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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第78話 語彙力と誤字力は読みが似ているけど、実は違うらしい

「ごほんごほん!」

「ふふっ。朝からこんなアヤメの甘えた(・・・)顔が見れるなんてねぇ~」

「「あっ……」」


 シズネさんのわざとらしい咳とその隣に居たマリーの嫌味ったらしい皮肉により、俺とアヤメさんは現実世界へと強制的に引き戻されてしまった。ま、みんながいる目の前でイッチャラブしていた俺達が全面的に悪いのだが。


「そそそそ、そうです。昨日頼まれていた街のお医者様のアンケートもありますよ、シズネさん。ば、馬車にあるので急いで取ってきますね!」

「おや……ご丁寧にありがとうございます」


 この場から逃げるが如くアヤメさんはポン♪ っと手打ちをすると、思い出したかのように外にある馬車へと駆けて行ってしまった。その場に残された俺はというと他のみんなの視線に晒されてしまい、肯定とも言い訳ともとれる言葉を口にしてしまう。


「いや、はっはっはっ。まいったね~、まいったまいった。いざ参るぅぅぅっ、な~んちゃってさ♪」

「「「「ふ~ん」」」」

「きゅ~」


 俺は笑いながら適当な言葉を口にしたのだったが今日ほど、今日ほど……人の視線が怖いと思ったことはない。それほどまでに破壊力のある全員で口を揃えた「ふ~ん」だった。


「(マジでこの感じは居た堪れなさの極致(きょくち)だね! 誰かにツッコミを入れられて「滑ってますよ(笑)」なんて言われれば、笑いの一つでも起こり得るんだろうけどさ、無関心を装った関心「ふ~ん」はあまりにもキツすぎるってばっ! 俺のガラスの心『精神力(MP)』がマイナスに突入しちまってるよ)」


 俺が一定時間立ち止まると頭の上には何故か現在のステータスとして、緑色の体力ゲージの値である『HP』や青色で精神力の値を表す『MP』などが数字と共に表示されているのだが、そこには何故か色や数字表示ではなく言葉(・・)が書かれていたのだ。

挿絵(By みてみん)

『貴方の心は既に抉れています by貴方のステータスより』


「(精神力(MP)が減ったとかじゃなくて、抉れてたのかよっ!? というか、何で数字とか色ゲージじゃなくてそこだけ文字表示なのさ!? しかもHPすらもデットラインじゃねぇかよ!? 俺常に瀕死状態じゃねぇか!! あとあと……今の俺ってこんな顔してんの?)」


 俺は自分でも吃驚してしまうほど、ステータス表示の傲慢さと自らの顔色に動揺を隠し切れないでいた。その顔は影を落とし、誰がどう見てもヤバイと思えるほどである。


「ま、旦那様のことですしね。仕方ありませんよ」

「あ、うん。そうだ……じゃねぇよっ!?」

(あ、危うく同意しちまいそうになったわ! 俺だから何でもOKみたいな風潮やめようよ。マジ、俺だって夜はいつも枕を濡らして……いや、枕は濡らしてはいないかもしれない)


 ポンポン♪ シズネさんが俺の右肩をリストラ候補筆頭のように叩くと「諦めて下さいよ」っと首を横に振って俺を哀れんでいた。俺も思わず「ああ、そうだよね……」っと同意しながら頷きそうになったのだが、途中でそれに気づきツッコミながら訂正する。


 カランカラン♪ ちょうどその時、タイミングよくアヤメさんが馬車からアンケート用紙を持って帰って来た。


「お、お待たせしましたぁ~。こ、こちらですぅ~」

「あ、ありがとうございますアヤメさん……さっそく確認いたしますね」


 急いで来たのか、アヤメさんはやや息を切らせながらシズネさんへとその紙の束を渡していた。さすがのシズネさんもそれには面食らったのか、若干顔を引き攣らせ戸惑いながら受け取る。


「…………」


 シズネさんはパラパラと紙をめくり、一枚一枚簡単に確認していく。俺も横からチラリっと覗き見ると、そこには前に話したとおり『Q.栄養価がある食事を『朝食』として摂るのは、果たして普段ダンジョンに潜る冒険者達にとって望ましいこと(・・・・・・)なのか? Yes or No』と簡素ながらの設問が書かれており、そのほとんどがYesに丸を付けられていた。そして医者達が回答をしたという『証拠』だと言わんばかりに一番下には、署名の欄が設けられそのすべてに名前が書かれていたのだ。


「アヤメさん、これほんとに街にいる医者達からこのアンケート取ってきたの? パッと見だけでも数十枚ほどあるんだけど……ちゃんと協力してくれたの?」

「あっはい、もちろんですよ♪ これはユウキさんもご存知だとは思いますが、医者達に医療行為の認可をするのもギルドなんですよ。ですから皆さん快く(・・)回答していただけましたぁ~♪」


 どうやらアヤメさんはギルドと言う名を最大限生かし、このアンケート結果を取ってきてくれたようだ。まぁ尤も医療行為及び薬の認可さえも牛耳ってるギルドから言われてしまえば、みな二つ返事で承諾してしまうのも頷ける。


「くくくっ。これです。これさえあれば……ふふふっ」

「(こ、怖えぇ~っ。今のシズネさんの顔、メッチャ笑顔なんだけど怖いよ。だってこう~、口を裂いたような感じで笑ってるんだもん。マジで悪魔! 英語言うならデビル、フランス語で言うなら……フランス……いや、フランス語では言わないかもしれないな!)」


 アンケートを握り締め不気味な笑みを浮かべるシズネさんを見て顔を引き攣らせながら、俺は語彙力(・・・)の無さを必死に誤字力(・・・)で誤魔化そうと画策するのだった……。



 常に誤字力全開で執筆しつつ、お話は第79話へつづく



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