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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第三章
102/102

グループ分け

お久しぶりです。諸事情により、投稿が遅くなってしまいました。

早めに終わらせなければ……!

 分からない。訳が分からない。七愚の魔物って、颯の持つ《七愚の呪い》から復活する、イーリンワーナやデヴァウムのような魔人もしくは魔物だよね。


 正直、イーリンワーナに力を奪われたわたしは当てにならない。魔法に全力を注ぐしかないのだ。接近戦や剣などは颯たちに任せるしか。


 でも今回は、勇者がいる。勇者はわたしたちよりずっと強い。なら勝てるかもしれない。でも、また痛いの?また怖いの?もう嫌だよ。


 七つの大罪を元に考えると、イーリンワーナは暴食、デヴァウムは憤怒だ。暴食のイメージカラーは赤、イーリンワーナの髪色はピンク。七つの大罪の中のイメージカラーだったら、赤が一番近い。憤怒のイメージカラーは黒。あの漆黒の逆立った髪は忘れられない。


 確か、暴食はレッドケルベロス、憤怒はブラックオーガだったけど、本当の姿を出さずに魔人段階で止めていたのだと思う。あの2体は、確実にわたしたちを舐めていた。正直、イーリンワーナの顔が3つ付いた犬など見たくもない。


 残るは5つだが、その魔物か分からない故、対策も何も出来ない。


 今はそれぞれがそれぞれ、仲間を呼んでいる。勇者様方が全員集まれば初めてのご対面になる方もいるが、そんなもの今は関わってられない。


 わたしは、夢楽爽の側仕えと聖清二人、それに女王と連絡を取り、今は既に集まっている皆と一緒にいる。


 颯はイズフェとアスート、ルームメイトと自分の聖清を呼びに行っている。レーイレアは、「麗しい君を戦いで傷つけたくない」という甘ったるい言葉で部屋に残させたらしい。


「思ったより皆すぐに動けているな。勇者陣でまだ来ていないのは……カレナとアンカーか」


 セーリーラは、残るメンバーの名前を鬱陶しそうに呟き、学園の庭に出る。雨模様の空を見上げ、「厄介な戦闘になりそうだ」と言った。


「セーリーラ、セーリーラたち勇者がいればすぐに勝てる?それともやっぱり苦戦する?」


 これが、今回一番気になっていたことだ。わたしは、少し震えた声を隠せずに、セーリーラに尋ねる。すると、彼女は、ふわりと柔らかく笑った。


「七愚の魔物には必ず勝てる。己たち勇者に英雄2組だ。その他にも強力な仲間がいるのだぞ?確実に勝てる」


なんて頼もしいの……っ!


 わたしはすぐに頷いた。すると、すぐにこちらに着いたような側近と女王たちの姿を目の端でとらえた。アイコンタクトで懐かしさを感じ合う。


 側近との瞳の触れ合いを終えたわたしは、少し落ち着いたような颯のところに行く。


「颯」

「なんだ?」

「復活したときの体の異変は?大丈夫?」


 颯は爽やかに笑って、「何の問題もねぇよ」と言ってのけた。


「何体くらい復活したか分かる?」

「……一気に5体だ。あの二人の水樹への恨みつらみ妬みが強すぎて、この5体より個人的に早く復活したんだろう。そして、残る5体の復活の引き金を握っていた自分が死ぬ間際、5体が復活できなくなることを怖がってオレに呪いを授けた。……そういうことだ」

「酷い理論だよ。……でも、わたしも魔物側だったら、そうしただろうな」


 どこか物悲しい言葉など、吐いている場合ではない。わたしはすぐに、勇者様御一行のところに戻って、一気に5体復活したと伝える。


「それならぁ、1体につき1人ぃ、ララたちがつくよぉ。ねぇ?」

「そうだね。あと一つ、いいかい?」


 ヴェクがしっかりと頷いて、わたしに相談をしてきた。


「ミズキちゃんにその場で割り振りを決めてほしいな。ミズキちゃんとハヤトくんは、2体と相手をしたことがあるだろうし、ミズキちゃんは何かに勘付いているようだしね。お願いしても構わないかな?」

