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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第7章 クランの設立と開業編

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第236話 ギルドの小さな変化

 ショーという名の体裁でシズネさんともきゅ子の正体を必死に誤魔化したその後、夕食の混雑時間帯をこなして今ようやく自分達の夕食を食べることになった。

 もちろんそこにはマリーとアヤメさんも一緒である。


 いつもなら彼女達は昼食を取ったらすぐに帰ってしまうのだが、今日はダンジョンの話し合いが半端に終わってしまったため、静かに話し合いができる閉店時まで残っていてくれたのだった。


「ふぅーっ。ご馳走様でした~。美味しかったですぅ~♪」

「ふん……まぁまぁね。というかアナタ達、夜もナポリタンなのね。逆に心配になってくるわ」


 アヤメさんとマリーにも夕食として俺達と同じナポリタンとパンを振る舞ったのだが、アヤメさんはお腹を擦りながら満足そうな顔になり、マリーは昼と夜とが同じメニューであることに苦言を漏らしていた。


 確かにウチはレストランであるが、その実メニューはエールを入れても3種類しかない。

 それも朝食セットとナポリタンのみ。ほぼほぼというか、必然的に俺達が賄いとしてたべることになるのもその2パターンしかなくなるわけだ。


 けれど少し偏食気味だからと言っても、朝昼夜っと3食欠かすことなく何かを食べられることは幸せなことである。


「それで考えてくれたかしら?」

「あ~……ダンジョンのことか?」

「ええ、そうよ。そうに決まっているでしょ」


 どうやらマリーは是が非でも俺達にダンジョンへと赴いて欲しいらしい。

 けれども何故、ギルドであるマリーがそこまで固執するのだろうか?


「その理由を聞いてもいいか? 何かしら理由があるから俺達にダンジョンへ行くように……って頼んでいるんだろ?」

「……」

「どうやら何か意図があるようですね」


 マリーのその沈黙をシズネさんは都合が悪いと取ってしまった。

 尤も理由を聞いて答えられないのだから、それ相応の弱みが裏にあると思って間違いない。


「お嬢様、ユウキさん達なら話しても良いではないでしょうか?」

「……そうね。こちらから頼みをするのだから、理由(ワケ)を話さなければフェアじゃないわよね。いいわよ、話してあげる……」


 アヤメさんに説得され、マリーは少し苦い顔をしながらその理由とやらを語りだした。


 最近ギルドに来るダンジョン関連の依頼とそれを受ける冒険者の数自体が目減りしているらしい。

 それも俺達が新たに開いたクランが原因ではなく、ダンジョン内部で何やら異変が起こっているとのこと。


 そのため本来ギルドマスターであるはずのマリーなのだが、こうして直々に敵方であるはずの俺達クランへと依頼として調査して欲しいと頼みに来たのだった。

 最初こそ理由を話さずそれとなくダンジョンへ行くようにと仕向けようとしたのだが、俺とシズネさんが頑なにそれを断ったため、今度は『依頼』として頼みたいとのこと。


「ふむ……なるほど。依頼も冒険者も減っているわけなのですか……」

「それって、もしかして俺達のクランが原因ってわけではないんですよね?」

「はい。ユウキさん達のクランが出来たからといって、その全体数まで減るわけではないですからね。ここ最近のことですが、異常とも言えるほど日を追うごとに目に見えて減り続けています。ユウキさんのところはどうなんですか?」

「ウチですか? ウチはまぁ新規ということもあってか、それなりに依頼も冒険者の登録者も増えている感じですね」


 実際ウチは毎日クランを維持していけるだけの依頼数と冒険者が登録に訪れている。

 もちろんそれには要因はあるだろうが、本職であるギルドを脅かすほどの存在では未だない。


「アヤメさんは最近って言ってましたけど、具体的にはいつぐらいからなんですか?」

「え~っと……覚えている限りでは、この2ヶ月ほどのことになりますね。もちろん正確な数字はギルドへ戻って調べればすぐに分かりますが、体感的にはその頃かと」

「2ヶ月前……ですか」


 俺にはその時期に思い当たる節が多々あった。


(2ヶ月っつうと、ちょうど俺とシズネさんが出会った頃だよな? もしかしなくてもシズネさんが関係している……っというか、元魔王様と現魔王様であるもきゅ子がここに居るからダンジョンが衰退してるってことなんじゃないかな? 確かシズネさん、ダンジョンに落ちているアイテムは1つ1つ手作業で置きに行ってるって話だったし……)


 おそらくダンジョン内で得られるお宝が目減りしているから、依頼と同時にダンジョンに潜る冒険者の数自体も減っているのが原因にほぼ間違いなかった。


「(シズネさんシズネさん、これってマズイんじゃないの?)」

「はい? あ~……確かに旦那様の仰るとおりかもしれませんね」

「俺、まだ何にも言っていないんですけど……」


 俺はシズネさんに小声で声掛けをしただけなのに、何故かすべてを話したかのように頷き納得していたのだ。

 きっとお得意チート能力よろしく、俺の心理描写ともに補足説明文を勝手に読み上げたに違いない。


「うん? アナタ達、何か原因を知っているのかしら? さっきからコソコソと話しているようだけれども……」

「え゛っ゛!? いや、あの……俺達そのぉ~……」

「ユウキさん?」

「ぅぅっ」


 マリーとアヤメさんに責められ、俺は言い淀んでしまう。


「いえ、何もワタシ達は原因を話していたのではなく、ダンジョンへ赴いて店の管理はどうするか~とか、その対価の報酬はいくらなんだろうなぁ~……ってコソコソと話し合っていたにすぎませんよ。ね、旦那様?」

「あ、ああ……そうそう。シズネさんの言ったとおり。それにほら、ダンジョンに行くのもただのピクニックじゃないんだから、色々と細やかな話もあるだろ? それを二人で話していたんだよ」

「なるほど、そういうことでしたか!」

「ふ~ん。その場で考えた言い訳にしては、理にかなっているわね」


 アヤメさんは一切疑うことなく納得して頷き、マリーに至ってはその場限りの言い訳であると見抜かれていた。

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