第69話 サブタイトル数も伏線となるなりけり。
「むむっ。キミはどうして先程から私から目を逸らしているのだ? 人と話すときには、ちゃんと目を見て話さないとダメ失礼なのだぞ! それとも……私の体にどこか可笑しな所でもあるのか?」
「いや、特に可笑しいところはねぇけどさ。少しは恥じらいというものを持って欲しいというべきか……(チラッ)」
「私は何ら恥じることはしていないぞ!」
「(アマネさんや、むしろ今の自分の格好を恥じてくれっ!! 何だか見ているこっちが恥ずかしい感じになっちまうんだよ。これじゃあ、完全に立場逆じゃねぇか……)」
アマネは堂々とした井出立ちで下着姿と言うのに、俺の前でそのワガママボディとピンクのピラピラレースが付いた下着を、まざまざと見せ付けながら胸を張っていた。俺はそれをチラリズムよろしく、チラチラっと目線を忙しなく差し向け、どう答えたらよいのか迷っていた。
そして意を決し、俺はアマネへと今の思いを率直に伝えることにした。
「あ、アマネ、そのこんなことは言いにくいんだけど……今のアマネは下着姿なんだよ。だからさ、男の俺としては目のやり場に困っちまうんだわ。だから……」
「うん? イマイチ要領を得ない言い方だなぁ~。キミは私の体じゃ不満だとでも言うのかっ! 自慢じゃないが、胸は大きくて柔らか方なのだがなぁ~」
「ぶっ!」
俺はやんわりとアマネを諭すのだが、アマネは逆上してむしろ「私を見てくれ!」っと、ちょい痴女みたいなことを言い出していた。そして自らの胸を両手を持ち上げ、その大きさと柔らかさを俺へと見せ付けるかの如く、たゆん♪ たゆん♪ っと上下させたりしている。
きっと本人にその気は無くとも、自然体に男を誘う術が備わっているのかもしれない。
「(さ、さすがは勇者アマネ先生だぜぇ~。ってか冗談抜きにアマネの胸ってば、大きくて柔らかくそうじゃねぇかよ。なに、手に持った瞬間、自由自在にその形変えちゃうほど柔らけぇの? ……マジで? 柔軟剤でも使ってるの? むしろ柔軟剤使わないでその柔らかさを実現してんの?)」
俺は既に天音のその大きなお胸様から目を離せなくなっていた。否! 漢ならば、今まさにあの爆弾ボディから目を離せようか? ……無理だろう。
そして俺は恥らいながらも、直接アマネに聞いてみることにした。
「あ、あのな、アマネ。アマネってさ……いつもこうなのか? なんていうか、そのぉ~、人に……男に下着姿とか見られても平気なわけなの?」
「うん? ああ、そのことで先程から悩み戸惑っていたのか? あっはっはっは~っ。私は自分の体に自信を持っているからな! だから何ら恥じることもないし、それにこの私は勇者であるのだ。勇ましい者と書いて勇者なのだぞ! この程度のことで恥じていては勇者は務まらないのだ!」
俺が『アマネ痴女催促理論』を展開すると、アマネもアマネで『勇者痴女平気理論』を展開して対抗してくる。
ちょっとアマネの言ってることの意味がよく分からないのだが、勇者なので勇気を持って痴女をするということなのだろうか? だとすると勇者って……半端ねぇぇぇぇぇっ!!
「お、おう……そうなんだ。勇者だから……アマネは平気なのか。そう……なんだ。はははっ……」
「うん? ……ああっ! ご、誤解して欲しくないのだが……」
「えっ?」
「わ、私だって誰にでも見せているわけではないのだぞ! 女性同士ならば、むしろ進んで自慢しながら見せるのだが、お、男の……男の人に見せるのは、き、キミが初めてなのだぞ……だからその……誤解しないでくれっ!! (照)」
俺はその話を聞き、性に対して明け透けなアマネを知ってしまうと少し落ち込みながら、やや自虐的な笑いをしてしまう。するとアマネはかなり慌てた様子で「キミが、初めてなのだ……」っと、その一言で俺の童貞心を打ち抜いてきた。
「お、俺が初めてなのか……ふ、ふーん」
(マジっすか!? 俺がアマネの『初めて』とやらを頂いちゃったの? ……おっしゃあぁぁぁぁぁっ!!)
