表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/240

第0話 新たな世界の構築

「ふぅーっ。やはり今回も結局はダメになりましたか。やれやれ何度同じ世界(・・・・)を繰り返せばよいのでしょうかねぇ~」


 少女は溜め息をつきながら、今閉じられたばかりの世界にウンザリするような苦言を漏らしていた。そして目の前には様々な数字が次々と現れ、時間が巻き戻るような感覚に見舞われてしまう。


挿絵(By みてみん)


「これでよしっと。ほんと毎度毎度、良いところで邪魔が入ってしまいますね。これではいつ物語の終焉を迎えられるのか、気が遠くなってしまいますよ。……んっ? 待てよ……」


 少女はまるで独り言を誰かに聞かせるようにポツリポツリっと語りだしていく。だがそこである事に気付いたのだ。 


「今までワタシは人間達を上から武力によって(・・・・・・)押さえつけ、彼等を統治しようと考え実行してきたから最後には反発されてしまったのでしょうか? やはり表向きとはいえ、ネームバリューがありまくる『魔王』というのは忌み嫌われる存在なのでしょうね。名を知られるのはちょっと嬉しいのですが、あまり有名すぎるのもこれは考え物ですね」


 何かを考えるように顎に手を当てながら、わざと口に出すことで考えをまとめていく。


「いつも勇者だなんだと、生意気な連中が魔王であるこのワタシを倒そうと躍起(やっき)になりながら倒されても倒されても、何度も復活して舞い戻ってきますね。あれこそ、巷で噂のチート能力(スキル)と言うモノじゃないんですかね? ちょっと卑怯すぎますよ。ま、その分女神様だかに復活の対価として所持金の半分を許可なく強奪されてしまい、その分配利益としてワタシの懐も潤うのですから笑いが止まりませんがね。くくくっ」


 少女は不気味に笑みを浮かべると、中身の存在を確認するように左手に持っていた麻袋をジャラリと鳴らした。中には大量の金貨が入っていた。


「ふふふっ。ですが、こうしてある程度の資金を得ることができたのですから、そうそう文句も言えませんよね。さてっと、これから一体どうすれば良いのでしょうかね? 武力では反発されてしまうので、別の何かで支配することを考えねばなりませんね。ま、ワタシには時間だけはありますからね。気長に考えるとしますか」


 少女は暗闇が支配する空間で目を瞑ると、そのまま眠りつこうとした。そうつこうとした(・・・・・・)、なのだ。だから寝ちゃいない。何故なら……


 ぐーっ。


「おや。これはこれは……」


 もうセリフで描写表現するのがめんどくさいのか、適当に……(三点リーダー)を用いることで説明を省こうとする少女。


 ぐーっぐーっ。だがしかし、まるでそれに「手抜きしてねぇで、描写しやがれよな!」っと反発するようにお腹の音は次第に強く鳴り響いてしまう。


「むむっ。やりますね。ですが、これは寝言に応用できるのではないでしょうかね? ぐーぐー」


 何に対抗心を燃やしているのか、少女はお腹が奏でる音を寝言だと言い張ろうとしている。……いや、それ無理だから。


「んんっ!? そうです……これですよ! 人も悪魔も魔物(モンスター)も、お腹が空きます。ならば、この生理現象を利用して彼等を胃袋から統治する。そうすれば今までのような反発は起きないのではないでしょうかね? ふふっ。我ながらピンチをチャンスに変えるのが得意ですよね♪ ……ま、自分でもちょっと何言ってるか分かんねーですがね」


 そこで意味不明な言葉を口走りながら、少女は何かを思い立ったように右手に持っていた魔法の杖(ワンド)らしきものをグルグルっと回し始めた。するとその途端、暗闇の空間から綺麗な星くず達がキラキラと眩いばかりの光を放ちながら、新たな世界を再構築していった。

挿絵(By みてみん)


「ふふっ。今度の世界では上手くいくと良いのですが……ま、それも運次第でしょうね。ですが、奇跡が起こるとするならば……それは今までになかった何か別の重要な因子(ファクター)が現れることを願うばかりですね。さて、あまり独りでお話ばかりしていると変人と思われてしまいますので、そろそろ新たな物語を始めるといたしますか。んっ……」


 少女は誰に聞かせることもなく、そう呟くとその光の中へと身を投じてしまうのだった……。



 第1話へつづく

『ブックマーク』や最新話下にある『評価』などをしていただけたら、更なる励みとなりますので、どうぞよろしくお願いします^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