わたしの永遠の故郷をさがして 『まったく番外編』 第1話
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『これは、『この物語』に関連して、作者が時にみる『夢』を、おおかたそのまま記録したものである。
したがって、自作のフィクションに関して見る『夢』であり、現実とは直接関係があるものではないが、
ストーリーの変化には、さらに、責任が持てていないのである。・・・・・』
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いつのまにか、ぼくは幕末の江戸時代に時間移動してしまったらしい。
なぜ幕末かと言えば、人びとの服装が、みな質素な、あるいは豪華な和服であり、武士は刀を差しているからだ。
しかも、ちょんまげ頭である。
さらに、ぼくも帯刀しているから、ここでは、武士扱いらしい。
ところが、意外にも、洋風なデザインの建物が、すでに、ある。
横浜か、長崎か、そこらあたりかもしれないが、はっきりはしない。
いずれにしても、もう、近代が近いに違いがないだろう。
ぼくは、何だか痛い腰回りをなでながら、なにかの怪しい集会に参加していたのである。
「あす、決行する。覚悟を決めていただこう。命の保証はない。ああ、こちらは、150年ほど先の時代から来ていただいた、やましん殿である。『城内』にあるという、『コンピートル』とかという『からくり』の操作がお出来になる。『総番頭頭』が、異国から秘かに持ち込んだご禁制品だ。しかしながら、これを使って、わが『隊の』結束を乱し、さらには、抹消を図ろうとしているらしいのだ。こいつを止めるのに、この方は、必要な方なのである。」
『くそ・・・前任者が組んだパソコンの統計プログラムが分からなくて辞職したやましんに(実際に、それが、現実の退職理由の原因のひとつとなったのである。)どお、どうせよと言うのかあ?!』
と、夢の中のやましんは思った。
しかし、そのようなこととは、何の関係もなく、この話は進んでゆく。
「かなりの手勢が、向こうにはおるぞ。生きて出られるとは思えぬな。」
「そ、そのとおりであるぞ。我らは、しょせんは反逆隊。実際、玉砕するのではないか。」
「もちろん、全員は行かない。拙者と、貴公、それと、貴公、と、・・・・貴公は残れ。失敗したら、再び同志を集めよ。あと、やましん殿でござる。」
「そか。」
「では、今夜は、ゆっくり休まれよ。刻限が来たら、また、ここに!」
そうして、なぜかぼくは、そのまま『自宅』に、帰ったのである。
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自宅とは、つまり、『マツムラ家』の巨大邸宅である。
そこに、現実の、せま~い自室が被さっているが、部屋さん自身が、必死に大きくなろうとして無駄な努力をしている。
やましんは、どうやら、弘志クンの立場にあるようだ。
明子姉が、母親のように世話して来る。
「実は、ぼく、時間移動してしまっていてね、あすも呼ばれるんだ(なぜ?)。今回は、ほんとに殺されるかもしれない。」
「あら、そう。じゃあ、大変ねぇ、準備しなくっちゃ。あなた、その傷は?」
普段、ズボンのベルトがあるあたりが、ずっと痛いと思っていた。
和服だったから、見ればすぐに、わかったはずだが、そこは『夢』の中である。
最近お腹のステントを交換して、実際、まだ少し痛かった。
お腹には、大きな縦に入った傷があった。
どこかで、切られたのか?
「ばんそうこう、もってきとくわ。お酒がいるわね。待って、準備する。」(ばんそうこうで直るはずがない!)
ぼくは、布団にひっくり返った。(この時点では、まだベッドではない。)
なんだか、話し声や雑音が聞こえる。(やましんの受信機が、実際に作動していたのである。あ、やましんは、アマチュア無線の資格がある。)
しばらくすると、『ずっど~ん!』 という大きな音がして、ぼくは、布団から飛び上がった。
まだ、お『布団』である。
すると、天井から下がっている巨大な黒い管から、テーブルの上にある、異常に大きな魔法瓶らしき物体に、氷の玉が撃ち込まれていた。
「ああ、そうだっけ。」
なにが、そうだっけ、かわからないが、大きな氷の塊が二発、巨大な瓶に入った後、こんどは、ウイスキーの様な、やや、ねばねばの液体が、どばどばと、天井から大きな魔法瓶に注がれて行く。
「明子姉がやってるのか。」
そう思う。
しかし、魔法瓶のバランスが、突然崩れた!
