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魔法剣士学園の救世主  作者: 寺田ゆきひろ
第ニ章 魔法剣士学園の生活
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第七話 婚約の契り

 ここは、北の大地の中心にある魔王城、暗黒大魔王アルデバロスの城だ。まわりは魔人の街が広がっており、街を見下ろすように大きな城が建っている。

 魔王城に戻った魔道薬剤師のガーラは、魔族薬の効果と実験のときにルーフェルトと会ったことについてアルデバロスに報告していた。

 アルデバロスは、「そうか、ルーフェルトと会ったか」

「はい」

「まぁ良い。あと薬は成功か」

「はい、この薬を飲んだ人間は、我が魔族の兵隊になりましょう。そして、戦い終われば死にいたります」とガーラは話した。

「ガーラよ、薬を大量に生産せよ。全ての人間を死滅できるぐらいの量をな」

「はい、アルデバロス様、早速とりかかります」とガーラは話して席を外した。

 ガーラが立ち去ったあと「ふふふ、何用だ。ガルバロス」と声をかけた。すると、ガルバロスがスッとアルデバロスの前に現れた。

「はい、アルデバロス様、先程、話したルーフェルトという男に興味が湧きました。少しばかり、遊んでも良いでしょうか」

「ふふふ、何をする気だ」

「はっ、アルデバロス様、少しばかり、ちょっかいを」

「ふふふ、好きにするが良い」

「はっ、さすれば、好きにさせて頂きます」とガルバロスは言って消えたのだった。


 その頃、学校ではリリアは、ダクトと(にら)みあっていた。

 ダクトに勝負を(いど)まれ怒っていたリリアは、「徹底的にやっつけてやる」と思っていた。

 そのとき、「リリア、待って」と親友のアリアが校門に来た。

 リリアの様子を見てアリアは「どうしたの」と聞いた。

 アリアから事情を聞くとアリアはため息をしながら「はぁ、また、リリアのお父様ですか」と呆れていた。

「そうなの、それで勝負をすることになったの」とリリアは話した。


「話しは、終わりましたか」と魔法師長の息子ダクトが言うとリリアが「さっさと片付けて帰りましょう」と言った。

 ダクトは、「ははは、勝つのは私です。私は魔法師です。だから、魔法で勝負です」と言った。

 リリアが「さっさとやりましょう」と言うとダクトは「ここに勝敗を証明する立会人も連れてきました。さぁ、勝負です」と言った。

 リリアが構えるとダクトは赤い石をポケットから出した。そして、リリアの真上に石を投げつけた。

 すると赤い石はリリアの上で光ったあと、ままたく間に光がリリアを包み込んでしまった。

「あぁ…、なんなの、これは、ち、力が…」とリリアは声を出した。

 リリアの体力がどんどん落ち込んでいくのがわかった。そして、立っていられなくなり、片足を膝まづいた。


 この状況を見たアリアは、「なによ、この感じは」と考えた。考えるうちにリリアの体力が消耗していくのがわかった。

 すると、アリアは「はっ」と気が付いた。「リリア、これは魔低石よ」と大声で叫んだ。

「なんなの、アリア、魔低石って」と言った途端、リリアは起きていられなくなり手も地面につけた。

「魔力を高める魔高石とは逆に、これは、魔力を吸い込む石よ。リリア」

「そんな石が」とリリアが起きていられなくなって倒れてしまった。

「ダクト、勝負に魔低石を使うなんて卑怯だわ」とアリアが叫んだ。

「勝負は勝負です。どんな手を使ってもです」とダクトは言った。


 余裕を見せるダクトは、魔法陣を出して魔法を発動した。空から鎖が出てきて、リリアを鎖で縛ってしまった。

「あっ…、動けない」とリリアは声を出した。

 さらにダクトは、剣をリリアに向けて、「ははは、私の勝ちです。あなたは、もう私のものになるのです」と大声で笑った。

 立会人も「この勝負、ダクト様の勝ちです」と叫び勝負はついた。

「今日の夜、私の父と家に行く。そして婚約の契りを結ぶんだ。いいなリリア」とダクトは、言って去って行った。


「卑怯よ、こんな勝負。婚約なんてしなくていいわ、リリア」とアリアは言って、鎖を解きリリアの肩を貸した。

 アリアは、肩を貸しながらリリアを自宅まで送った。「ありがとう。アリア」とリリアは落ち込んでいた。

 リリアは、自分の部屋に入ると具合いが悪くなりベッドで眠ってしまったのだった。


 しばらく寝ていたリリアは、目を覚ました。いつのまにか夜になっていた。

 その頃、ダクトと魔法師長であるダクトの父ダーラがリリアの屋敷に来た。

「どうしました。ダーラ様」と母リリーと父ルベルトが応対した。

「夜にすまない。大切な用があって訪問させて頂きました」とダーラが言った。


 ダクトは「ルベルト様、先日の約束どおり、リリアさんと勝負をしました。そして、私が勝ちました。勝負の立会人もいます。だから、リリアさんとの結婚を承諾して頂きたいのです」と話した。