「えぇ、大丈夫です」


 わたしはすぐさま了承しながら、割り振りを考える。


 ララノラは怠惰なわたしを慰めてくれたので、怠惰。泰雫も、名前が一緒でそれなりの恨みもあるだろうし、怠惰。その他にも笑照に颯の聖清を一人。ララノラはすごく強いらしいし、聖清を2人も付けるのだから、念に念を押したグループだ。


 セーリーラは傲慢を嫌う正義の乙女だから、傲慢。珠蘭――レーランティーナもセーリーラを慕いそうだから傲慢。わたしの側近は沢山いるのだ!アスートも付けちゃおう。女王も行っちゃえ。かっちょいい人の集まりだもん、いけるいける。


 ヴェクは今を懸命に生きる人なので、強欲。煌紳はここで頑張ってもらって、さやかとかここでいけるかな?颯もここだぁ!待ってここだけめちゃ強くない?……まぁいいや。強いなら強いだけいいもんね。欲がないいい感じのパーティーだよ。


 アンカーはなんか、イケイケ系らしいので、嫉妬。嫉妬する人が出てきそうだよ、うん、多分。凛子はここで、イズフェもここ。陽満もここね。元気バリバリ陣でやったれ!という気持ちで選んだグループだ。


 カレナは残りの色欲で。カレナは魅力的だしいいよね⁉……ごめんカレナ。頼れるサティお姉さんと颯の聖清、料理人の2人、貫春と真華はここで!


「色欲担当が少し弱いかも……?セーリーラ、ララノラ、ちなみに勇者陣の強さのランクというか、レベルというか、あります?」


 わたしは、色欲のパワーバランスが気にかかり、二人に尋ねてみる。するとララノラとセーリーラは顔を見合わせて同じことを言った。


「カレナ、アンカーが秀でててぇ」

「ヴェクが真ん中、己らは同じレベルだ」

「え⁉そ、そうなの⁉じゃあ色欲は大丈夫かな。てかセーリーラとララノラが下なの⁉狂ってる順番に強いの⁉」


 まぁ確かにそう言うことはよくあるし、と自分で納得して、すぐに「ありがとう」と言い残し作戦を立てる。


 わたしは後ろから魔法で、攻撃、防御、援助、回復、全部やるつもりだ。エネルギーもMPも多分あるのだ。エネルギーしか自覚できていないが、MPもわたし、結構豊富な方なんじゃないだろうか。後で颯をちくちくっと責めるつもりでいる。


 と、セーリーラの「アンカー、カレナ!遅いぞ!」という声とヴェクの「仲間の輪を乱す気かい?頼むからすぐに来てくれ、二人とも」という声が聞こえてきた。


「アンカーさん……」


 頭を掻きながら叱られているアンカーを、初めて見た。アンカーに隠れてじっとしているカレナの姿も、この角度だと丸見えだ。


 アンカーの容姿も、ばっちしイケメンである。炎のように燃え盛る真紅の髪、先っぽは少し黒がかっている。槍を背負っていて、何故だろう、とてつもないくらい、すごく強そうだ。


強そうな見た目(男版)の模範だよ!


「全員揃ったな、じゃあ出るぞ!夏端、場所の確認」

「えっとな、5体集まってる。……ラッキー、誰も済んでなさそうな平原地帯だ。今すぐでも送れるぞ!」

「いや送るのはアスートでいい」

「ふぇ⁉ひでぇぞ!」


 ちょっとした茶番にくすりと笑い、わたしはヴェクの視線を受けて皆の前に立つ。


「メンバーの割り振りを考えました。皆、よく聞いてね」


 全員、緊張した目でわたしを見つめる。少しばかり緊張しながら、わたしはつい先程頭の中で組み立てた構図を説明する。


「怠惰グループ。ララノラ、泰雫、笑照、ゼーシさん。傲慢グループ。セーリーラ、レーランティーナ、アスート、女王。強欲グループ。ヴェク、煌紳、さやか、颯。嫉妬グループ。アンカーさん、凛子、イズフェ、陽満。色欲グループ。カレナ、サティ、ランズさん、貫春、真華。です!わたしは全体のサポートをします。絶対勝てる!頑張るよ!」

「「「おぉ~!」」」


 皆からの力強い「おぉ~!」により、わたし自身の力も増した気がする。知らんけど。


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