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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第一章
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側近お披露目会

 五人から、返事が届いた。了承の返事ばかりだった。もちろん、返事が届いた当日に、五人は城へやって来た。正確には、そういう知らせを受けた。わたしがソファでゆっくり城の本を読んでいると、サティが「側近たちがやって参りましたよ、レムーテリン様」と言ってきた。


「通して差し上げて。側近お披露目会を開きます。煌紳、泰雫。側近たちがやって来たようです。わたくしの左右について」

「はっ!」


 力強い返事が後ろから聞こえたと思ったら、もう真横に体温の熱気を感じた。


凄いね、側近って。


 そのとき、ガチャリと扉が開いた音がして、サティの穏やかな「こちらです」という声が聞こえた。わたしは優美に見えるように左の部屋の広い空間に立った。


 最初に姿が見えたのは、赤紫の長い髪をしたレーランティーナだった。レーランティーナは、すぐにわたしに跪く。


「お初にお目にかかります、レーランティーナ、複名を(じゅ)(らん)と申します。よろしくお願い致します。とても光栄ですわ、レムーテリン様」

「これからよろしく頼みますね、レーランティーナ」

「畏まりました」


 レーランティーナの見上げる瞳は、濃い金色をしている。強気で知的なクール姉御、という雰囲気だ。


「お初にお目にかかります、エキャーニス、複名を(しょう)(しょう)と申します。よろしくお願い致します。レムーテリン様の側近に選ばれるなど、心浮きたつことはありません」

「あら、褒め上手ね。これから頼みます」

「はっ」


 エキャーニスの笑顔は明るい。ヴィートレートが与えた複名も分かる。


「レムーテリン様、わたくしはリッフェルヴィです。複名を、(しん)()と申します。沙庭とは幼馴染の者です。これからよろしくお願い致します」

「貴女がリッフェルヴィ?サティが貴女の名前を聞いた途端、笑みを浮かべましたた。これからよろしくね」

「はい」


 ヴィートレートは、名づけの才能があるらしい。全て印象とピッタリだ。


「初めまして、レムーテリン様。私はユーザンド、複名を(かん)(しゅん)と言います。これからよろしくお願い致します」

「これから、美味しい料理を期待していますね。この会の途中に何回か誰かのお腹が鳴るので、笑わないで下さいませ」

「はい、畏まりました」


 笑いながら頷くユーザンドは、うん、爽やかイケメン。予想通りだった。複名も、合っている。爽やかな人が、春を貫くね。グッド!


 それにわたしたちは本当にそろそろ栄養失調で死んでしまうのでありがたい。もう王様、食料は自分で探せ!とか言わないでよー。王様みたいに狩り好きじゃないの、わたくしは!


「わたくしはヴァラーペリアン、複名は、(よう)(まん)です!これから、お願いします!ニハッ!」

「陽満!もう少し態度を整えて下さいませ!」

「申し訳ありません、レーランティーナ様!これから気を付けます!」


 うん、分かるよ。陽満、ね。満ち足りすぎてる気がするけど。それでもって、珠蘭さん、怖いよ。


「これで全員終わりましたね。私は上級貴族の煌紳、複名をゼーフィートと申します。これから頼みます」

「私も上級貴族の泰雫です。複名はザルツァリンヴァと申します。これから、よろしく」

「わたくしは中級貴族のサティラリン、複名を沙庭と申します」


 思ってみれば、この三人の複名もしっかり合っている。心梨も、なんとなく雰囲気はそんな感じかもしれない。ヴィートレートに洗脳されたかもしれない。


「わたくしはクィツィレア様の従姉妹の身分となった、他世界からの者です。名を、羽葉澤水樹、又はレムーテリンと申します。これから頼みますね」

「はっ!」


 全員の声がしっかり揃う。いつの間にか、全員がわたしの足元に跪いていた。


「あっ!サティ、大広間の部屋は空いているかしら!もう部屋がない気がします!」

「そうですね、あと三つほどしかなかったような……見てきて参りますね」


 サティは速足で紫色のドアを開けた。その間にわたしはこの部屋の設備を教える。


「レムーテリン様!部屋が整っていました。きっと、皆様の好みのお部屋になっています。リッフェルヴィの部屋がそうでしたから」

「レムーテリン様、行っても構いませんか?」

「えぇ、どうぞ。自分の部屋を堪能して下さいね。それと、煌紳。相談があります」


 わたしは、立ち上がった煌紳を見上げ、そう呟いた。



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