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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第一章
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ご贔屓にご注意ください

「おはようございます、レムーテリン様。お目覚めの時間ですよ」

「んっ……あぁ、レーランティーナ、おはよう。今日はクィツィレア様と凛赤様、王と王女に羽根ペンを見せなければなりませんわ、早くしなくては」


 わたしは、夢楽爽の朝を迎えた。柔らかい笑みを浮かべたレーランティーナに布団を剥がされ、するりと椅子に座る。サティもやって来て、着付けに入る。


「レムーテリン様、今見せると仰いましたけれど、それには準備が必要なのでは?事前準備は大切ですよ。なさるとしても一週間後では?心梨様と凛赤様と面会をして準備をするのは良いと思いますけれど」

「それならばクィツィレア様に面会依頼を書きますわ。凛赤様も呼んで下さいませ、と書けば良いでしょう?」

「一応、凛赤様にも面会依頼を書いた方が良いかと。わたくしには何の話か存じませんけれど。これは基本ですが、二人のご都合が合う時ではないと、大変なことになりますわ」


 まぁ、そうだわ、と相槌を打って、わたしは部屋を出た。二人の仕事はいつも早いが、昨日仲直りしてから、もっと早くなった。


やっぱり凄いよね、仲が良くなるって。わたし、成功したね!


「おはようございますわ、皆」

「おはようございます、レムーテリン様。今日の朝食はユッチェントブレッドだそうですよ?」

「あら、そうなの、笑照。嬉しいわ」


 朝から楽しそうに笑う側近に癒されながら、わたしはソファに座る。すぐに出来るそうなので、読書はせずにただお嬢様然として、優雅に待つのだ。


「おはようございます、レムーテリン様。こちら、今日の朝食でございます」

「おはようございます、真華、貫春。貴女方の働きには満足しているわ。これからもよろしくね?」

「はい、有難う存じます、レムーテリン様!」

「これからも励みます!」


 わたしの一言で一気に興奮した二人は、すぐに厨房に戻っていった。夢楽爽のお金で賄われているわたしが食べる食材で、新しいメニューを考えるのだそうだ。


……ん?新しいメニュー?新しい料理?


「これだっ!」

「まぁっ、レムーテリン様!優美なお言葉をお使い下さいませ!」

「あっ、こ、これですわ!」

「今更遅いですわ……」


 レーランティーナに、額に手を当てハァとため息をつかれてしまった。


マジで、御免なさい。


「それではいただきましょう。いただきます」


 わたしは、ユッチェントブレッドをちぎって口に放り込み、これからのことを考える。

思いついちゃったんだよねぇ。次に帰った時に、新しい料理を持ち帰ってこよう。夢楽爽の特産品になる。でも、それより前に、日本のものが受け入れられるか、羽根ペンで試さなきゃ。ん?羽根ペンって外国出身?まぁいいや。


 一口食べた後、ブレッドを真ん中で割ると、外がサクッといって、中がふんわりもちもちと離れていって、よくニュースで見る葡萄パンの紹介のようになった。


「美味しいわ……」

「本当にレムーテリン様はユッチェントブレッドがお好きですね!ニハッ!」


 レーランティーナもさすがに陽満の「ニハッ!」には慣れてきたようで、もう注意もしない。


「そうね、この世界の食べ物では一番美味しいと思うわ。わたくしの舌に合っているのかしら。わたくし、日本では一番葡萄が好きだったから、きっとそのせいね」

「ニホン……?ブドウ……?」


 聞きなれない言葉に理解不能という顔をしながら、陽満は炒め物にフォークを突き刺す。


思ったよりここ、身分によって決まる色々がカチカチしてないんだよね。ほら、良く言うじゃん。側近は、主が食べ終わって下げ渡して、初めて食事を食べられるとか。ないんだよね、それが。それが良いんだけど。


 わたしはすぐに朝食を食べ終えて、レーランティーナとサティと共に、ライトサイドルームに向かう。面会依頼の手紙を書くのだ。


「二人とも、こんな感じで良いかしら?」

「……えぇ、構いませんわ」

「わたくし、出して参ります!ニハッ!」


 突然、陽満がやって来て、決め台詞を出した。


「まぁ陽満、やる気があるのは良いけれど、どうしたの?」

「あ、いや、その……二人は、女の側近としていつもレムーテリン様に呼ばれているけれど、わたくしは呼ばれないから、存在をアピールして、解任されないようにしなきゃ、と思って……」


 さすがは陽満、すぐに本音を言ってくれた。


そっか、依怙贔屓、か。これにも気を付けなきゃ。


「申し訳ないわ、陽満。贔屓には、これ以後気を付けます。手紙届けは任せるけれど、わたくし、皆をそんなに簡単に解任致しませんわよ?」


 わたしは最後の方、側近全員に聞こえるように、声を大きめに言った。


「解任、解任、と言う者が多いですけれど、わたくし、そんなにすぐに周りの人をコロコロ変えたくありませんもの。安心なさって?」


 何故か皆の顔から緊張が消える。そんなに心配しなくても良いのに、とわたしは陽満に二通の手紙を渡す。


「お願いね、陽満」

「はいっ!」


かなり間が空いちゃいました。すみません。

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