可愛い!この可愛さは世界一!!いや、宇宙一だ!!!
日が暮れ生徒が家に帰る時間だ。
「大輝、起きろ。」
机でよだれを垂らしながら爆睡している大輝の肩を揺らしている。
「う、ふぁー。うぉ!」
椅子を傾けて腕を上に伸ばし、体を大きく反らし伸びをしていると椅子が傾きすぎて後ろに倒れてしまう。
「大丈夫か?」
「大丈夫?」
後ろに倒れてた大輝を心配して二人は声をかけてくれる。
いつも思うけどホントいい奴らだ。
「大丈夫だ。」
倒れた椅子を立て直し少し汚れた服をパンパンと叩く。
「それより今日何時集合にする?」
「6時に大輝の家に集合でいいんじゃね。」
あっ完全に忘れてた。
「本当に行くのか玲奈?お前太るぞ。」
玲奈が最近気にしている、体重の話をして食欲を無くす作戦だ。
「その手には乗らないよ。」
クソ!見事に見破られた!
「そうだよ。玲奈が行かない訳ないじゃないか。」
考えてみればそうだ。高級焼肉を人の金でたらふく食えるんだ。そんなの玲奈ならどんな用事があっても全て断って行くに決まっている。
「今日は絶対高級焼肉食べに行くんだから!」
体重の話をしたからなのかカバンに荷物を入れ一人で帰ろうとしている。完全にご立腹だ。
「そんなに顔を膨らまして可愛い顔が台無しですよ玲奈さん。」
大輝が怒って膨れた玲奈の頬に指刺す。
「、、、ト。」
「え?」
「食後のデザートも奢ってくれたら許してあげる。」
「え?嫌だけど。」
真顔で即答した大輝にさらに頬を膨らす玲奈。
「もう許してあげない!」
さらに怒った玲奈は扉を強く横にスライドして帰ろうとする。
「分かったって!奢る奢る。奢るから許してくれ。」
帰ろうとする玲奈の肩を掴み玲奈の要求を承諾する。と同時に玲奈がこちらを向き
「じゃあ決定ね♪」
と嬉しそうな顔をしている
「謀ったな玲奈。」
気づいた時には遅かった。
「えへへ、ごめんね。」
首を横に少し曲げ、胸を強調するように腰を曲げ、舌を出して謝っているあざといが可愛い事に変わりはない。
「可愛いから許す!」
腕を前に出し親指を立てている。
「大輝、俺は?」
「無理に決まってんだろ、イケメンは専門外だ!」
まるで一番憎む人に会った時のような顔になっている。
「そんな怖い顔すんなって。」
「してねぇよ。そんな事より二人とも帰るぞ銀行に行って残り少ない貯金を下さなくちゃならないからな。下ろせなかったらこの話は無しだ。早いなおい。」
大輝が忠告すると目にも止まらぬ速さで荷物をカバンに詰めていた。
「早く!早く!行くよ大輝。」
「走れ大輝、銀行まで!」
「走れメロスみたいに言わないで!」
銀行に行った帰り際
「やっき肉〜♪やっき肉〜♪高級なやっき肉〜♪食後の後にはデッザート♪美味しい美味しいデッザート♪」
玲奈は余程高級焼肉に行くのが嬉しいのか銀行に行った帰り道、突然「降りて来た!」とか言い出してこの歌を歌い始めた。
「急に歌い出すからビックリしたわ。」
でも可愛い!特に「食後の後には」で一回溜めて、くるりと華麗に回り「デッ⤵︎ザ⤴︎ート⤴︎」って上げる所がめっちゃ可愛い!絶対この子アイドルになれるわってかアイドルの枠じゃ収まらねぇー!天使だ!いや、女神だ!女神がいる。という思いを密かに隠している大輝。
「じゃあ6時にここに集合ね、二人とも。大輝、言っとくけど居留守は無しだよ。」
いつの間にか大輝の家の前に着いていた。
「はいはい、分かってますよ。」
「じゃあね、大輝。」
「じゃあな、大輝。」
「じゃあな、玲奈、真也」
二人に別れの挨拶を済ませ家の鍵を回す。
玄関に靴を脱ぎ捨て、二階への階段をゆっくりと上がり突き当たりにある自分の部屋の中に入る。
「今日は食べに行くし休まなくちゃなんないよな。」
壁に立てかけてある刀を見ながら呟く。