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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第90話 そもそも人じゃないヤツらの生き残るための処世術

「みんなご飯が出来ましたよ~。ほら、さっさと起きて食べてくださいな♪」

「あ~、ご飯ん~っ? 食べりゅうぅぅぅっ。あと~……何かが私の頭の上に乗ってる~?」

「いや、シズネさん。いくら邪魔だからってアマネの頭に食べ物乗せないでよ。危なっかしくてしょうがねぇよ」

「何じゃ飯なのかえ!? ようやくなのじゃ~」

「もきゅ~」


 俺とシズネさんは温めなおしたばかりの熱々ナポリタンを運び、餌付けのように各々の目の前へと置いていく。アマネに至ってはテーブル中央を我が物顔で占領していたためにシズネさんは退かすのが面倒になったのか、そのまま後頭部へと皿を乗せたのだった。あれは熱くないのだろうか? いくら皿だったとしても熱が伝わるはずなのにアマネは微動だにしていない。


「ん~……あっあっつぃぃぃぃぃい!? 何だ何なのだっ!? 何が私の頭に乗っているのだ!? は、早く頭に乗ってるコレを取ってくれ!!」

「わっ!? 今頃なのかよ!? わ、分かったから暴れるなアマネっ!!」


 熱伝導率に時間差でもあったのか、ナポリタンの熱が皿下へと伝わりアマネの後頭部を容赦なく襲っていたのだ。たぶん寝ぼけているせいと疲れから痛覚が鈍っていたのかもしれない。アマネはその熱さでジタバタと手足を動かすのだが、幸いなことに頭だけは一切動かしていない。きっと今動かしたら、自分の食べる分が落ちると本能で察しての配慮なのかもしれない。


「ほら、取ったぞアマネ! あっちちち。本当に熱ちぃな、コレ!?」


 すぐさま皿をどかしてやったのだが慌てていたため、山盛りが崩れ皿を持っている俺の左手へと熱々の麺が容赦なく襲い掛かり容赦なく俺の残り少ない体力ゲージ(HP)を削ってゆく。


「ふぅ~っ。ふぅ~っ。っとと。アマネ、それと旦那様。今はお食事中なのですよ、あまりは騒がしくしないでもらえますかね? 迷惑ですよ。そんなに騒ぐのならお皿片付けちゃいますからね!」

「す、すまない。少しはしゃぎすぎてしまったようだ」

「ご、ごめんシズネさん」


 シズネさんが原因にも関わらず、しれっとした態度でふぅふぅっと息を吹きかけ冷ましながらナポリタンを食べていた。俺もアマネも極限まで腹が空いているので飯を取られては敵わないと、文句一つ言い返さず反省の言葉を口にしてしまう。


「そうなのじゃぞ~。(わらわ)やもきゅ子を見習うがよいわ~。権力のある者にただただ屈する。これぞ人の正しい生き方なのじゃぞ~。のぉ?」

「もきゅ~っ」


 サタナキアさんともきゅ子は口の周りをケチャップでベッタベタにしながら、権力者(=シズネさん)のイエスウーマンとなり、頷きまくって肯定していた。


「…………」

(そもそもてめえら、どっちも()じゃねぇじゃねぇかよ。とりあえず擬人化してからやり直してこい! それに片方はただ喋る面白剣(おもしろけん)で、もう片方なんてただの可愛いマスコットだぞ。オマエらもどっこいどっこいで存在自体が漫才コンビじゃねぇか。あとシズネさんに屈してたのかよ。まぁ確かに人の心を掴むのなら、まずは胃袋って言うけどさ……いや、だからオマエら人じゃねぇんだってばよっ!!)


 俺はとりあえず全身全霊力の限り、権力者に媚びへつらう連中にノリツッコミを入れ、それと同時に自分自身の発言にもボケツッコミをしてみた。もちろん口に出したらナポリタン取り上げ(報復)が怖いので、いつものように心理描写(()閉じ)を用いてなのだが。 


「むぅ~っ。まぁシズネの言い分にも一理あるなぁ。キミ、とりあえず食事にしよう。さぁ私の分をくれ」

「(ぼそりっ)……まぁいいのかよ。あ、ああ。分かった。ほら、熱いから気をつけてな」


 楽観具合の極致のようなアマネは「とりあえず食事を……」っと食べる事により、体力回復を図るつもりらしい。あれも敢えては口を出さず、持っていたアマネの分を手渡すと自分の分を食べ始めることにした。


「もぐもぐ♪」

「もぐもぐ♪」


 カチャカチャ……。食器皿にフォークが当たる音と、口に入れ噛んでいる擬音を口ずさむ音だけが世界を支配し続ける。


「…………」

(どうした? 何でこうも今日は静かなんだ? いつもなら何か話しながら食べてるだろ?)


 とは言ったものの、俺自身も何を喋ったらいいのか分からずに無言のまま食べ進めることに集中していく。


「んっ♪ ごちそうさまでした。ふぅ~っ」

「妾もなのじゃよ~」

「もきゅ!」


 先に食べていたシズネさん達が食事を終える。そしてお腹が満たされて安心したのか、シズネさんは大きく息を吐き背もたれに体を預けていた。きっと仕事の疲れが出て、無意識にそうしているのかもしれない。


「んっ!?」

「んんっ!!」


 それを見ていた俺もアマネも、早く食べ終え話をするため急ぎ口に放り込もうとする。だが人間、思考とは裏腹に体が追いつかない時もあるのだ。具体的にはフォークを持っている右手を口へと必死に動かしているのだが、肝心の口が開かずにその訪問を拒否っている。というか、既に口いっぱいにナポリタンが攻め込んでいるため入り込む隙間がなかったのだ。


「あの、旦那様とアマネ? 先程から右手だけは必死に動かされているようですが、まったくもって一口分すらも食が進んでいないように見受けられるのですが……何をなさっておいでなのですかね?」

「んんっ!! ごほっごほっ。し、シズネさん変なこと言わないでよ」

「ぶっふっ!? そ、そうだ。私達は必死に食事をしているのだぞ! 笑わせるんじゃない!!」


 俺達を眺めたシズネさんから冷静なまでのツッコミをされ、俺もアマネも咽返(むせかえ)りながら反論する。確かに皿にあるナポリタンと口元付近への楕円を描くような往復をさせ、傍目から見れば食べている動作をしているだろう。だがしかしそれも口には一切入れていないため、ただの手の運動ないしリハビリチックな事をしているようにしか見えなかったのだった……。



 常に傍目からの視線に気をつけるよう心がけながらも、お話は第91話へつづく

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