第ハ話 ダクトとの勝負
後日、ダクト、ダーラ、立会人がリリアの屋敷にやってきた。
ダクトは、「やっと、あの美しいリリアを自分の物にできる」と思って喜んでいた。
ダクト達が屋敷に来てリリーとルベルトは応対した。「わざわざ来て頂いて恐縮です」と話しをするとダクトは、「さぁ、早く勝負しましょう」と言った。
「それでは、皆様、中庭まで行きましょう」とリリーが話した。
ルベルトは、使用人にリリア、ルーフェルト、リリスを呼んできてくれと指示を出した。「はい、かしこまりました」と使用人は答えた。
しばらくして、皆んな、中庭に集まった。
「さぁ、勝負だ。お前、前に出ろ」とダクトはルーフェルトに言った。
ルーフェルトは、前に出て、「いつでも、いいぞ」と答えた。
「そうか、ならば」とダクトは声を出し、赤い石を投げつけた。
赤い石は、光って光がルーフェルトを包み込んた。
「あぁ、ルーフェルト」とリリアが叫んでしまった。
「大丈夫だ。リリア」と叫ぶとルーフェルトは何か唱えた。ルーフェルトの精霊力を魔力に変換して魔力を膨大に増幅させたのだ。
すると赤い石は、どんどん魔力を吸収した。魔力を吸い過ぎて砕けてしまったのだ。
「なんだと―」とダクトが叫んだ。ダクトはすかさず魔法陣を出して唱えた。
唱えた魔法で、三メートルぐらいある炎の円球を出した。その炎の円球をルーフェルトに投げつけた。
ルーフェルトは、つぶやいた。大きな水龍の形をした水が出現して炎の円球を飲み込んでしまったのだ。
「これで、終わりか」とルーフェルトが言うと「お返しだ」と言って、すごい大きな火龍の形をした二十メートル程の炎が出現した。
それを見たダクトは恐怖を感じ「わ―、待ってくれ―。あんなの食らったら死んでしまう」と叫んで、頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「待ってくれ―、この勝負、もう決まった」とダーラが叫んだ。
「もう、勝負はついた。ルーフェルト君だったかな。君の勝ちだ」とダーラが言った。
「君は、何者なんだね。魔法陣を出現させずに魔法を使い、水と火の魔法が使えるなんて、普通一つの魔法種しか使えないはずだ」とダーラは不思議がった。
「僕は、ただの魔法剣士です」とルーフェルトは答えた。
「そうか、ルーフェルト君、私は君に興味が湧いた。今度、ゆっくりと話しをしないか」とダーラは言った。
「はい」
「ルベルト、求婚の話は無かったことにしてくれ。さぁ、ダクト帰るぞ。失礼する」とダーラはダクトの手を引っ張って帰って行った。
「ルーフェルト、ありがとう。絶対に勝つと信じていました」とリリアはルーフェルトに抱きついた。
「あらあら、あんなに抱きついて、だけど、ルーフェルト、本当にありがとう」とリリーが言った。
「いいえ」と一言だけ答えた。
「だけど、ルーフェルト。あなた、水と火の魔法も使えるの。最初、会ったときは風と光の魔法を使ったよね」とリリアは話した。
「あぁ、使える」
「本当に、じゃ、地の魔法も使えるの」
「そう。使える」とルーフェルトが答えると、皆んな凄く吃驚した。全ての魔法種が使える人は見たことがないからだ。
暇だったリリスが飽きて「ねぇ、どうでもいいけど、お兄ちゃん、これから、何処か遊びに行こうよ」とリリスが誘った。
「あら、いいわね、リリア、リリスと三人で行ってらっしゃいな」とリリーが言うと「じゃ、行きましょう。ルーフェルト」とリリアも言った。
「じゃ、行こう」とルーフェルトも答えた。
リリスは大喜びした。
準備して屋敷を出た三人は、繁華街にやってきた。
「あ、あの店に入ってみようよ」とリリスが話した。この店は、アクレサリーの店だった。
リリスが「これ、可愛いい」と欲しそうに見ているとルーフェルトが「じゃ、これ買ってあげる」とリリスに言った。
リリスは「ありがとう、お兄ちゃん」と答えた。
定員が「良かったね。お嬢ちゃん。お兄さんに買ってもらって」と話した。
ルーフェルトは購入し、リリスにプレゼントした。
リリアも、ルーフェルトから何かプレゼントが欲しいという顔をしていたので、ルーフェルトもリリアにネックレスをプレゼントした。
すると今度は、リリアが一つのネックレスを見つけた。
表がガラスで小物を入れることができる丸い銀のネックレスだった。
「ねぇ、ルーフェルト」
「なんだい」
「これなんだけど、あなたがいつも大事そうに持っている青い石を入れたら」とリリアが言った。
「いいかも、だけど結構な値段だよ。リリア」とルーフェルトが言うと「婚約してくれたお祝いに買いたいの」とリリアが言った。
定員が「婚約したんですか。おめでとうございます。そうしたら、お祝いに少し安くしますね」と話した。
「ありがとう、定員さん。じゃ、買いますのでお願いします」とリリアは買って、ルーフェルトにプレゼントした。
