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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第三章
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馴れ初めからの放置プレイ

「わたくし、『ジュケンセー』も『ぎゃるげえ』も『コードーセッテー』も『ダイガクセー』も『シューショク』も分かりませんけれど、ハヤト様のことならば誰よりも知っておりますわ」

「……あぁ」


 レーイレアは、パラソルの下に椅子をもう一つ持って来て、颯と会話を楽しんでいる。颯はと言えば、鬱陶しがっているようだが。


ホント、何があったんだろうね、颯とレーイレア。何かあったのかな?前は颯、レーイレアにでろでろだったのに。


「どうなさいましたの、ハヤト様?何やらお元気があられないご様子で。もしや、この女に何かされましたの?」

「は?ちげ――」

「分かりましたわ!ならばこのわたくしレーイレアが、ハヤト様を不快にさせる愚民を監禁して差し上げましょう!縄と鎖ならばあるのです!」


 突然、レーイレアがポケットを探り出した。


 本気だ。本気でやる女だ、レーイレアは。そんな彼女を見て、颯が少しばかり頬を赤らめながら両手をバババと振りまくって否定する。


「あ⁉ちょ、レーイレア!なんで持ってるのか知らねぇけど、オレ水樹と普通に話してただけだし、不快じゃねぇし、ましてや監禁とか物騒な、ヤンデレかって。お前が好きなのはオレなんだろ?」

「颯さーん、もしかしてGL視点で見てませんかー。BLもGLもわたしたちには関係ありませんよー」

「ハッ」


 会話において行かれたレーイレアが不満そうに、ハァッとため息を着く。滑らかに颯の右手をとって触り、そっと手の甲に口づけをした。


「レ、レーイレア、そういうのはやめてくれ」

「ハヤト様、わたくしつまりませんわ。二人だけでゆっくりお語り合いをしたいのですのに、ハヤト様は汚らしい女と馴れ初めを……わたくしを放置しておいて、どこに行ってしまわれますの?」

「「馴れ初め⁉からの放置プレイ⁉」」

「……同時にモノを言われると更に腹立たしいものですわね」


 レーイレアがもっと不機嫌になりながら颯を上目遣いで見上げている。颯はすぐに手を振り払ったらしく、そっと服で口づけの後を拭いていた。


「レーイレア、オレ、申し訳ないんだけど、今は水樹と話してるんだ。後で二人で話す時もあるだろうし、今は二人で話さしてくれねぇ?」


 さぁ、ここでレーイレアはどう出るか。愛しい王子様の言うことを渋々聞き黙って下がるか、それともやっぱり側にいたい、あれに構う必要はないと我儘を言い切るか。


前者の方が、好感度は上がるだろうね。でもなぁ――


「ハヤト様!酷いですわ、このレーイレアを放っておいて、夜に女と語り合いですのよ。ハヤト様にはわたくしだけを見つめていてほしいのですのに。……分かりましたわ。ハヤト様はわたくしがお好きでありませんのね。わたくしの想いは秋風に舞う枯れ葉のように、儚く散るのですわ……」


――大人しく引き下がるとは思えないんだよね……。


 という前に、しっかり夢見る乙女のロマンチック劇場を開いていたレーイレアは、長い睫毛をパチパチさせて颯を見つめている。ちゃっかり手も握っちゃって。


「ごめんなレーイレア。後でまた、君の話は聞くから。先、部屋帰ってろよ。寒いし、風邪ひくだろ?すぐ、追いかけるから。部屋でまた会えるだろ?オレと水樹は、会えねぇんだ。許してくれよな」


 颯は、すまないと書かれたような顔をして、レーイレアを見送り出そうとした。王子様的対応の中でも、ちゃんと自分から対象の人物を遠ざける大人ならではのテクニックだ。


「……えぇ、分かりましたわ。絶対に、わたくしとハヤト様で、二人だけでお話をする時を作って下さいましね。……レムーテリン様、あまり調子に乗らない方が良いですわよ。ハヤト様の御心はもう確定も同然。100%わたくしに傾いているのですわ。貴女の出る幕などもうありませんの。残念ですわね。ハヤト様とわたくしは結ばれますわ。黙ってそのざまを見ていて下さいませ!」


 スカートの裾をはためかし、レーイレアは夜風に吹かれながら帰っていった。邪魔者退散、歓びの歌でも歌う?わたしと颯は、アイコンタクトで笑い合い、そっと言葉を漏らす。


「キスから、少しはわたしのこと、意識してくれた?」

「慰めてくれたときから、ずっと意識はしてるけどな」

「そうなんだ。そうだったんだ。やっぱり嬉しいね」


 しちゃう?

 しちゃう。



 今日の夜も、甘めのキスを味わった。


記念すべき100個目!

ありがとうございました!

でも、100個目の中身がこれで題名があれってのも、ね。

作者的にはすげぇ嫌です。正直甘々なラブコメはこっぱずしくって読めやしません。

その作者がこれ書いてるんですよ?

鳥肌。

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