2、神域ダンジョンチュートリアル
目の前に広がっていたのはただの広い部屋だった。何もない空間だが、道が複数に分かれているようだ。
ふいに頭に声が響く。
『我が子よ。よく来た。』
俺も幻聴が聞こえるなんてどうかしているな。
『今からチュートリアルを始める。』
・・・。さて、ここはどこなんだ。まさか掲示板にあったように神隠しにあったのではないだろうな。
『武器と職業を選択できる。リストから選択し、選ぶがよい。』
目の前にリストが浮かぶ。まさか幻聴だけでなく幻覚まで・・・。これは重症だな。ネットのやりすぎだろうか。
『職業も武器もいらないというのか。真の武士。さすが我が子だ。』
夢なら早く覚めてほしいものだ。
『では、特別にランダムで希少な職業とスキルを授けよう。始めに今から現れる小鬼の討伐をせよ。』
目の前に漫画で出てくるような鬼が現れる。
「まじかよ!幻覚と幻聴じゃないのかよ!」
俺は一人で叫んでしまう。
『何を言っておる。早くしないと殺されるぞ。』
小鬼が手に持った棍棒を構えながらこちらに向かってくる。やばい、これ現実かもしれない。俺は自分に振り下ろされようとする棍棒をどうにか避ける。
『ステータスと念じれば、目の前に浮かぶ、さぁ、確認するのだ。』
「おいおい!普通は化け物を出す前にそれを言うべきだろうが!」
『なるほど、今まで言われなかったがその通りだな。通りで最初に死んでしまう者がいるわけだ。』
「気付けよ!」
小鬼が消える。俺は一呼吸し、ステータスと念じてみる。すると目の前にステータスが浮かぶ。声の通りだった。
氏名:藤代 泰寿
年齢:24
職業:神の末裔
レベル:1
体力:120
魔力:120
攻撃:12
防御:12
敏捷:12
運:12
スキル:成長
『素晴らしい!神の末裔とは本物の我が子ではないか!』
「確認はできたが、これからどうしたらいいんだ。」
『魔物を討伐していけば、レベルが上がり、スキルに応じた特技を覚えていく。それを用いてこの世界のボスを討伐するのだ。』
「なんか日本語と英語が混ざっていて違和感があるな。まぁわかったけども。」
『それはご都合主義というものだ。だがわかりやすいだろう。』
逆にわかりにくい気がするけどな。で、どうやって化け物と戦ったらいいんだ?」
『それは武器やまほ・・・。あ・・・。』
「なんだ?」
『男なら拳だ!拳で討伐するのだ!我が子の能力ならば行けるであろう。』
「まじかよ・・・。」
『では、戦うのだ!』
先ほどの小鬼が現れる。再びこちらに襲い掛かってくるので、攻撃を避け、拳を叩きこむ。
「グギャッ!」
小鬼が吹き飛び、消えていった。消えた場所には石のような物が落ちている。
『おめでとう!レベルがあがったはずだ。ステータスを確認してみるがよい。』
職業:神の末裔
レベル:2(次回まで12)
体力:140
魔力:140
攻撃:14
防御:14
敏捷:14
運:14
スキル:成長(成長を促す特技を取得できる。)
特技:神の目C(特定のものを見通せる能力 ※レベルアップまでの経験値 スキル・特技詳細 他の者のステータス 物の詳細)
経験値増化(1.2倍)
『もう神の目を発現したのか!素晴らしいな。これならば・・・。』
「これならば?」
『いや、なんでもない。今後は自分の力で進んで行くこととなるぞ。ではさらばだ。』
「おい!ちょっと待てよ!」
それ以降、声が聞こえることはなかった。まじかよ。どうしたらいいんだよ。