第十一章その1 怪奇、誰もいないはずの屋根裏から謎の物音が!!
時折、天井から聞こえる聞こえる謎の物音。
その正体は何なのか確かめるため、俺は久しぶりに屋根裏への階段を下ろした。
階段周りについては少し前に掃除したおかげで埃はほとんど落ちないが、屋根裏部屋の中はずっと放置したままだ。俺はマスクに軍手、野球帽そして懐中電灯のいつもの完全武装で乗り込んだ。
階段を上ったところで暗闇にライトを向ける。
トットット。
まただ、何かが走った音がする。
ネズミか? 猫か? ヘビは……ちょっと違うな。
音のした方へライトを向けるも、全然姿がとらえられない。この広い屋根裏部屋だ、隠れる場所はいくらでもある。
「おーい、出ておいでー」
こんなこと言ってのこのこ出てくる動物がいるとは思わないが、まあとりあえず。
しかし最初に音が聞こえてから20分ほど経っても、次の音は何も聞こえてこなかった。
「音が消えた?」
どこかでじっと息を潜めているのか、もしかしたら外に出たのだろうか。こんな古い家だから、小動物が出入りできる隙間もそこら中にあるだろう。
前に天花ちゃんがホームセンターで買わせた薬剤の中に殺鼠剤があったけど、そもそも相手が何者かわからないから下手にばらまいてもダメだ。
一旦階段を降りる。廊下には心配そうな目で天花ちゃんが待っており、俺が帰還するなりタブレットの文面を見せた。
(全然音がしなくなった)
「そっちもかぁ」
俺は埃の付いた軍手と野球帽を脱いだ。結局この日、それ以上の音は何も聞こえなかった。
翌朝、俺は太陽が昇る前に目覚めてしまった。昨日早めに就寝したおかげだろう。
いつもより爽やかに思える空気を肌で感じながら、洗面所で歯を磨く。
冷たい水と歯磨き粉で頭がキーンと冴えわたる快感に浸っている、まさにその時だった。
トットット。
昨夜の音だ。昨日ピタリと止んでしまった音が、今さらになってまた聞こえている。
「なんかバカにされてる気分だ」
せっかくの清々しい目覚めを阻害されたようで、俺はぎろりと天井を睨みつけた。




