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4.剛腕、鉄壁の魔法剣士。

戦闘パート、その1です。








 ――翌日。

 ボクとアルテミスは、戦いの場に赴いた。

 アレックスさんは先に到着しており、手ごろな岩に腰掛けて空を見上げている。そしてこちらの到着に気付くと、豪快に笑ってからこう言うのだった。



「待っていたぞ、クラウド! 今日は全力で頼む!!」



 歩み寄り、友好的に手を取ってくる。

 無骨なその相手の手に、思わず息を呑んでしまう。

 しかし、ここまできたら引き下がるわけにはいかなかった。元々は望んでいなかった対決とはいえ、負けていい理由にはならないのだから。



「はい、よろしくお願いします!」

「うむ!」



 ボクの返事に満足したらしい。

 アレックスさんは、大きく頷くと少しばかり距離を取った。



「では、さっそく始めようではないか!」



 そして、おもむろに腰元の剣を引き抜く。

 それはボクの持っている剣よりもいくらか大きく、しかし身体の大きな彼にとってはちょうど良い、そのように思われた。

 構える姿からは威圧感がにじみ出ており、見るからに強敵。

 剣術が専門ではないボクにとっては、それだけで十二分に脅威だった。



「準備は、いいか?」

「はい……!」



 彼の言葉に、こちらも剣を引き抜く。

 アルテミスは少し離れた位置から、ボクたちを見守っている。

 彼女は今回の対決の見届け人。短く息をつくと、大きく声を張り上げた。



「では、両者位置について――」



 澄んだ空気に、それが響き渡る。




「――始め!!」




 そうして、ボクとアレックスさんの対決は始まった。







「く、重い……!」



 だが、やはり力の上では差があった。

 技術の面では思いの外、差を感じられない。

 しかし問題は、筋力といった体力面。あちらが前衛特化であるのに対して、ボクは元より後衛の自衛手段としての剣術だ。

 そうなると、ここぞの場面での一撃に差が出る。



 ――ガツン、と剣がぶつかり合う。



 相手の攻撃の軌道を予測して、どうにかいなすが――紙一重だ。

 いつその切っ先が、ボクの身体を切り裂くか分からない。

 まさに、危機一髪の連続だった。



「ふむ、なかなかやるな……!」

「ありがとう、ございます!」



 だが、それはこちらに限った話ではない。

 アレックスさんの攻撃は、重い。だが同時に、隙が多いのだ。

 数ミリメイルの剣を躱せば、次はこちらの攻撃になる。彼にはない素早さを頼りにして、ボクは一気に肉薄し、懐に飛び込んだ。


 そして、思い切り剣を振るう。

 しかし――。



「甘いぞ、クラウド!!」

「……!」



 彼の纏う防具は、頑丈の域を超えているように思われた。

 おそらくは、自身の属性魔法によるもの。彼の魔法属性は氷――すなわち、高密度の氷を生み出すことで鉄の鎧を上回っているのだ。


 魔法で生み出したそれらは、一部例外を除いて存在し続ける。

 つまり、彼の守りは鉄ではないが――まさしく鉄壁だった。



「力の限り叩いても、微かに削るのが精いっぱい。しかも、こうしている間にも氷の鎧は修復されていく……」

「ほほう、理解が早いな」

「一応、そういったことにも精通していますから」



 後方に飛び退り、体勢を整えながら分析する。

 アレックスさんは満足げに笑い、それを受けてボクも自然と微笑んだ。



「しかし、いつまでもこのまま、というのはダメだな」

「そう、ですね」



 だが、すぐに彼はそう言う。

 ボクも頷いて、改めて剣を構え直した。



「では、ここで終わらせよう……!」



 その直後だ。

 アレックスさんは、意識を集中させてから一気に距離を詰めてくる。

 ボクは即座に回避しようと思い、足に力を込めた。だけど、すぐに気づく。



「やっぱり、こうなるよね……!」



 足が――氷によって拘束されていた。

 きっとこれが、魔法剣士としてアレックスさんの戦法なのだろう。相手の身動きを封じて、その強力な一撃を確実に叩き込む。

 ボクは奥歯を噛みしめ、衝撃に備えた。



 そして――。




「終わりだ、クラウド……!!」





 アレックスさん渾身の一撃が、大地に激しく叩き割った。

 土煙が舞い上がる。




 この一撃は間違いない。

 喰らった者を確実に、再起不能にさせるものだった。



 


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[気になる点] >数ミリメイルの剣を躱せば →剣を数ミリメイルの躱せば ではないでしょうか?
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