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1.エルフの掟、剣士との出会い。

ここから第1章。







 キングスライムとの一件から、数日が経過した。

 ボクとアルテミスは正式にパーティーを組むことになり、今日も今日とてギルドで待ち合わせをしている。ボンヤリと談話室の椅子に腰かけ、窓の外を眺めた。



「それにしても、ビックリしたな。アルテミスがまさか、女の子だったなんて」



 そうしていると、思い返したのは先日の出来事について。

 スライムとの一戦の後のことだった。







 手を差し伸べると、アルテミスは少し呆けていた。

 身に着けていたローブもはだけていて、綺麗な顔や肌が露わになっている。ボクは意図せずそれを観察してしまい、あることに気付いた。


 アルテミスの服は薄い生地らしく、スライムの体液で透けていること。

 そして――。



「なっ……!?」



 胸部に僅かながら、膨らみがあることに。

 よくよく見れば身体つきも、どこか線が細く柔らかに思えた。ボクはそこまで考えてから、とっさに目を背ける。

 すると彼女――アルテミスは、こう言った。



「あぁ、気にしなくても大丈夫です」

「気にしなくても大丈夫、って!?」



 あまりに淡々とした口ぶりに、ボクは悲鳴を上げる。

 しかしそんなこちらの様子など知らない風に、アルテミスは身を寄せてきた。そしてその小さな手をボクの手に重ねて、片膝をつくのだ。


 驚いていると、彼女はこう口にする。



「私はこれから、貴方に忠義を誓います。命を助けられた者として、エルフの掟に従いましょう」――と。



 あまりに恭しい所作。

 今度は、ボクが呆けるしかなかった。







 エルフの掟、というのが何かは分からなかったけれども。

 あの日以降アルテミスは、ボクのことを主だと呼び、付き従うように振舞っていた。悪目立ちするからやめてほしい、とは思うのだけど……。



「まぁ、そのうちやめるかな」



 急を要することでもないので、しばらくは放置で良いだろう。

 そう考えて、ボクは一つ伸びをした。

 その時だ。



「おはようございます、クラウド様」

「あ、おはよう。アルテミス」



 ちょうど、仲間の少女が現れたのは。



「呼び捨てで良いって、言ったのに……」

「いいえ。これはエルフの掟に従っているので、お気になさらず」

「そ、そうなんだ」



 苦笑いしつつ答えると、アルテミスは小さく頷いた。



「では、今日はいかがいたしましょう」



 そして、今日の予定について訊いてくる。

 ボクは気持ちを切り替えて考えた。



「そうだなぁ。普通にクエストを受けても良いと、思うんだけど……」



 魔法使い二人、というのも心許なく思える今日この頃。

 ボクはメンバー募集を提言しようとした。

 その時である。



「いいから、クラウドという青年を出せ!」

「へ……?」



 なにやら、ボクの名前を呼ぶ声が聞こえたのは。


 何事かと思って見てみると、ギルドの受付に一人の男性剣士がいた。

 そして、腕を組んでこう声を張り上げる。



「世にも珍しい雷剣の使い手と聞いたぞ、ぜひ手合わせ願いたい!」――と。





 無骨な印象を受けるその人は、血気盛んに目を輝かせた。

 その様子を見て、ボクたちは首を傾げる。



 それが、氷剣の使い手――アレックスさんとの出会いだった。



 


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