「え、まさか、うちのリリアが負けたと」とルベルトが言った。

「はい。私が勝ちました。ですから、まずは、婚約の約束をお願いに参りました」とダクトが言った。

「あなた、これは、どういうことですか」とリリーが言うと「前に約束してしまったのだ。だが、リリアが負けると思わなったからね」とルベルトが話した。

「約束は、約束です。リリア殿を呼んでください」とダクトは言った。

 ルベルトは使用人にリリアを呼ぶようにと頼んだ。


 少し待つとリリアが階段から降りてきた。

「あなたは、ダクト」と声を出した。

「リリア、勝負をしてダクトに負けたのか」とルベルトが聞くと「この人は、卑怯です。魔低石を使って私の力を封じたのです」とリリアが言った。

「なんだって。卑怯な」とルベルトは言った

「だけど、勝負は勝負です。私は魔道具を使っただけ。さぁ、約束です。リリア、私の物になるのです」とダクトが言った。

「あなた、リリアを物扱いするなんて」とリリーが怒った。


「しかし」とルベルトが言うと「だが、約束は守らなければなりません」とダーラが話した。

「私は、嫌です。こんな婚約」とリリアが泣くとルーフェルトが帰ってきた。

「ん、皆さんどうしたのです」とルーフェルトが話すとリリスも何事かと一緒に入ってきた。


「ルーフェルト、今は立て込んでいてね。少し、席を外してくれないか」とルベルトが話した。

 このとき、リリーが「そうだ」と思いついた。

「ルーフェルトは、ここに居てください」と話すと「なんでだい」とルベルトが言った。

「ルーフェルトにも関係があります。実はルーフェルトとリリアは昨日の晩に結婚の約束を誓いました」と話してリリスに合図をした。

 リリスは合図を理解し、ルーフェルトの腕を掴んだ。ルーフェルトの耳元に口を近づけて「少し、黙っていて」とルーフェルトに言った。


「本当か」とルベルトがリリーに聞くと「はい。私とリリアとルーフェルトで約束を交わしました」と話し、「ねぇ、リリア」と合図をして話した。

 リリアも、合図を理解して「はい、私はルーフェルトと結婚します」とリリアは言った。


「これは、どういうことかね」とダーラが話した。

「昨日のことなので、私の知らなかったことです。誠に申し訳ない」とルベルトが謝った。

「じゃ、どうするのかね」とダーラが聞くとルベルトは黙ってしまった。

「それでは、ルーフェルトとダクトが勝負をして頂くというのはどうでしょうか」とリリーが提案した。

「勝負ですと」とダーラが言うと

「はい。元々、ダクトがリリアとの勝負に勝ったら結婚すると言う話しでしたから、婚約者候補者同士で勝負して勝った人と結婚すると言うことです。どうでしょうかダクト」とリリーは言った。


 ダクトは少し考え「私は勝負しても、いいです」と言った。

「絶対、私が勝つのだから」と思っていた。

「そうか、ダクト。お前がそれでいいと言うのであれば」とダーラが言った。

「それで、いいですね」とリリーがリリアに聞くと「はい」とリリアが答えた。

「後日、私とお前とで勝負だ。私が勝ってリリアをもらう。今日はこれで失礼する」とダクトは話し、ダクトとダーラは帰った。


 ダクト達が帰ったあと、「ルーフェルト、ごめんなさい。あなたを巻き込んでしまって」とリリーが話した。

「大丈夫です」とルーフェルトが答えた。

「全ては、あなたが悪いんですよ」とリリーがルベルトに怒った。

「申し訳けない」とひたすら皆んなに謝った。


「ねぇ、お母様、お兄ちゃん、あの人と勝負するんだよね。お兄ちゃんが勝つのかな」とリリスが聞いた。

「大丈夫よ。ルーフェルトは勝つと思います」とリリーは確信していた。

「私も、勝つと思うわ。ルーフェルトを信じていますから」とリリアも言った。

「ルーフェルト、申し訳ないけど、勝負して頂けますか」とリリーが頼むと「はい」とルーフェルトは答えた。


「あと、お願いついでだけど」とリリーが話し「なんでしょう」とルーフェルトが返事した。

「本当にリリアと婚約して頂けないかしら」とリリーが言った。

「えっ」と、ついルーフェルトは声を出した。

 リリアも、「えっ、ちょっと、お母様」と顔を赤くして声を出した。

 ルベルトも「えっ、さっきの話は嘘だったのか、リリー」

「はい。だから本当のことにしようと思って」

「リリー、唐突すぎるだろう」と話した。

「あなたは、黙っていてください。あなたの責任なのですよ」

「はい。すみません」とルベルトは反省した。


「リリア、あなたはどうなんです。私は、あなたには好きな人と幸せになってほしいの。だから、ルーフェルトのことは好きですか」とリリーは聞いた。

「私…、ルーフェルトが好き、愛しています」とリリアは答えた。

「リリスも、お兄ちゃんが好きだから、本当のお兄ちゃんになってほしいの」とリリスはルーフェルトの腕を掴んだまま話した。


「どうかしら」とリリーはルーフェルトに聞いた。

「僕には、まだ、わかりません。だけど、リリアは素敵な女性だと思います」とルーフェルトは答えた。

 ルーフェルトは、この時、なんとなく感じていた。

「リリアと平穏な日々が送れないのではないか。リリアを幸せにできないのでは、そして、アルデバロスのこと、自分には使命があるのかも」と考えリリアとの結婚に躊躇(ちゅうちょ)していた。


 ルーフェルトが黙ってしまったため、リリーは提案した。

「わかりました。とりあえず婚約だけして、将来、結婚する気にならなければ、婚約破棄すればいいと思います。後日の勝負も嘘ではない本当の婚約者同士の勝負になりますから。どうかしら、ルーフェルト」とリリーは聞いた。


 ルーフェルトは少し考え回答した。「わかりました」と答えた。

「ありがとう。ルーフェルト。さぁ、リリア、ルーフェルトの手を握って、誓いなさい」とリリーは話した。

 リリアは、ルーフェルトの手を握って誓った。「私は、このルーフェルトと将来、結婚することを誓います」と誓ったのだった。


 

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