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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第68話 感謝と湯浴みとお約束ハプニングと

「まぁまぁお二人共……ここは仲良くいたしましょうよ。ね、ユウキさん♪」

「ああ、確かにアヤメさんの言うとおりだと俺も思うぞ。別に二人が言い争っても意味が無いだろ? だったら協力して共闘すれば、いいんじゃないのか?」

「ふん!」

「ぷいっ」


 アヤメさんが説得する形でどうにかこの場は丸く収まった。そして一応アヤメさんが知り合いの医者達にアンケートを取ってくれることとなり、シズネさんも渋々ながらに納得してくれた。


「チラシの方も私がどうにかいたしますので……あっ、ですが一応明日の朝、ということでよろしいですかね?」

「ええ、すみませんねアヤメさん。描いてもらっただけじゃなく、印刷までお願いしちゃって……申し訳ないです」


 アヤメさんは申し訳なさそうに、「明日までお時間をいただきますので……」っとチラシの印刷まで請け負ってくれたのだ。俺が「料金は?」と聞くと、「いえ、私達の計画(・・・・・)とも目的は同じですので結構ですから……」と断わられてしまった。


 やはりアヤメさん……いや、マリー達はマリー達なりの裏の思惑があるのかもしれない。だがそこにどんな思惑があろうとも、俺達にとっても利益があるので敢えて深くは聞かないことにして、ただ感謝を述べるだけにした。


 きっとシズネさんはそこら辺りの事情があって、余計気に食わないのかもしれない。まるでマリー達の思惑に自分達が利用され、隠れ蓑にされていると思っているのだろう。


 けれど、俺はそれでもいい(・・・・・・)と思っていた。互いに利益()があるならば、それは利用し合えばいいのだ。きっとマリー達と俺達とでは、目的が同じはずなのだから……。


 そうしてマリー達が店を後にすると客が何人かパラパラと来店し、いつものように夜まで仕事は続いたのだった。

挿絵(By みてみん)


「ふぅ~っ。今日も一日ご苦労様でしたっと♪ さてと、今日もお湯を沸かさないとなぁ~」


 晩御飯を食べ終わると各々好きな時間を過ごすため、みんな部屋へと戻っていた。俺は食べた皿を洗いながら鍋で風呂に使う湯を沸かし、二つの木桶に汲み入れ風呂場へと持って行く。



 この世界では風呂に入る習慣というものがあまりない。これは水が貴重であることも要因であるだろう。ならばみんなどうするのか? 大体が川や湖で水浴びをしたり、湯を沸かし体を拭くだけなのだ。一応公共浴場なるものがあるのだが、ペストやコレラなどの伝染病があるため、かなり昔に廃れ閉鎖されてしまったのだ。


 酷い人だと一年近く風呂に入らない事もよくあり、その場合は専用の器具を使い、体の汚れなどを取るだけ。器具と言っても見た目ピーラーのようなもので、垢などをこそぎ落とすくらいであった。それでも汗などの悪臭が酷いため、街の人達の中には香水などで体臭を誤魔化す人もいるほどである。ま、尤もそれもお金がある貴族などが中心で、日々の暮らしに苦労している庶民には度台無理な話と言えよう。


 けれど女の子……それも年頃の子ならば、毎日でもお風呂に入りたいものである。さすがに風呂を沸かすまでの大量の水は毎日使えないため、湯を沸かし部屋で体を拭く事くらいしかできない。


 だがウチの店には自前の井戸があり、水だけならばいくらでもあるのだ。よって水を沸かして湯を風呂場まで運び、そこで体を洗うことになる。一応木で作られた浴槽があるのだが、それを満たすには大量の水を何度も湯へと沸かし入れなくていけないため、めったに使わなれることがなかった。 



「おや、旦那様。今日も湯を沸かして持ってきてくれたのですか? ありがとうございます」

「ああ、シズネさんか。今し方、風呂場に持って行ったばかりだよ」


 風呂場を出ると、ちょうどシズネさんとバッタリ遭遇してしまった。タオルと着替えを持ち、これから風呂場へと向かうところだったらしい。


「いつもすいませんね、面倒なことを押し付けてしまって……」

「いや、大丈夫さこのくらい。それに女の子なら、毎日でも入りたいくらいだろ? ごめんね、役に立てなくてさ……本当なら浴槽に溜めれればいいんだけどさ」


 シズネさんには珍しく、俺に迷惑をかけていると思い感謝の言葉を口に出してくれた。きっと湯を沸かし、運ぶのがいかに大変かを評価していれてくれるのかもしれない。


 だが浴槽を満たすまで湯を運び入れるのはさすがに一人では無理なので、木桶二つほどのお湯を沸かすことしかできないため、自分の力のなさを実感してシズネさんへと謝った。


「いえいえ、感謝していますよ。旦那様が頑張ってくれてるおかげで、こうして今日も湯を使うことができるのですからね♪」

「そっか。じゃあ、俺アマネ達の分もあるから……あっ、一応水も汲んでおいたから、もし熱かったら水も使ってね。じゃ!」


 シズネさんに褒められ、少し照れくさいので俺はそそくさと台所へと戻って行く。木桶二つ分ほどの湯量では人一人分しか使えないため、アマネやもきゅ子のためにも再度湯を沸かすことに。


