣れていないせいか探り当てることができずにしばらく手は探検のつかと入れ物を探っていた。
鹿は初めのあった時と同じように、いきなり出てきた後はゆっくりゆうゆうと小道を横切って行った。
やはり・・慣れているな。同じ鹿?
そう思わずにはいられない。私はこの鹿は狙ってやっていると確信した瞬間でもあった。
近くの人に買われているのだろうかと疑問にも思うが、鹿を買っているようなことはあまり聞かないため、おそらくは野生の鹿だと判断したが先ほどと同じ鹿なのかと言われればかなり疑問だろう。模様も何となく似ているように見えるし・・。鹿が通り過ぎていく。
「はあー」
その姿を見ると気が抜けて、ためていた息を一気に吐き出した。同時に一気に脱力感が体を襲い肉体だけでなく、精神も一気に何か抜けていったような感じであった。
改めて鹿の目を顔を少し冷めた目で見てみると、鹿は何か親し気な興味津々といった感じで遊び心満々だった。明らかに何かしらのいたずら的な何かをもって出てきたことは間違いなさそうだった。
鹿が小道を悠々と渡り終えるのを見届けると公園入口へと向かい歩いて行った。
今度来るときには何か鹿に食べ物でも持っていこうかなと思ったが餌付けはあまりよくないことを聞いたことがあるのでその考えを否定した。
公園入口をでると元来た道を戻り始めて、すぐに門からこちら側に向かって走ってくる馬車があり、こんな朝早く馬車が走っているものなんだと改めて感心した。結構走っているものだなと・・。
定期便であろうか?中は何か?さっきと同じものか?同じ馬車か?朝早くに隣町にでも出稼ぎに出ていくんだろうかと疑問がつきない。