俺は「別にそんなの気にしてませんよ」的な無関心振りを装いながら、内心ドキドキが止まらなかった。まさか女の子から「初めてなの……」とか言われる日が来るだなんて思いも寄らなかった。
「あの、気を……悪くしたかな?」
アマネは俺の無関心ぶりな態度に「怒らせてしまったのか?」っと心中穏やかではない様子。
そして自棄になったのか、突然こんな行動をしてきた。
「そ、そうだ! キミさえよければ、その……触るか?」
「ぶっ! さ、触るって……それをか?」
アマネは「それでキミの気が治まるのならな……」っと自ら腕で持ち上げ、その柔らかい脂肪の塊を俺へと差し出してきた。ブラのサイズがあっていないのか、今にも零れ落ちそうに感じで自由自在に形を変えている。
<挿絵提供:けんぼうさん>
「いやいや、お、俺達別に恋人とか夫婦って間柄でもねぇだろ。なのに触れるわけねぇだろ……。それにアマネだって好きでもない男に胸触られるの嫌に決まってるよな?」
(俺の馬鹿バカばかーっ。せっかくワガママボディの頂点である、アマネのお胸様に触れる機会を自ら棒に振るだなんて、何やってんだよ。でもこれで良かったのかもな……)
俺は内と外で簡易ジキルとハイドの気持ちになりつつも、自らを律するためアマネの提案を拒絶する。もしもこの場でその誘惑に負け触れてしまえば、理性を制御できる自信が無かった。
「やはり私の胸では不満なのだな……。シズネやマリーのようなツルペタ、もしくはもきゅ子のような体がキミの好みなのだな」
「いや、不満とかの問題じゃなくてだな。別にアマネの体に不満なんてねぇよ。むしろ魅力的すぎて直接見れねぇくらいなんだ! だから……って、しれっともきゅ子を数に入れるんじゃねぇよ!? ビックリするだろ!」
アマネは「私には魅力が無いのか?」っと落ち込み、シズネさん&マリーの無乳連合AAAクラスをディスりると「そのついでだ!」っと言わんばかりに、ぽっこりお腹が可愛らしいもきゅ子まで俺の性癖に加えてしまった。
「ならば、触れ! 私が良いと言っているのだから、触るくらい何でもないだろう! 別に減るものでもないし……さぁさぁ!!」
「ちょ、ちょっと、落ち着けってアマネ! それ普通、立場逆だぞ!?」
アマネはその「ちょっとくらいなら、良いだろう!」っと男勝りに迫り来て、俺は後退りながら逃れようとする。
「何故逃げるのだ? 別に痛くするわけではないのだぞ! って、うわあぁっ!?」
「あ、アマネっ!?」
先程シズネさんが使用して既に床が濡れていたのか、アマネが足を捕られてしまい前のめりに倒れこんでくる。俺は咄嗟の判断でアマネを助けようと手を伸ばすのだったが、俺もまた足を濡れた床に捕られてしまい一緒に倒れてしまう。
「あっててぇ~っ。あ、アマネ大丈夫……か? って、何だこのピンクは??? ……っ!?」
俺はすぐさま倒れたアマネを心配しようと起き上がろうとしたのだが、体の上に何かが乗り上げ、目の前のピンク色のモノが視界を覆っていた。そこでようやく事態の深刻さに気づいた。そうそれは……まさに桃源郷の光景だったのだ!
ピンク繋がりで思わず桃源郷を露出させつつ、お話は第70話へつづく




