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何故か王様になっちゃった件について。  作者: 白玉 ショコラ
第一章
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プロローグ


 羽葉澤水樹(はばさわみずき)は、今日も図書室で本を読んでいた。今日の本は、心理学。明日は、物語。昨日は、仏教。水樹の好むジャンルは全てだ。基本、水樹は本が大好きなのである。


「水樹、今日も朝から読書?ホントに本好きだねぇ」

「あぁ、凛子。うん、朝の図書室は静かだから」


 水樹の親友、夏端凛子(なつばたりんこ)が、早朝から図書室にやって来た。ちなみに今は、朝六時半である。水樹は六時十五分から学校の図書室に来て、読書をしているのだ。


最近は凛子も朝は早めに来て、二人で読書をするようになった。もちろん、学校には先生も二人くらいしか来ていない。図書室の司書の先生もいないなか、水樹と凛子は二人で読書をするのである。


「そういえば。今日、さやか、熱が出たから休みみたいだぞ」

「えっ、さやかちゃん、熱出ちゃったの?今日、学校終わったらお見舞いに行こうか」

「そう言うと思って、今日はお金、持ってきたんだ。さやかの好きなもの、買っていくだろ?」

「もちろん。さやかちゃん、チョコレートパイが好きなんだよね。お店、寄っていこうね」


 二人の親友、夜桜(よざくら)さやかのお見舞いの計画を立てながら、二人はお互いに好きな本を読み始めた。







「すみません、チョコレートパイ、一つお願いします」

「はい、どうぞ。685円です」


 水樹は、ビニール袋に入ったチョコレートパイを受け取って、小銭を差し出した。チョコレートでコーティングされたパイは、(かじ)るとサクッと気持ちの良い音を立て、中からまろやかでクリーミーな生クリームが流れ出てくるのだ。


「おい、さやかのだけ買ったのか?一つって聞こえたけど」

「そうに決まってるでしょ?わたしたちの分なんて買えませんし買いませんよ」

「あたしの腹、鳴りまくりだぞ」

「どうぞ、ご勝手にお鳴り下さいな」


 凛子に睨まれつつ、水樹はさやかの家へと向かう。さやかの家は一軒家で、マンションの凛子には憧れなのだそうだ。水樹の家も一軒家だが、凛子(いわ)く「ちょっと違う」そうだ。水樹としては、少しばかり悔しい。


「すみませーん、さやかちゃん、いますか?お見舞いに来ました!」

『あら、水樹ちゃん?久しぶりね。凛子ちゃんも一緒かしら?少し待っていて、鍵を開けるわ』


 その声と同時に、さやかの家の鍵が開いて、さやかのお母さんの美人顔が出てきた。


「いらっしゃい、水樹ちゃん、凛子ちゃん。どうぞ、入って」

「失礼します」

「お邪魔しまぁっす」


始まりましたよ!ここからどんな風になるのかなぁ、みたいな、ちょっぴりの希望を持っていただけたら幸いです。


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