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魔法剣士学園の救世主  作者: 寺田ゆきひろ
第一章 救世主降臨
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第一話 預かりし赤子

 ここは、異人界の東にある大地、はるか遠い遠い東の地である。

 うっすらと夜空に輝く星が見え、地平線の先には日の出の光が差し掛かろうとしていた。


 そして、地上から五十メートル上空に三人の人影が見える。

 真ん中は杖を持った白髪の老人、両隣には剣と槍を持った女剣士が夜空に浮いていた。

 この者達は、精霊の末裔(まつえい)と言われるエール族の人達であった。

 今は、何もせずに誰かを待っているようである。


 しばらくして、右側の剣を(たず)さえた女剣士が老人に聞いた。

「シャーランド様、なにゆえ、このような東の果てまで来たのでしょうか」と女剣士は(たず)ねた。

「カーラ、わしは天から言葉を(たま)わったのじゃ」と答えた。


 そう、この老人こそがエール族の最高魔法師と言われるシャーランド・エルフドーラであった。

 世界最強の精霊魔法師であり、東の地に八十八あるエール族の村全ての人々から尊敬、敬愛される老人であった。

 そして、カーラもまた世界最強の魔法剣士であり、長い金髪の髪を(なび)かせた剣技は剣と踊るように()うことから、剣聖カーラと呼ばれている。

 この魔法剣士もカーラ・エルフドーラといいシャーランドと同じ一族であった。


 すると、左側の槍を持った武人らしき女剣士が聞いた。

「シャーランド様、どなたの言葉を(たま)わったでしょうか」と尋ねた。

「ライラ、わしは昨日の夜に創生神様から言葉を賜わったのじゃ。明日の朝、日が昇る前、この東の果てまで来るようにとな」と話した。

 このライラも、またシャーランドの一族であり、燃えるような長い赤い髪をなびかせながら拳を()()う。

 最強の武道家であり、武術は神の(ごと)く強すぎることから武神ライラと呼ばれている。そして、ライラはカーラの妹でもある。


 すると「ん、なんだぁ」とカーラが上を見て叫んだ。上空の星と思われた光がどんどん大きくなって近づいて来る。

 近くまで来ると一気に(まぶ)しく輝きだした。

 三人は、たまらず光から離れ地上に向かって降り立ったが光も追いかけて来た。

 木陰に隠れたが、光は近くまで寄ってきた。

 すると、光はパッと突然消えると中から杖を持った一人の老人が現れた。

 老人は、「久しいのぉ、シャーランド」と話した。

「ああぁ―、なんとぉ、久しゅうございます。精霊王様ぁ」と答え、ひざまずいて頭を下げた。

 カーラとライラも驚き「えぇ―、精霊王様ですと―」と声を出し、二人とも片足をひざまずいて頭を下げた。

 精霊王は、二人を見て「うふふ、剣聖カーラと武神ライラじゃな」と問う。

 二人は、「はい、私共の名を知って頂き光栄でございます」と答えた。

「まぁよい。皆、頭をあげよ」と精霊王は言う。

「精霊王様、なにうえ、こんなところにお越し頂いたのでしょうか」とシャーランドは訪ねた。

 精霊王は、「わしは、創生神様からのことづけを伝えにきたのじゃ」と答えた。

 すると、腕を抱えだすように腕を上げると光の玉が発生し(まぶ)しく光った。

 光が消え出し、中から赤子が現れた。赤子は、シルバーの色鮮やかな髪の毛で目は少し大きめの青く綺麗な瞳をしていた。

 精霊王は、「うふふ。可愛いじゃろう。この赤子は、創生神様から預かった子じゃ。名は、ルーフェルトという名らしい」と話した。

 抱きかかえた精霊王は、笑みを浮びながらシャーランドに赤子を手渡した。

 受け取り抱きかかえるとシャーランドは、「この子は人の子じゃないか」と思った。

「ん…、なにうえ、人の子なのに精霊力を持っているのじゃ。精霊力は、精霊か精霊の末裔たるエール族のみ持てるはず、精霊王様、何故(なぜ)この子は精霊力を持っているのでしょうか」とシャーランドは聞いた。

「シャーランドよ、いずれわかるときがくるじゃろうて」と精霊王は答えた。

「それになんて、膨大(ぼうだい)な精霊力を持つ子だ。赤子なのにわしに匹敵(ひってき)する精霊力だ。精霊魔法には精霊力が必要じゃ。わしを超える精霊魔法師になるかもしれない。だだ、魔法種はどうじゃろう」とシャーランドはつぶやいた。

 精霊王は、「シャーランドよ。その子は人の子じゃ。だから精霊界で人の子を育てることはできぬゆえ、お主に預けようと思う」と話した。

「なにゆえ、この子を私どもに」とシャーランドは聞いた。

「これから起こるであろう全破壊に(そな)えるためじゃ。第三の全破壊がこの世界で起こるかもしれぬ」と精霊王は答えた。

「あぁ―、なんと精霊王様、この世界に全破壊が起きるのですか」とシャーランドは驚いた。

「そうじゃ、シャーランドよ。ニ十年後か三十年後かもしれぬが全破壊は起きる。そして、この子が全破壊を防ぐ(かぎ)かもしれぬな」と答えた。

 精霊王は、杖を上に(かか)げ「我が手に現れよ。聖剣ガラティーン、そして、聖槍アスカロンよ」と(とな)えると光を放った聖剣と聖槍が現れた。

「創生神様からの贈り物じゃ。古来、勇者に渡され役目を終えた後、天へ返された聖なる剣と槍じゃ。これを渡たすように創生神様は話された」と精霊王は言い、ルーフェルトの胸に当てた。

