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剣道は異世界で通用しないそうです(仮)  作者: 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
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プロローグ(2)

前回の続きです

しばらく歩くと、川のせせらぎが聞こえてきた。


「良かった…川だ…!!」


思わず走ってしまった、がそれも致し方ないだろう。川はそれほど大事なのだ。


川底が見えるほど澄んでいるが、中央部はまあまあ深い。


岸には大きな岩がちらほらと見える。


とりあえず、川を見つけるという目標が達成できて一人安堵した。


川を見つけると良いことが三つある。


一つ目、もし人がいるならば下流の方もしくは流れに沿って歩くうちに会えるだろうから


二つ目、もし魚が食べられる種類ならば、食べられる。水は煮沸すればおそらく飲める。要はライフラインだ。


三つ目、船を作れば歩くより早く移動できる。しかし、今は見る限り上流部なので危険だろう。


もうすぐ夕暮れ時だ。しばらく歩くうちに、大分日が傾いていたらしい。


夜の気温がわからない以上、火を起こさねばならない。


「困った…。火を起こす方法知らないぞ…。」


早くも壁にぶち当たってしまった。


その時、ふいに、がさり、という音が後ろから聞こえた。


反射的に振り返った。


そこには、ゲームなどでお馴染みのゴブリンが居た。


「ギャギャアアア!!」


どんな事を思い、奴はその声を発したのだろう。奴の口は弧を描き、目尻は下がっている。笑っているのか。僕を。


そこには、明確に僕に対する敵意と、嗜虐心があったのだろう。


しかし、突然の非日常に当てられた僕は竹刀袋に入っている木刀を抜く事が出来なかった。


怖い。


物語の高校生はよく、初見であんなに冷静に対処出来るなぁ、と的外れな事を考え、現実逃避もしてしまった。


そして、ゴブリンが粗末な木の棒を片手に、襲ってくる。反射的に竹刀袋でガードした。


そこでようやく、僕の脳は、意識は、生き残る為に動き出した。


鍔迫り合いの要領で組み、ゴブリンの首に竹刀袋を当て、強引に頭を揺らしながら引いた。


ようやく竹刀袋から木刀を取り出した。


正眼に構える。


ゴブリンは…再び襲って来た。


しかし、その時僕は思った。


思ってしまった。


剣道では…有効打で無い攻撃は防具で受ける事が出来たが…今僕は制服だ、受ける事が出来ない。


一度そう考えてしまうと、及び腰になってしまった。


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