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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第一章
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お仕事

また随分と間が開いちゃいました。すみませんっ

 そのあとわたしは、ガチョウに似ている動物について聞く。いや、ガチョウの羽根のような物を持っている動物について、だ。


「そうですわね。デュケントの羽根は、似ているかもしれませんわ」

「デュケントは、夢楽爽に沢山おりますわ、すぐに入手可能です」

「それならば今、十本ほど持って来ることはできて?」

「狩って来ましょう。今日の夕食をデュケントのバターソテーにすればいかがです?」


 まぁそれは良い案だわなんて言って二人は盛り上がっているが、わたしはちょっぴりついて行けない。


え?デュケントって食べられるの?それなら、めちゃ良くない?羽根ペンと共にデュケントのご馳走。わぁお、グッジョーブ。てか、デュケントって見た目が怖いな。ヤバめかな。不思議食材?さすがは露河ってなる?


「それでは行って参ります」

「ぅえぇっ⁉あっ、あっ、煌紳と泰雫⁉」

「デュケントを狩って参るのですが……?」

「買えるのですか?羽根も?」

「狩るのです」

「あぁ、なるほど。ではいってらっしゃい」


 わたしは喜んで二人を送り出した。







 お昼前に、三人は帰って来た。わたしがゆったり読書をしている間に、「ただいま戻りました」という声がリビングに響く。


「おかえりなさい、煌紳、泰雫。どうでしたか、良い収穫はあり……っ⁉」


 わたしがそっと振り向くと、そこには血抜きされた目玉がギョロッと突き出ている布で包まれた薄ピンク色の生肉があった。


「あっ、あっ……」

「レムーテリン様!二人とも、主に見せるべきものではないことは分かっているはずです。すぐに厨房へ運んでください!」

「はい、分かりました。泰雫、こちらを持って下さい」

「はい」


 本でよくああいう物を見たことがあるので、嘔吐はしなかったが、結構まずい状態になってしまった。その中で、「側近同士仲良くして!」と思っている自分もいる。大変な状況になると、人間どうでも良いことを考えてしまうのだ。


「ふぅ、驚きましたわ」

「もう、二人には注意しておきますね」


 サティが困ったように笑い、レーランティーナは眉間に人差し指を置いて顔に影を作るようにしながら目を伏せ、ハァッと深いため息を着いた。


 わたしはまた視線を本にうつし、ふと、ある疑問を思い浮かべた。


「ねぇ、わたくし、何かお仕事はないの?」







「仕事?そうだな、王の仕事を手伝うか?」


ぬぁに無茶言いやがるのよ、この王ちゃまは!


 ここは王様の部屋。わたしは、お仕事について聞きに来たのである。何かしなければならないのにしていないなんてなったら大変だ。首が飛ぶ。


 だが、今の王の言い草だとなさそうだ。と言いたいところだが。


「これは、王の命令ですか?」

「そうだな、命令だ」

「移民のわたくしにそんな重大なことを任せて良いのですか?」

「あぁ、良かろう」


 なんなのこの王様は、と思いながら、わたしは「では誠心誠意務めさせていただきますわ」と返した。


「仕事の開始は、一週間後だ。分かったな?」

「はい、畏まりました」







「というわけで、わたくし、半ば強制的に王のお仕事、任されてしまいましたわ」

「任されてしまったのではなく、任せていただいたのです、レムーテリン様」


 側近の苦笑交じりの諫めに応じて、わたしは紅茶をそっと飲む。そして、陽満から受け取った手紙に目を向け、その場で書いてくれた二人の返事を、もう一度カサリと触る。


「面会は明日よね。わたくし準備をするわ。メモ帳も持たなくちゃいけないし」

「そうですね、レムーテリン様はもうお部屋に戻りましょうか」


 二人と共にわたしは、自分の部屋に戻った。



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