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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第一章
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お召し替え中の会話

おっ!ブクマ増えてます、五件です!有難うございますー。

 わたしの部屋は、電気が付いていた。皆、起きているようだ。なのに、物音が全くしない。笑照や陽満が騒いでいそうなのだが、一切音がしないのである。


「静かね」


 わたしが振り向いて二人に言うと、何故か二人は苦い顔をした。


「泰雫、開けて下さる?」

「はっ」


 少し暗い声を出して、泰雫がドアを開けてくれる。わたしは、そっと玄関に入っていった。


「ただいま戻りました、皆」

「レムーテリン様⁉お、おかえりなさいませ!」


 心底ホッとしたような声と顔をした笑照が、タタタタッとやって来て、跪いた。


「ねぇ、笑照、煌紳、泰雫。一体何があったの?詳しく教えてくれる?」

「それは……」


 三人は顔を曇らせて、リビングの方を見た。


「実際にご覧になれば、理解できるかと」


 煌紳のきまずさを押し潰したような声により、わたしは恐る恐るリビングに入ることになった。


「ただいま帰りましたわ」

「まあぁレムーテリン様おかえりなさいませただいまレムーテリン様のお部屋の準備をして参りますね失礼致します」

「……⁉」


 わたしが入ると、目が笑っていない珠蘭がバッと出て来てバッと立ち去った。台風のように、棒読みで。


「あら、サティは?」

「あぁ……沙庭ならば、自分の部屋にいます」

「サティが……?」


 彼女の周りが氷になっている珠蘭と、部屋にいるサティ、皆の悔しそうな、居心地の悪そうな表情……。


「もしかして……っ、サティ!」

「水樹様、お控え下さい!珠蘭が部屋を整えるまでお待ち下さい。お洋服も身なりも着替えて整えて、それからサティにお会いになれば良いのですから」


 泰雫が大広間に行こうとするわたしを必死に引き留める。


「でも泰雫、わたくし……」

「レムーテリン様お部屋の準備が整いましたこちらにおいで下さいませ」


あ、来た、うちの棒読み(レーラン)文製産機(ティーナ)。大丈夫……かな?


「分かりました、珠蘭。それではわたくし、主として貴女に命じます。棒読みをやめて、わたくしに全てを詳らかにしてくれる?」

「……っ、失礼致しました、レムーテリン様。つい、気が立ってしまいましたわ。では、お召し替えを致しましょう。殿方ではなく、陽満、おいでなさい」

「はいっ……」


 いつものようにニパッと笑うことなく、陽満は途中まで陽気さを残した。やはり、サティは呼ばないようだ。


「レムーテリン様、わたくしを解雇なさいますか?」

「珠蘭」

「一つだけ、お願いしてもよろしいでしょうか」


 わたしが着替えをしながら頷くと、珠蘭は手際良く仕事をしていく。そして、ポツリと言葉を零した。


「一度わたくしを、レーランティーナと呼んで下さいませんか?」

「どうしたのかしら、レーランティーナ?」


 わたしが希望通りにそっと名前を呼ぶと、レーランティーナは嬉しく寂しい、両方を浮かべた笑みをして、わたしを一瞬見た。


「今までわたくし、レムーテリン様にレーランティーナと呼ばれたことがなかったのですよ?気付いていらっしゃいましたか?」

「あっ……そうね。御免なさい」

「いえ、謝られることではありません。ふふっ、心が温まりました。お話し合いのときは遠慮はなさらないで下さいませ、レムーテリン様」


 レーランティーナは、優雅に微笑みながら着付けを終えた。彼女自身、自分が解雇されるのだと思っているのだろう。


「レーランティーナ、大広間にいて下さい」

「畏まりました」


 レーランティーナは優美にお辞儀をした後、ゆっくりとドアを開けて、外に行った。残っているのは、わたしと陽満だけである。


「レ、レムーテリン様、わたくし……」

「陽満、こちらへおいでなさい」

「ぅえっ⁉あっ、はい」


 陽満は動揺しながら、ベッドに座るわたしの隣に立った。


「あら、ベッドの上に座ってくれて結構ですのよ?」

「そっ、そうですか?それなら、失礼致します」


 基本、主の寝具の上に腰を下ろすのは、失礼の極みと言っても過言ではない事である。だが、今回は主のわたしが許す。


これで誰も文句は言えまい!うっふーん。


「さぁっ、行きますよ!陽満!覚悟なさい!」

「なぁっ!レ、レムーテリン様ぁっ⁉」


 頬の下で、陽満のくぐもった声が聞こえる。


「ヴァラーペリアン、わたくし、貴女の温もりと明るさで心を温かくしたいのです。いつものようにニハッ!といっちゃってください。わたくしが許しますから」

「ちょっ、まっ、はぁ……ぅえ?あ、あのぉ、レムーテリン様ぁ……?」


 わたしが陽満に飛びかかって抱き着いている状況を他人が見れば、一瞬でドアを閉めるだろう。


でもでも、温もり、カモンなんだもん!もう皆怖いよー!陽満、ニハッ!といってよ!ニハッ!と!


「陽満!」

「はっ、はいっ!ニハァァァァーッ!」



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