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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第7章 クランの設立と開業編

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第198話 何気ない幸福の笑顔

「旦那様、この後はどうなさるのですか?」

「うーん。そうだなぁ~……まだジャスミンの所に行っていないから、そこに顔を出しがてらウルフの様子も見に行こうかと思ってる。それについでじゃないけど、エルフィに建物の中を案内と思ってたし」


 今後の予定を聞かれた俺はまだ顔を出していないジャスミンの店『道具屋マリー』に行き、エルフィに他の店を案内することをシズネさんへと伝えた。


 すると……


「そうでしたか。それならミミさんも一緒に旦那様にお任せしてもよろしいでしょうか? やはりついで……ではありませんが、ワタシもこの後に中を案内しようと思っていたのですよ」

「あっ、そうだったんだ。なら、いいよ。俺が二人を案内するからシズネさんは休んでいてよ」


 どうやらシズネさんも俺と同じことを考えていたようだ。

 俺はエルフィとミミを引き連れて、店の中を色々と案内してやることにした。


 尤も、ミミのことを引き受けたのには理由がある。

 シズネさんはまだ病み上がりで、なるべくなら負担を減らしてやりたい。その思いも少なからずあったのだった。


「ミミはまだ厨房の中は見ていないんだっけ?」

「はい。私、まだ見たことありません」


 とりあえずは近場の調理場をミミに見せてやることにした。


「うわあぁぁぁぁ。立派な調理場なんですねぇ~」

「まぁな。っと言っても、まだまだ品数は少ないんだけど」


 ミミは調理場に入るのが初めてなのか、驚きの声を上げながら辺りを見回していた。


「ふふっ。ミミさん、可愛らしいですねご主人様」

「ああ、なんてゆうか、こんなこと言ったら怒られるかもしれねぇけど、小動物のように可愛いよな」


 俺の傍に寄り添ったエルフィは、はしゃいでいるミミのことをまるで母親のように温かく見守っていた。

 ぴょんこぴょんこっと、本当の兎のように飛び跳ねながら鍋のふたを開けたり、フライパンを持ったりして何事にも興味津々といった感じに楽しんでいた。


「さて、と。厨房はこの辺にして、お次はこの上にでも行ってみるか? 二階の部屋はみんなの個人の部屋になってんだよ。ま、と言っても部屋節約するため、一部屋を何人かで使ってるだけなんだけどな。それにシズネさんに聞いてみないとわからないけど、たぶん二人の部屋は一緒になると思うぞ」

「あら、そうなのですか? 私も同姓の方、ミミさんなら安心できますわね♪」

「上にはお部屋があるんですか!? それとそれとミミの念願だったお部屋が、ついにもらえるんですね~♪ わーいわーい♪」

「ふふっ」


 ぴょんこぴょんこ。ミミは部屋を与えられるのがそんなに嬉しいのか、とても喜びに沸き、飛び跳ねている。それを見ている俺までも、なんだか嬉しくなって顔が綻んでしまった。

 彼女が一度(ひとたび)笑みを浮かべれば、釣られて周りまでも笑顔となり、そして幸福となる。きっとそれが彼女の生まれ持った天性に違いない。


「この一番奥の部屋が俺ともきゅ子、それとサタナキアさんの部屋なんだ。そしてその隣がシズネさんとアマネの部屋。その隣がアリッサとアリアの部屋に、こっちがジャスミンの部屋。そんでもってその隣、二部屋が今は空いてるからここが二人の部屋になると思うぞ」


 俺は自分の部屋とシズネさん達の部屋の場所を教え、二人の部屋になるであろう空き部屋を案内してやることにした。

 一応セレクトとして、シズネさんの部屋と同じ女の子っぽいオシャレな部屋を選んでおいた。まさかこんな可愛らしい部屋なんかに男のウルフは入れないだろうから、二人の部屋はここで間違いないと思う。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ……これまたカワイイお部屋なんですね~♪」

「カーテンやベットなどの内装も可愛らしいし、小物なんかもちゃんと置いてありますわね。ご主人様、このように立派なお部屋を私達が使っても本当によろしいのですか?」

「二人とも住み込みで働いてくれるんだから、これくらいは当然のことだから気にするなよ」


 さすがは女の子。美人のお姉さんエルフィと言えども、やはり可愛らしいものが好きなようだ。

 ミミに至ってはアマネの時と同じく、ふかふかのベットの上で文字通り飛び跳ねていた。


「この隣がたぶんウルフの部屋になると思うから。ま、俺の部屋と同じくシックな作りというか、そんな感じかなー」

「なるほど……重要な方ほど奥の部屋というわけなのですね。そして新しい人や従者はこちらの階段側の部屋となるわけなのですね」

「べ、別に偉い順に部屋を割り振ってるわけじゃないと思うぞ。ここに来た順というか、そんな感じだと思うし……」


 一応この隣にある部屋も案内してやると、エルフィは部屋割りを身分の差だと感じたようなので慌ててそれを否定した。

 そして「そうなのですか?」っと、とても不思議そうな顔をしている。尤も彼女が戸惑うのも無理がないことである。


 この世界においての身分の差とは絶対的なものであり、またそれと同時に守るべき暗黙の了解となっている。

 主人に逆らう従者はタブー視され、その理由の如何を問わず、主人は従者の生死を自由にすることが罷り通っているわけだ。


 人と人との間でもそうなのだから、人外……ここでは獣人(エルート)やエルフなどの身分は人よりも断然低く扱われるのが一般的な常識であり、それは両者の認識においても覆ることの無い事柄なのである。

 けれども、ウチの店ではそんな身分の差や人であるか否かなどは何ら意味を成さないし、誰もそんなことは意識していないと思う。


「部屋はこれくらいにして、次は一階に降りて宿屋とかを案内するから……」

「は~い♪」

「畏まりましたわ」


 そうして俺達はとりあえず自分達の部屋を後にして、次の目的地へと向かうことにした。


 

 第199話へつづく 

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