「ありがとう。リリア。大事にする」とルーフェルトは言った。
しかし、ルーフェルトは思った「僕には、リリアの気持ちに答えることができるのだろうか」と思っていた。
三人は買い物が終わり、店を出ると「リリアぁ―」と叫ぶ声が聞こえた。リリアが見るとアリアだった。
アリアは、走ってリリアのところに来た。
「はぁ、はぁ、リリア、最近、街中でよく遭うね」
「そうね。アリアは何しているの」
「親に買い物を頼まれたの」とはなしをしていると、いきなり上から魔人が襲ってきた。
ルーフェルトは気が付いて、「リリア、アリア。危ない」と叫んだ。ルーフェルトは、リリスを抱きかかえ、剣を避けた。
だが、リリアとアリアは、「キャ―」と叫んで、すっ飛ばされてしまった。
「リリア、アリア、大丈夫か」と叫んだ。リリアとアリアは、「大丈夫」と答えた。
「ほう、私の剣を避けたか」と魔人は話した。
「お前は何者だ。何故、襲う」とルーフェルトは言った。
「私は暗黒魔人のガルバロス。アルデバロス様に仕える者だ」
「アルデバロスだと」
「そうだ、さぁ、ルーフェルト、命をもらうぞ」とガルバロスは襲ってきた。
ルーフェルトは、魔法を唱え光の剣を出してガルバロスの攻撃を防いだ。
「ガキン、ガキン」と何回も音が響いていた。
すると、別の魔人が三人ほど出てきた。リリア、アリアに襲いかかって行った。
「しまった」とルーフェルトは叫び魔法を唱えようとした。
すると、髪の白い剣士が間に入って魔人達を蹴散らした。
「くっ、邪魔が入ったか、まぁ良い。ルーフェルト、今日は挨拶程度だ、また、会おう」と言って消えた。
ガルバロスが去ったあと「大丈夫かい」と白髪の剣士が話した。
「ありがとうございます」とリリアは、助けてくれた剣士にお礼を言った。
ルーフェルトも「助かりました」とお礼を言った。
「困ったときは、お互い様だからね」と白髪の剣士は言った。
「私は、リリアと言います。一緒に食事でもどうですか。お礼がしたいので」とリリアは言った。
「お礼なんて、いいですよ。私は、ミステリアといいます」と話した。
この時、ルーフェルトは何処かで聞いたことがある名前だなと思っていた。
「僕は、ルーフェルトと言います。ありがとう」
「いいえ、こちらこそ」とミステリアは答えた。
ミステリアは、「あれ、ルーフェルト様と同じ名前だな。まさかな、ルーフェルト様がこんなところにいるはずはないな」と思った。
このミステリアは、水の聖剣士のメンバーだった。ミステリアは気まぐれで、会合など出たことがない。
このため、ルーフェルトとは面識が無かったのだ。
まわりからは名前で呼ばれず、水の問題児と言われていた。
だから、ルーフェルトも会ったことはなく、本名も覚えていなかった。
「で、どうですか」とリリアは誘った。
「じゃ、お言葉に甘えて」とミステリアは一緒に食事することになった。
近くの店に入って、ミステリアと一緒に食事をしながら話すとミステリアはとても陽気な性格だった。
リリア、リリス、アリアも気に入ったようであった。
ミステリアが、「なんで、魔人に襲われたのですか」と質問した。
「わからない」とルーフェルトは答えた。ルーフェルトは、多分、自分のせいだと思っていた。
「そうですか。だが、気をつけて下さい。また、襲ってくるかも知れませんので」とミステリアは話した。
「はい。私達は、魔法剣士学園の生徒なんです。だから、少しは心得はあると思いますよ」とアリアは話した。
「そうですか、油断は禁物です。気をつけてください」とミステリアは話した。
そして、楽しい食事も終わり店を出て、再度、ミステリアにお礼を言って別れた。
この時、ミステリアは「魔法剣士学園の生徒か。また、奴らが襲ってくるかも知れないな。少し見張ってみるか」と思っていた。
ミステリアと別れてからリリアは言った。
「ねぇ、ルーフェルト、私達に魔法と剣術を教えてくださらない。今の実力では、全然、駄目だと思うの。私達、強くなりたいの」とお願いした。
アリアも「ルーフェルト、お願い。今では魔人にも勝てないと思あの」と言った。
「わかった。明日から学園で、魔法と剣術の訓練しよう」とルーフェルトが話すと、リリアとアリアは喜んでいた。
「ねぇ、お兄ちゃん。リリスにも教えて」とリリスもお願いした。
「了解、屋敷でリリスにも、少しずつ教えよう」とルーフェルトは答えた。
「嬉しい」とリリスも喜んでいた。
そして、ルーフェルトは「自分が学園にいることで、皆んなに危険が生じてしまうでは、僕はリリア達と一緒にいて良いのだろうか」と思っていた。
「だが、リリア達を少しでも強くするのは、やぶさかではないか」ともと思っていた。
この数日後、ルーフェルト達が魔法剣士学園にいるときにガルバロス率いる魔人の大群が襲ってくることは、今のルーフェルト達には知るよしもなかったのであった。