 すると、光り輝く剣と槍はルーフェルトの中に吸い込まれ消えたていった。

「わしからも手土産じゃ、精霊界を守護する五大精霊達よ。今、ここに現れよぉ―」と精霊王が叫ぶと、光、地、火、水、風を(つかさど)る五人の大精霊が現れた。

「よいかぁ、我が精霊界を守護する役目から解き放し、新たな役目を与える。この子に宿し守護するのじゃぁ」と五大精霊に指示した。

 五大精霊は、光の玉になってルーフェルトの中に吸い込まれいった。

 それを見ていたシャーランドは、「大精霊がこの子の中に宿したのか、なら、この子は五大精霊の加護を受けることになるはずじゃ。精霊の加護受けて、この子は光、地、火、水、風の魔法種が全てが使える精霊魔法師になるかもしれない」

「これだけの精霊力を持っているのじゃ。精霊魔法の使い方を覚えれば、わしを凌駕(りょうが)する世界最強の精霊魔法師になるであろう」と思った。

 精霊王は、「あと、これも渡しておこう。ルーフェルトが握っていた石じゃ。この子にとっては大事な石なのかもしれない」と青く光る透明感のある楕円の石を渡した。

「シャーランドよ、あとは任せるぞ。この子を大切に強く育ていくのじゃ。この地上世界のために」と言って精霊王は、すぅと消え去った。


 今までの精霊王様とシャーランドの話しに圧倒され黙っていたカーラ達が、はっと我に帰って口を開いた。

「先程、精霊王様が言っていた第三の全破壊とは、なんでしょうか」とカーラはシャーランドに聞いた。

「界域の全てを破滅に追い込む全破壊じゃ」

「第一の全破壊は、天界で発生した。これは、三大天使たるミカエル様が防いだと言い伝えられているのじゃ」とシャーランドは答えた。

「それでは、第二という全破壊とはどのようなことでしょうか」とカーラは尋ねた。

「第二の全破壊は、冥界で起きたのじゃ。これは、堕天使と言われる大魔王ルシフェル様が防いだと言い伝えられているのじゃ」とシャーランドは話す。

「なら、三回目の全破壊がこの世界で起きるということでしょうか」とカーラは言った。

「そうじゃ、カーラ、第三の全破壊じゃ。天界、冥界で失敗したからな。今度は、この世界で起こすつもりなのかもな」とシャーランドは話す。

「しかし、何故、この地上世界で全破壊が発生するのでしょうか」とカーラが聞いた。

「全破壊が発生するのは、破壊神の仕業と伝えられているのじゃ。この破壊神は創生神様が起こすことの正反対のことを()す」

「破壊神は、創生神様とは表裏一体(ひょうりいったい)の神であり、創生神様がこの世界で()してきたことを破壊しようと(たくら)んでいるのであろう。今まで、創生神様が創れば破壊神が壊すというならわいじゃ」とシャーランドは言った。

「え、それじゃ、破壊神が世界を壊すのであれば神相手に太刀打ちできるはずもない」とショックを受けカーラがため息をついた。

「おそらく、大丈夫じゃろう。破壊神が直接的に世界を破壊することはできぬ。創生神様が破壊神の行動を押さえ込んでいるからな」

「だから、破壊神は直接破壊するのではなく間接的に破壊工作を(くわ)だてるのじゃろう」とシャーランドは話した。


 ライラは、「なんてことだ。間接的でも破壊工作はある。この世界で、ミカエル様やルシフェル様みたいな力を持った者はいないぞ」と声を出し、がっくりした。

「がっくりすることはないライラ。この子が鍵だと創生神様と精霊王様は、話しておったじゃろう」

「この子は、赤子ながら膨大な力を持っている。この世界の救世主となるのはずじゃ」

「良いか、できることは全てやる。カーラ、お主が持つ剣技をルーフェルトに伝授(でんじゅ)せよ」

「ライラ、お主の武術は全てルーフェルトに伝授するのじゃ」とシャーランドは話した。

 カーラとライラは、「はい。承知しました」、「おうせのままに」と答えた。

「わしの持つ精霊魔法は全てこの子に伝授する。そして、必ず使命を果たす。ここは素晴らしい大地、この子には全ての大地を守ってほしい」とシャーランドは話した。

 カーラは、「私達もルーフェルト様を支えていきとうございます」と話した。

「よいか、この子は、これからわしの可愛い孫じゃ。ルーフェルト・エルフドーラという名じゃ」とシャーランドは叫んだ。

「さぁ、帰ろう。カーラにライラ。この子と共に我が家のあるアーカイラへ」とシャーランドは言い、三人はこの場をあとにした。


 だが、シャーランドはこの時思った。

「そういえば、精霊王様は創生神様から預かった赤子だと言っていた。この子の出立(いでた)ちはどうなんだろう」と思った。

「ふっふっふっ…まさかな。そんなはずはない」と笑みを浮べながら思ったのであった。

 そして、朝日が昇り、ここから三人の影は消えたのであった。


昔から物語を考えるのが好きでした。

それで、初めて、小説を書いて投稿しました。

あまり、自信はありませんが、皆さんに読んで頂ければ嬉しいです。

次話も、直ぐ投稿したいと頑張っています。

ルーフェルトの旅立ちがメインの話しです。





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