テーブルの向こうから、こちらに向かって滑り落ちてくるではないか。
ぼくは、それを必死になってキャッチした。
すごく重いはず・・・・だが、全然重さを感じないのは、さすが『夢』である。
やがて、明子姉が、あかちゃんを連れて戻ってきたのである。(こうした登場人物の予定は、今のところないのだが・・・考えてもいいかな、でも、ならば、明子さんに結婚してもらはねば。いやあ・・・そうじゃなくても・・・)
これがまた、かわいいのなんの。
よくみれば、パンダちゃんのようだ。(実際にパンダちゃんだった・・・)
「あの世界の建物だけど、姉さん、見覚えとかないかなあ?」
「ああ、そう思って持ってきたわ。ほら、この大きな色付きのパンフ。(当時そのようなものがあったのか?)」
みれば、確かにさっき夢の中で(いまも夢の中だが)見たあの洋館とそっくりである。
「おおお、これはあ!」
「そうよ。これは、うちのお屋敷の、幕末頃の姿よ。で、この向こうが、あなたが集会してたという、長屋ね。うちの寮だった。」
「なるほどお。で、あ、これは?」
もう一枚は、10人位の人が、並んで写っている集合写真である。名前がそれぞれ書いてある。
「あ、この連中だよ。集まってたの。この、写し下さい。」
「でしょうね。うちの、おお昔の家臣兼従業員だから。事実上、この国初の、ストライキを起こしたらしいよ。で、大おじいさまから、全員処分されたのよ。ずっぱりとね。(明子姉は、手で首のあたりを切った。)あ、で、これね。その人たちに届ける、お土産と資料の袋です。これも入れといたけど・・・いい?」
「そりゃあ、いいですけどお、会議とかじゃなさそうなんですが・・・」
「じゃあね。がんばってね。」
何を頑張るんだか、さっぱりわからないが、やはり、もう生きては戻れないかもしれないのだ! (行かなきゃいいんだろう?)と、ぼくは、悲壮感満載で思ったのである。
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少し休んでいると、いつのまにか、ぼくは、マツムラの屋敷の、広~い屋上で寝ていたのである。
布団ではなくて、ベッドになっている。
後ろのほうには、部屋がありそうだが、それ以外は、囲いもない中空である。
もちろん、上方は、夜の空である。
『夢』の中の夜空というものは、もちろん暗いのだが、いささか、どす青い。
そこに、たいてい、何かが現れるのだ!
巨大な飛行船がたくさん出て来たりもするし、映画のようなモノが映ったり、巨大な星雲などがはっきりと見えたりもする。また時には、見たたこともないような、ものすごい爆撃機や(弘子さんが持ってるようなやつだ。)宇宙軍艦が多数現われて、急に襲来してくるのである。
しかし、今回は、そういうのは、どうやら来ない。
しかし、なんだか『人』のようなものが飛んでいるぞ。
フライング・ヒューなんとか、のようなものか?
「おおい、きみい! おおい、聞こえるかあ?」
なんだか、大声で叫んでいる。
まあ、しかし、関わり合うのも面倒だから、ほっておく。
が、また大声が掛かった。
「おおおおい! 聞こえてないのお? きみい~~~。きみだよ、きみ!」
こっちを見て、手を振っているのだ。
しかたがない、手くらいなら、振ってやろう。
すると、案の定、目の前に降下してきたのである。
知らない少年だが、どうやら、シモンズくんの、ようでもある。
彼は、なにやら、小さな『飛行マシーン』に座っていたのだ。
「すごいねえ~~。これ、電気で飛ぶの?」
ぼくが、おべっかのように言った。
「まあね。あ、そうそう、こんばんは。ぼく、未来から来ましたあ。やましんさん! あなたに、お願いがあるのです!」
「ひぇ~~~~、もう、夢、おしまい~!」
以下、省略
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********** ふろく **********
「はあ~~~、やましんさん、さぱり、わけわかんないですよお。なに、これ?」
幸子さんが呆れたように言いました。
「だから、夢ですから。でも、夢の中でも、必死にお話を考えているという証拠なんですよ。」
「ふ~~~~~ん。証拠ねぇ。」
「はい、日々これ努力なり、なんですよお。」
「はあ~~~~~~、やましんさんのお話って、だから、筋道がくちゃくちゃなんだあ。なるほどお。」
「あああ、もう、この企画、やめます。はい。今回のみ!」
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