 まぁ自分は水でも平気なので手間と面倒さから湯を沸かしたりはせずに、そのまま体を洗うくらいなものである。


「ふぅ。温泉……早くできないかなぁ」


 先に自分が提案した温泉のことを無意識のうちに呟いてしまう。ギルド直営の宿屋のように自前の温泉があれば、こうして湯を沸かしたり運んだりする手間も無くなるだろう。


 以前シズネさんが「どうにかする……」などと言っていたが、未だ解決の目途は立っていなかった。というか、ギルドの泉脈を強奪するとか言ってたけど、不安要素しか頭を過ぎらない。


 そうして俺は再び井戸から瓶へと汲み置きしていた水を火にかけ、湯を沸かし始めた。


「何もしないでただ『待つ』っていう、この時間が嫌に長く感じるんだよなぁ~。仕事してる時は凄く時間が経つのが早く感じるんだけどなぁ~」


 俺はちょい相対性理論交じりに時間の概念についてを呟き、考えていた。


「旦那様、今、上がりました。良いお湯でした~♪」

「おっ! シズネさん、おかえりぃ~」


 いつの間にか時間が経っていたのか、シズネさんが湯浴みを済ませ、空になった木桶を持って厨房へと顔を出してくれた。髪から滴が流れ落ち、お湯のせいで上気したのか、顔もやや赤らいでいた。そして少し傍によると石鹸の良い香りとシャンプーやリンスとはまた違う、別の甘い香りが鼻をくすぐる。


「んっ? どうかされたのですか???」

「いや、別に……何も(照)」


 シズネさんは髪をタオルで拭きながら、見つめていたのに気付いたのか、首を傾げながら「何か変ですか?」っと尋ねてきた。俺はシズネさんとは別の意味で顔を赤らめてしまい、悟られぬよう火にかけた鍋の方を向いてその場を凌ぐことに。


「(シズネさん、いつもと雰囲気違うよなぁ~。なんていうの、こう長くて綺麗な黒髪から滴が垂れて肌を濡らし、時折見せる白くて色っぽい首筋がなんとも……)」

「旦那様?」

「い、いやぁ~……し、シズネさんせっかく湯浴みしたんだから、体冷まして風邪なんて引かないでよね。あと、部屋に戻るならついでにアマネにも、もうすぐ湯が沸くからと、つ、伝えてくれるかな?」

「は、はぁ? 分かりました。それでは旦那様、おやすみなさいませ」


 シズネさんは丁寧に頭を下げ、おやすみの挨拶を済ませると部屋へと戻っていた。俺は内心、シズネさんに対する自分の欲望というか、劣情を見破られるのではないか? っと焦っていた。


 まぁ仮初めとはいえ夫婦なのだから、何かしらの間違いが起ころうとも良しとするべきなのだろうが、相手はあの(・・)シズネさんなのだ。同意をせず襲えば、容易に返り討ちに遭ってしまうだろう。


 なんせ相手は元魔王様なのだ。というか、あの重重しいモーニングスターに付属しているトゲトゲ鉄球の餌食となり、明日のナポリタン用ケチャップに転用されてしまうのが目に浮かぶ。 


「さて……」


 グラグラ。ようやく二回目の湯が沸いたので、木桶に汲み入れる。


 ザバァーッ、ザバァーッ。火傷しないよう、慎重に鍋を両手で持ちゆっくりと流し入れる。


「ふぅ~っ。さて、持って行きますか」


 今日何度目か分からない溜め息をつき、アマネが待っているであろう風呂場へと重くなった木桶を両手に一つずつ持ち、運んで行く。


「あっ……あ、アマネっ!?」

「おお、なんだキミか! 湯を運んで来てくれたのか? うむうむ。ご苦労ご苦労!」


 ガラガラガラ……。ボーっとして気を抜いていたのか、何も考えずに風呂場の戸を開け放つと中には鎧を脱ぎ、上下ピンクの下着を今まさに脱ごうと手をかけているアマネがいた。薄着の下着に身を包み、はっきり言って……エロい。エロすぎる。まるで女神のような綺麗な肌にムッチリしつつも、締まるところは締まっているワガママボディ。一体何を食べたらこのようにエロい体になるのだろう?


「わ、わりぃ……わざとじゃないんだっ!!」

「うん? 悪い? 何のことなのだ?」


 アマネは性に対して無頓着なのか、男である俺に下着姿を見られても平気と言った感じで首を傾げている。何気に動く度にアマネの大きなお胸様がゆっさゆっさ♪ っと揺れ動き、ついつい俺の目線もそれに釣られ同調するように動きを合わせてしまう。



「(マジかよマジかよ……。アマネさんって、下着とか見られちゃっても全然平気なタイプなの? ……いやまぁ、俺としては見れて嬉しいんだけどさ。でも生憎と読者にゃ~、その挿絵がねぇんだもん。俺だけこんな美味しい思いしてたら、読者クレーム殺到すんぞ。どうせなら誰か描いてやれよ……もしくは読者の方々には、その想像能力(イマジネーション)を生かして脳内変換して楽しんでいただくしかねぇなこりゃ!)」 

 

 俺は今日の瞬間、挿絵を無いことが恨めしいと思ったことがないと読者に知らしめつつ、誰かファンアート描いてくれてもいいんだぜ! っと謎の信号を心理描写を用いて飛ばし続けていたのだった……。



 常に脳内で変換を余儀なくされつつ、お話はついに第69話……第69話へつづく   

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