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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第93話 商売の基本は何と言ってもお店を開く場所にある!

「ならさ、この子には店の一角の空いている場所(スペース)で商売をさせるのはどうかな?」

「えっ? お兄さんそれって……」

「旦那様……」


 女の子が商人だと言うことを思い出し、起死回生だと言わんばかり思いつく限りの思案を口にする。


「だってウチもいずれは『宿屋』とかもやる予定だったでしょ? なら、モノを売り買いする商売をするのだって悪くない話じゃないかな? 同じ建物内ならレストラン(こっち)が忙しい時間帯、お昼の混雑時(ランチタイム)なんかの時には手伝ってもらうようにすればいいし、ウチには場所代として売上か利益の一部を貰うようにすれば両得になるでしょ? もちろんそれもシズネさんが許してくれる条件付きなんだけれども……」


 俺は最後の方が消え去りそうな声になってしまっていた。自分のアイディアに自信を持っていないわけではないのだが、すべてはシズネさんの胸先三寸にかかっているので不安でしかない。


「ふふっ。そうですね……旦那様にしては良きアイディアですね。確かにそれだとウチにとっても、またそれと同時にこの子にとっても悪い話ではないですね。ま、宿屋に関しては既に人手の心当たりが無いわけではないのでしたが……」

「シズネさん……じゃあ!」


 シズネさんはウチの店にとっての利、つまり店の一部の場所(スペース)を貸す事により安定的に利益を得られること。そしてまたレストランが混雑時のみ手伝ってくれる人手の確保により、人手の問題と同時に人件費の無駄の削減を解決できる。


 そしてその子とっては商売をするための多大な開業資金の不要、またウチで働く事により衣食住のオマケ付きなうえに一定の収入の確保を実現できることになる。両者が互いに得をし、まったく損をしないアイディアだった。


「ほんと? ほんとにほんとにボクを雇ってくれるの!? しかもしかもお店まで開けるだなんてっ!! や、やったぁ~♪」

「ふふっ」


 その子はまるでピョンコピョンコ♪ っとウサギのように跳ね喜び、嬉しさを全身を使って表現していた。それを見ているとこちらも嬉しくなり、思わず顔が(ほころ)んで笑顔になってしまう。


「あの、お二人とも喜ぶのは良いのですが……まだ肝心の問題が残されているのですよ」

「「えっ!?」」


 シズネさんは喜ぶ俺達に対して、申し訳なさそうに声のトーンを落としてそう告げた。


「問題それって……」


 俺は続きを促すよう、シズネさんに聞いてみることに。



「ええ。まずいくらウチの店で商売をしてもいいからと言っても、肝心の場所の確保についてです。このお店のどこにそのようなスペースがあるというのですか?」


 シズネさんは「周りを見てくださいな」っと、俺達に店内を見渡すよう指示した。


「あ、あ~っ」

「た、確かにこれじゃあ場所が……無いね」


 店内はテーブル席と椅子、そしてエールが入っている樽などが置かれ、とても商売をするスペースなど持ち合わせていなかったのだ。

挿絵(By みてみん)


「じゃ、じゃあ二階はどうかなシズネさんっ!! 二階は各部屋部屋に分かれているだけどさ、とりあえずのスペースはあるわけなんだもん! いくかに分ければ……」

「……旦那様は何部屋にも分かれている物売りなどを見たことがあるのですか? そもそもそのような商売はまずお客様が『必ず買う』という保証がどこにもなく、それと同時に何も買わずともただ眺めたり、気軽に手に取れるのが商売の基本なんですよ。それが二階の、ましてや部屋単位に分かれてしまってはお客様が気軽に立ち寄れないのではないでしょうかね?」

「ぐっ」


 俺は食い下がるようにそんなことを口にしてしまうのだが、すぐにシズネさんから却下されてしまうのだった。確かにそれはシズネさんの言うとおりであった。


 怪しげな商売ならいざ知らず、そんな場所ではまともな客が来るはずもない。それにそのような見世物はまず一階に設置するのが最も重要であり、二階なんてのは言語道断なのだ。ただでさえどんな商売でもお客を二階へと導くのは大変困難なのにウチの店の一階がレストランという異業種なため、お客達が来店するには更にハードルが高くなり得てしまう。これがもしも同じ一階だというのならば、話はまったくもって別となる。


 何故ならウチの店には冒険者達が朝昼夜よく(つど)うので、物を売り買いするには打って付けの条件となり得よう。人が多く集まるということは、それだけ人の目により触れるという事と同義となる。つまり話の種になったり、何かあった際には利用する機会が増えるという事になるのだ。商売においての『知名度』というモノは、品質に次いで最重要項目なのだ。それはいくら品質が良いモノを提供できようとも、そもそもその店の存在を知らなければ誰も買いには来れないのだ。


 だから人が良く通る表通りなどの店先は建物の価格もより高くなり、借りる場合でも家賃と保証金が信じられないほどの額となってしまう。これが一本裏通りに入ってしまうと家賃は半分など、信じられないほどまで下がってしまうのが一般的である。



「ぅぅぅっ」

「ふみゅ~」


 俺は自分の甘い考えを思い知らされ、低い唸り声を上げてしまっていた。またさっきまで元気だった女の子も今は気落ちしているのか、しょんぼりとした顔になっていた。


「ふふっ。お二人共、そのように気落ちしてしまって可愛いらしいのですね。ですが、解決策が無いわけではないのですよ」

「「ええっ!?」」


 その言葉に俺達は思わず顔を上げ互いに顔を見合わせながら、シズネさんに注目してしまうのだった。


「実はその解決方法とはですね……」


 

 一体シズネさんにはどんな解決策があるのか? それを次話執筆までに考えつつ、お話は第94話へつづく

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